発達障害・ADHD傾向の子を育てていると、その衝動性のせいで、いろいろなトラブルを起こしてしまって困るということが多いと思います。でも実は、ADHDの衝動性って長所なんです! 困りごとN0.1の衝動性を「輝く長所」に変える方法をお話します。 |
【目次】
1.発達障害・ADHDの「衝動性」って本当に悪ですか?
発達障害・注意欠陥多動障害(ADHD)の特性は、不注意・衝動性・多動性の3つです。
その中で、不注意と多動性は、周りに直接危害がないことも多いので、本人の問題として扱われることが多いです。
しかし、衝動性が強いことは、突発的に道路に飛び出すなど、自分への危険な行為もありますが、ちょっとしたことでイライラしがちで、怒りへの導火線が短いのが特徴です。
そのため、すぐカッとなっては、周りの子とトラブルになり、手や足が出てしまうので、幼稚園や学校に行く年齢になると、いわゆる問題児として扱われてしまうことも多くなります。
私の息子も、小学校1、2年の間は、周りとのトラブルがなかったので、学校から指摘されるのは本人の姿勢のことなど。全体的にはヤンチャで元気のいい男の子という評価でした。
しかし、いわゆるギャングエイジと呼ばれる小学校の3、4年生の頃から、衝動性が目立つようになり、ちょっとしたことですぐカッとなっては、毎日お友達と取っ組み合いの喧嘩をするようになってしまいました。
あっという間に乱暴な子、危ない子、何をやるかわからないクラスの問題児というレッテルがついてしまったのです。
そうなってしまうとそこからは悪循環が始まります。今思えば、彼が悪くなかったことも、彼の主張が別にあったこともあったかもしれません。
でも先生も、周りも、私も、とにかく彼を叱り続け、わかってもらえないイライラを募らせた息子は、次第に導火線はなくなり、瞬時に怒りに火がついてしまうスーパー問題児になってしまいました。
でも果たして、衝動性=乱暴で悪いことという認識は、正しかったのでしょうか?
2.攻撃性さえ抑えることができれば大丈夫
衝動性とは、思いついたことをあまり深く考えずに、パッとやってしまう行動特性のことをいいます。
衝動性と聞くと、マイナスイメージをお持ちの方も多いと思いますが、衝動性は必ずしもマイナスのものばかりではないのです。
嫌なことがあって、パッと手が出てしまうということもありますが、
・思いついていきなりものすごい工作を作ってしまう
・いつも面白い遊びをひらめく
など、その特性で周りを楽しませることもたくさんあります。
パッと反射的に反応することが得意なので、スポーツをやる際の瞬発力につながっていくこともあります。
さらにADHDの子は、嫌いなこと・やりたくないことへの集中力が極端に短いのに、自分が興味のあることにはものすごく集中して、時間を忘れて没頭するということがあります。
その際の「これやりたい!」という気持ちも、衝動性から来ているんです。
「これやりたい!」「あれやりたい!」という衝動性は、「これやってみようかな!」「あれやってみようかな!」という好奇心につながります。
ですので、仕事についた際に、「発想力が豊かで、好奇心、行動力があり、他の人が思いもつかないようなことを創造したり、周りの人が無理だと思うことをやり遂げたりして、大活躍する!」という人もたくさんいるのです。
このように衝動性は、発達障害ADHD傾向の子の素晴らしい長所にもなるのです。
しかし、すぐカッとなって周りを攻撃し、怒られては常にイライラしているという負のスパイラルに陥っている状態では、自分のエネルギーをプラスの方向に向けることはできません。
つまり、本人の攻撃性。そして、それを生み出しているイライラを取り除いてあげることが必要になってくるのです。
言い換えると、攻撃性やイライラを取り除いてあげれば、衝動性はその子の長所として、輝き出す可能性を秘めているのです。
3.親子のコミュニケーションでADHDの子の衝動性を長所に変える方法
衝動性のあるADHDの子は、パッと手が出てしまうということがありますが、実はその子なりの理由があります。
でも、理由を聞いてもらえた経験は少なく、大体は頭ごなしに叱られ、さらにイライラを募らせてしまっていることが多いです。
つまり、攻撃的な面が目立つ子は、常に周りから怒られ続け、人との否定的な関わりが多いことで自信が育たず、ちょっとしたことでさらに周りを攻撃してしまっているのです。
ですので、まずはしっかりと否定的な関わりよりも肯定的な関わりを増やし、子どもの心のコップを肯定の言葉で満たしてあげることが必要になります。
ですが、周りの評価をいきなり変えることは難しく、我が子が攻撃的でいるのに、周りの人に怒らないでくださいとはなかなか言えないものですよね。
そう思ったお母さん、安心してください。
「たった一人、お母さんが子どもとのコミュニケーションを否定から肯定へ変えるだけで、子どもはグッと変わってきます!」
発達の凸凹がある場合、子どもの作業が終わるのを待っていると、褒めるところまで行かずに終わってしまうということがあります。
ですので、私は、息子が何かをやろうとしているときに声をかけるようにしました。
お風呂に入ろうとしたとき、ご飯を食べに来たとき、宿題を出したとき、ベットから降りたときに、
・「お風呂入るの」
・「お!来たね」
・「宿題やるんだ!」
・「おはよ。起きたね」
など、やろうとしていることをそのまま声に出して伝えました。
発達科学コミュニケーションに出会うまでは、実は私は、「この子は褒めるところなんて何もない」と思っていたんです。
でも実際は、今やろうとしていることや、やっていることを、口に出して伝えてあげるだけで十分「それあってるよ!いいね!」という肯定の声かけになっていくのです。
我が家のスーパー問題児だった息子も、私が発達科学コミュニケーションの肯定のテクニックを実施すること3週間。周りへの攻撃性が嘘のようにピタッとなくなりました。
攻撃性がなくなった息子は、お友達もどんどん増えて、元々明るい性格なので、学校の行事の際は盛り上げ役としてリーダーを務めるほどになりました。
発達科学コミュニケーションのコミュニケーションメソッドは、お子さんの脳にどうすれば肯定的なメッセージが残りやすいか、科学的な根拠を基に考えられています。
「えらいね」「すごいね」だけでない肯定のテクニックや、これも肯定の言い方なの?という眼からうろこの肯定のテクニックもあります。
発達障害ADHDの子の衝動性は、その子を輝かせる長所になります。
ですので、できるだけ早いうちに、周りとのトラブルの原因になる攻撃性を抑えることに、お母さんが取り組んでください。
攻撃性のなくなったADHDの子は、自分の思いつきをプラスの方向に生かすことができるようになります。
衝動性は短所ではありません!
衝動性を抑えないといけないと思って接していると、その子の長所を潰すことになってしまいます。
しっかりとお母さんが、肯定的な関わりを増やし、子どもの気持ちを満たしてあげてください。
親子のコミュニケーションを変えるだけで、今まで短所だと思っていたお子さんの衝動性をキラッと輝く長所に変えることができます。
ぜひ今日から、肯定の声かけのシャワーをたくさんお子さんに浴びさせてあげましょう!
発達障害・ADHD傾向の子が輝くためのコミュニケーション術をたくさんご紹介しています。
執筆者:桜井ともこ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)