発達障害・グレーゾーンの子は日常生活で苦手なことや困難を抱えていることが多いです。どうにかして苦手を克服させようとするのは、脳の発達には逆効果かもしれません!苦手克服よりも優先させてほしいこと、子どもへの関わり方についてお伝えします。 |
【目次】
1.早いうちに発達障害・グレーゾーンの特性を理解した方がいい理由
2.苦手を克服させようと無理をさせていませんか?
3.発達障害・グレーゾーンの子を伸ばすのは、苦手なことより好きなこと!
4.苦手克服よりも得意を伸ばすレジェンドたちのコツ
◆澤穂希さんの意外な言葉
◆中居正広さんから若手俳優へのアドバイス
1.早いうちに発達障害・グレーゾーンの特性を理解した方がいい理由
発達に凸凹のある子は、日常生活で様々な困難を抱えています。
苦手なこと、できないことがたくさんあるため、親は「なぜほかの子と同じようにできないのだろう?」と悩み、苛立つことがありますよね。
その「苛立ち」を子どもにぶつけ、心にもないことを言ってしまい後悔することもあると思います。
一方、子どもは叱られてばかりで自尊心が傷つき、情緒不安定になって、ひどいときには引きこもりになってしまうことがあります。これがいわゆる二次障害です。
発達障害・グレーゾーンの子どもにとって一番辛いことは、誰よりも近くにいるお母さんに自分の特性を理解してもらえず、認められずにいることなのです。
2.苦手を克服させようと無理をさせていませんか?
発達障害・グレーゾーンの子の場合、次のような「集中力が続かない」「不注意」という特性があります。
・大好きな遊び以外は集中できない
・興味のないことには注意が続かない
・勉強全般に集中力がない
「親目線でやってほしいこと」に集中できていないお子さんは、どうしても「集中力がない」と思ってしまいがち。
でも、発達障害の子は脳に特性があるため、「できないこと」は本人の努力だけではどうにもならないことも多いのです。
親としては他の子ができることができないと、みんなと同じようにしてあげたい、苦手を克服してほしい、と思ってしまいますよね。
そのため、毎日のように「勉強!勉強!」と苦手なことを押し付けてしまうことになります。
「努力が足りない」「頑張りが足りない」と周りの人やお母さんから言われ、理解されないことは、発達障害の子どもとってとても辛いことなのです。
3.発達障害・グレーゾーンの子を伸ばすのは、苦手なことより好きなこと
発達障害の子どもをよーく観察してみると、好きなことや興味のあることにはとても集中していることがあります。例えば、
・苦手な計算は集中できずイライラしているけれど、漢字は集中してドンドン覚えてしまう(うちの次男)
・間違った問題を見直すことはしないけど、野球の選手名鑑は何度も何度も熟読している(うちの長男)
という感じです。
実は、脳の発達が促されるのは、好きなことしているとき。好きなことをしているときは集中力も高まり、嫌いなことや苦手なことをしているときは集中力があまり続きません。
また、苦手なことに時間をかけることは、その子の「長所」や「得意」な部分を伸ばす時間を奪っていることになっているかもしれません。
苦手の克服に時間を割くよりも好きなことを優先させ、できることを伸ばしていく関わりの方が大切なのです。
特に発達障害の子の場合には、「できること」と「できないこと」の差が激しいことが多いです。
早いうちから子どもの特性を理解し、適切な対応ができれば、子どもの心が安定し、その子の持っている能力や長所を大きく伸ばすことができます。
4.苦手克服よりも得意を伸ばすレジェンドたちのコツ
◆澤穂希さんの意外な言葉
元女子サッカー日本代表選手の澤穂希さんは、ある番組でこんなことをおっしゃっていました。それは、「苦手なことはやらない!」です。
澤さんが「苦手なことをやらない!」と決めたのは、2006年アジア大会の決勝でのこと。ペナルティキック(PK)でゴールを逃し、負けてしまったから。
「自分はPK戦が苦手だからPKはやらないと」決め、実際にその試合以来10年間、公式戦のPKでボールは蹴っていないそうです。
普通は、PKが苦手ならば確実に決めることができるように努力するのではないでしょうか。澤さんほどの選手だからこそ、苦手を克服することの努力は惜しまないだろうと思いますよね。
でも、澤さんはこうも言っています。
「PKは得意な選手に任せればいい」
「私自身は無理にできないことをやるのではなく、重要なのは得意なことを伸ばすこと」
「苦手であるという自分を知り、受け入れる」
「私の得意なことをひたすら伸ばし、誰にも真似できないような武器・強みとする」
いかがでしょうか?誰にでも、得意不得意があります。無理に自分の苦手を克服するよりも、苦手を受け入れる。
その代わり、得意なことをとことんやり抜くことに力を注ぐ。とても大切なことだと思います。
◆中居正広さんから若手俳優へのアドバイス
好きなことや得意なことは強みになります。強みは将来の仕事に活かすこともできるようになります。
元SMAPの中居正広さんが、自身のテレビ番組で人気若手俳優にアドバイスした言葉です。
「なんでもいいんですって。……何か1個オタクを持つことによって、自分が弱ったときにこのオタクが助けてくれる。」
「僕はそれが野球だったんですけど。見るし、やるし、データも全部入れるし、っていうのがいまお仕事にもつながってりして。」
中居さんは、雑誌「週刊ベースボール」で連載コラムも書かれていますし、第3回のワールド・ベースボール・クラシックから公認サポーターとしても活躍されています。
このように、スポーツ界、芸能界のレジェンドたちは、苦手の克服よりも「自分の好き」「自分の得意」を大事にしてきたことがわかります。
お母さん、お子さんをよく観察してみてください。
発達障害のお子さんがキラキラした目で話していることは何か?時間も忘れるくらい夢中になっていることは何か?
お子さんの得意なこと、好きなことがなかなかわからないお母さんは、お子さんに直接聞いてみても良いかもしれません。
自分の得意なことや良いところを10個書く(または言う)『自分ってどんな人?』というゲームもオススメですよ!
お子さんがなかなかできないようなら、お母さんが見本を見せてあげてくださいね。家族みんなでやってみると楽しいですよ。
せっかくの長いお休み、苦手克服よりも発達障害・グレーゾーンのお子さんの得意や長所を見つけてドンドン伸ばしてあげてくださいね。
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執筆者:深井淳子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)