触覚過敏の息子はこうして砂遊びを楽しめるようになった!~丸3年かけたスモールステップ大作戦~

砂遊びができない!とお困りのお母さんはいらっしゃいませんか?それ、触覚過敏かもしれません。発達障害の息子は、6歳にしてようやく砂遊びを楽しめるようになりました。診断がおりて3年間、触覚を育てるために私が実践したことをすべてお伝えします。
 

【目次】

 

1.年少になるまで息子の触覚過敏に気づかなかった私

 
 
私には発達障害・自閉症スペクトラムの息子がいます。息子は今小学校1年生。幼稚園の年少さんで診断がおりました。
 
 
私自身、息子に育てにくさを感じたことがなかったので、かかりつけのお医者さんに発達を指摘されたときは信じられない気持ちでした。
 
 
発達の指摘を受けてから診断がおりるまで、たった1か月。これだけ短いケースは早々ないのではないでしょうか。
 
 
1か月で天地がひっくり返る思いをした私でしたが、海外に住んでいることもあり、「自分が息子の発達支援をやっていくしかない!」と決意しました。
 
 
独学ながら発達に関して学び、息子に実践していくなかで、それまで息子の発達の多くを見逃していたことに気づき、愕然としました。
 
 
その最たるものが、「触覚過敏」です。
 
・爪切りを嫌がる
・半ズボンが履けない
・砂遊びができない
 
などの触覚過敏を抱えていたのです。
 
 
この記事は、手に砂がつくのが大嫌い!砂遊びなんてありえない!という息子が、「砂で遊びたい!」というまでになった3年間の軌跡です。
 
 
何とか砂遊びができるようになってほしい!と思っていた私は、スモールステップで砂に触れる機会を作っていきました。
 
 
今考えると、砂遊びなんてできなくても大人になってから困るわけでもなかったのですが、砂遊びができるようになったことで息子の発達も一歩進んだと感じることができました。
 
 
 
 
もし、触覚過敏で砂遊びができないことに悩んでいるお母さんがいらっしゃったら、ぜひこちらの記事を参考にしていただけたら幸いです。
 
 
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2.砂遊びができるようになってほしかった理由

 
 
息子は触覚過敏で、年少の頃は手に砂がつくなんてありえない!という状態でした。
 
 
そもそも、触覚過敏以前に、我が家が住んでいる台湾は砂場のある公園が少ないため、息子は4歳まで砂遊びをする機会はほぼありませんでした。
 
 
触覚過敏に加え、この経験の少なさがとても気になっていて、「触覚過敏をなくしたいから砂遊びができるようになってほしい!」と本気で思っていました。
 
 
それが間違っていると気づいたのは、発達科学コミュニケーションを学び始めてから。
 
 
触覚過敏をなくすために砂遊びをするんじゃない。
触覚過敏がなくなれば、自然と砂遊びをするようになる。
 
 
自分が全く逆のことをしていると気づいたのです。
 
 
感覚過敏への基本的な対応は、「苦手な感覚を避け、好きな感覚で囲んであげること」。 ですから、子どもが砂遊びを嫌がるのであれば、無理にできるようにならなければ!なんて思う必要はなかったのです。
 
 
一方で、砂遊びには子どもを発達させる効果があることも知りました。
 
 
砂遊びといえば、山を作ったり、川を作ったり、穴を掘ったり。ダイナミックで創造的な遊びです。
 
 
ここに山を作ろう!とか、水を流そう!とか、「こうしたら面白いんじゃないかな!?」というのを子どもが自分で考えて実現させるとてもいい機会です。
 
 
「こうしたら面白いんじゃないかな?」と考えて実現していく過程は、室内のブロック遊び・つみき遊びでもできますが、砂場ではより大きなスケール遊べます。
 
 
また、砂は色がありませんから、山を作っても緑にはなりません。 山を作って木の枝を差したり、落ち葉をかぶせたり、さらに工夫することができます。 創造性の高い遊びができるのです。
 
 
砂遊びのもうひとつの定番、「型抜き」も発達の面からみると大きな効果があります。
 
 
型に砂を詰め、こぼさないようにしっかり注意しながらひっくり返し、型を抜く。
 
 
この一連の作業は、目と手のコンビネーションがうまく働いていないと失敗してしまいます。
 
 
また、型を抜くときに、慎重にゆっくり抜いていくことも重要です。
 
 
 
 
私の息子もそうですが、発達障害の子どもたちは目と手のコンビネーションの発達がゆっくりで手先が不器用。さらに慎重にゆっくり・じっくり・ていねいに作業することがとても苦手です。
 
 
型抜きでじっくり作業に取り組む経験はとても貴重なもの。息子に無理をさせない程度に、ゆっくり時間をかけて砂に慣らしていくことを決意しました。
 
 
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3.スモールステップで進め!~砂遊びへの道~

 
 
結局、触覚過敏が和らぎ、砂場遊びを喜んでやるようになったのはつい最近。小学1年生になってからでした。触覚過敏に気づいてから、丸3年かかりました。
 
 
この3年、超スモールステップで砂場遊びに少しずつ触れてきました。
 
 

①砂場に入らなくてもOK!水を運ぶ係として砂遊びに参加

 
 
診断が下りた当時は、砂場に入ることすらできませんでした。幼稚園での砂場の時間も、一人で別の遊具で遊んでいました。
 
 
そこで、まずは私と下の子が砂場で遊んでいる姿を見せながら、役割を与えて「砂遊び」に参加できるようにしました。
 
 
砂場といえば、水を使って川を作るのが醍醐味ですよね。息子には、砂場には入らなくてもいいからバケツで水を運ぶ係に任命しました。
 
 
水の感覚は大好きな息子、係に任命すると喜んで参加するようになりました。
 
 
「運んでくれてありがとう!」
「これ、重かったよね~力持ちだね!」
 
 
など、ポジティブな声かけをしながら進めました。
 
 
こうすると、自分から「僕、水持ってくるね~」と言うようになっていきました。
 
 
先生方にもお願いして、幼稚園でも砂場遊びのときは水を運ぶ係にしてもらいました。
 
 
それまでは「僕は砂が嫌いだから、遊ばない!」と断固拒否していましたが、「僕が水を持ってくるね!」と役割を見つけて動くことで、お友達とのかかわりもスムーズになり、コミュニケーションも増えました。
 
 
さらに、お友達や先生から「ありがとう」と言われる機会も増えて、砂場そのものに対する抵抗感をなくすことができました。
 
 
年少の1年間はこんな状態。砂場への抵抗はなくなりましたが、まだ砂場に入れる、という段階ではありませんでした。
 
 

②砂場の前に砂利場で遊び方をマスターする

 
 
年中になってから、少しずつ砂場に入る練習を始めました。 とはいえ、「楽しいからおいで~」というだけでは当然来ません。
 
 
そこで、まず砂場ではなく砂利場に行きました。砂利だと手にくっつかず、息子も楽しく遊べました。
 
 
バケツに砂利を入れたり、スコップで掘ったりして砂利場で砂場の遊び方をマスターしていきました。
 
 
ここで明らかになったのは、息子は砂場の遊び方自体は大好きだ、ということ。 砂利場の公園には大きな滑り台がありましたが、息子は見向きもせずにひたすら砂利で遊んでいました。
 
 
触覚過敏で砂に触れないなんてもったいない。砂場で遊べるようになったら、絶対に遊びの幅が広がるはず!と確信しました。
 
 

③大好きなおもちゃで砂場に踏み出す

 
 
砂利場で遊びに慣れたところで、いよいよ砂場に入る段階になりました。
 
 
スムーズに誘うため、息子が大好きなダンプカーを砂場のおもちゃにすることにしました。
 
 
「今日はダンプカーがお仕事するよ!プップ~!」と声をかけ、荷台に砂を入れたり、ざざーと流したりする様子を見せました。
 
 
 
 
すると息子は、「本物のダンプカーだ!」と砂場に突進!みごと砂場に入ることに成功しました!
 
 
この段階では、スコップを使って砂をダンプカーの荷台に入れ、ざざーと流して遊んだり、型抜きで遊んだりできるようになりました。
 
 
一方で、靴を履いたまま砂場に入って道具を駆使して遊ぶ。砂に触れることはまだできていませんでした。
 
 
年中になった5月ごろのことでした。
 
 

④すぐ手を洗えるのが魅力!砂場ではなく海で砂遊び

 
 
砂には一切手を触れようとしない息子の姿を見て、改めて砂が手につく感触が嫌いなんだ!と実感しました。砂が手についてしまうと半泣きになり、すぐに水で洗い流します。
 
 
ということは、すぐに洗い流せる環境なら一歩進めるのでは!?と思った私は、夏になったこともあり、砂場ではなく海に行くことにしました。
 
 
泳ぎ疲れたタイミング浜辺に座り、「おいしいおむすび、いかがですか~?」と泥団子を作って息子に渡してみると…
 
 
「ありがとう!いただきます!」と受け取って海に投げ捨てる! すごい!泥団子に触れました!
 
 
この方法がとてもよかったようで、数回繰り返した後、砂浜に線路の絵を描いたり、私の足を砂で埋めたりして遊ぶようになりました。
 
 
息子が自分から砂に触るなんて…!
 
 
感動した私と夫。年中と年長の夏は毎週のように海に行き、どんどん砂に慣らしていきました。
 
 

⑤きっかけ作りにはよかった!おうちで砂場

 
 
①~④と並行して、市販のキネティックサンドを購入して、家のベランダで砂遊びができるようにしました。
 
 
少しでも砂に触れる機会を作りたい!と思って設置したところ、購入してすぐの頃は週に3~4回遊ぶようになりました。公園の砂場には触れない息子も、キネティックサンドには触ることができました。
 
 
ただ、キネティックサンドの扱いは意外と大変。皮膚や服につくと払ってもとれず、遊び終わったらお風呂に直行!石鹸で洗い流さないといけませんでした。
 
 
後片付けの大変さから徐々にやらなくなってしまったのですが、息子も気に入っていたので、いろいろな触感を体験させるにはとてもよかったです。
 
 
今考えてみれば、キネティックサンドよりも園芸用の土の方が扱いやすかったかもしれません。ほかにも、ぬか床を毎日かき混ぜるのも、習慣化しやすくて似たような触感が味わえたかも…と思います。
 
 
この5つの方法で、息子は、年長の夏にようやく躊躇なく砂に触れるようになりました。
 
 

5.3年後、6歳にして砂場で楽しく遊べるようになった息子

 
 
年長の夏に海に行ってからは、新しく習い事を始めたこともあり、特に意識して砂で遊ばせることがなくなっていました。
 
 
しかし、小学校に入学した4月、お友達と公園に行った際、率先して砂場に入って型抜きをしたり、穴を掘ったりして遊べるようになりました!
 
 
よく見ていると、直接砂に触る頻度は少ないものの、汚れない砂場の遊び方を心得ている、といった印象。自分が許容できる範囲で、自分が楽しめる遊びができるようになったのだな…とうれしく思いました。
 
 
また、先日はデパートの一角にある砂場のコーナーに突進!型抜きをしたりお団子を作ったり、制限時間の1時間飽きることなく遊べるまでに成長しました!
 
 
小学校に入ってからの短い期間にも、しっかり成長しているんだな!と感じています。
 
 
 
 
砂が本当に苦手な子に無理をさせる必要はありませんが、砂遊びのときにどうしたらいいのか分からなくて困っているという場合、遊びの幅を広げたいという場合は、無理のない範囲で試してみてくださいね!
 
 
触覚過敏で爪を切るのを嫌がっていた息子への対応についても解説しています。併せてチェックしてくださいね。
 
 
 
おうちで子どもがぐんぐん伸びる秘策を多数お伝えしています!

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執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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