「計算問題や暗記はできるのに、文章題や読解問題は苦手」という発達障害キッズはいませんか?これは「文字を意味につなげる」理解の脳が未熟なことが原因。コミュニケーションを利用した子どもの理解力UPトレーニングをご紹介します。 |
【目次】
1.「文章題や読解問題が苦手」と困っている発達障害キッズ、いませんか?
2.子どものうちに育てたい。理解力が大切なワケ。
3.めざせ!理解力UP。親子のコミュニケーションで簡単トレーニング
①読み聞かせ
②さかのぼり問いかけ
1.「文章題や読解問題が苦手」と困っている発達障害キッズ、いませんか?
毎日、発達障害キッズの宿題や勉強を見ているお母さん。
「うちの子、文章題とか読解問題が苦手かも?」
そう感じたことはありませんか?
実は発達障害を持つお子さんは、暗記や計算問題はすごく得意なのに文章問題が苦手、ということが多いんです。
学年が進むと、算数や国語だけでなく、理科・社会、さらに英語でも、文章や問題文を理解して問題を解く場面が増えてきますよね。
問題文の意味が理解できなければ、どんなに暗記や計算が得意でも、点数を取ることができません。
発達障害のお子さんが文章問題を苦手になるのには、様々な原因があります。
まず、文字や単語として目や耳からインプットした情報を、脳の中で意味にまで落とし込む力が弱い場合。いわゆる「理解力」の弱さがある場合です。
この力が弱いと、文章が頭に入ってこないため、文章の内容や問われていることを理解できません。
次に、ワーキングメモリが弱く、脳にインプットされた情報を頭の中で組み立てて理解することが苦手な場合。
読んだ文章の内容(数・単語など)を頭にとどめておくことが難しいため、何度も文章を読み直す必要が出てきます。
更に、文章同士のつながりを理解できない場合もあります。
特に長い文章では、お子さんが文章をどこで区切ったらいいのかわからず、一気に読んでしまうことでますますわからなくなってしまうんです。
お子さんが問題を解く様子を観察したり、時々声かけをすることで、どこまで分かっているのか、どこでつまづいているのかを発見することができます。
でも、何が問題かが分かっても、どうしたら問題が解けるようになるのかは分からない、というお母さんも多いでしょう。
そこで、ここからは文章題や読解問題を解くのに必要な「理解力」にフォーカスして、脳科学的に深堀りしていきます。
なぜ「理解力」が大切なのか、「理解力」を鍛えるトレーニングにはどんなものがあるか、について知っておきたいあなた、ぜひ続きをお読みください。
2.子どものうちに育てたい。理解力が大切なワケ。
そもそも、「理解力」というのはどのような力を指すのでしょうか。
辞書によると
「ものごとのしくみや状況、またその意味するところなどを判断しわかることができる力」
「相手の立場や気持ちをくみとる力」
と書かれています。
脳科学的に言う「理解力」とは、目や耳などからインプットされた情報を、脳の中で「それは何なのか」という意味にまで落とし込む能力のことを指します。
さらに、同じ理解力でも、左側の脳は言葉によってものごとを理解する「言語理解」を担当し、右側の脳は非言語的なもの(相手の顔色や場の空気など)の理解を担当しています。
この「理解力」を担当する脳は、実は子ども時代に最も育てておきたい部分。
なぜかというと、将来的に思考力につながっていくからです。
脳の構造上、理解力を担当する脳は、見たり聞いたりする後ろ側の脳と、ものごとを考える前側の脳の間に位置します。
つまり、見る・聞く→理解する→考える、という太いネットワークの中心にあるのです。
「考える」脳は、いわば脳全体を指揮する重要な司令塔。
「理解力」の脳を鍛えることが、「考える」脳を育てることにつながっていくのです。
子どもの脳の発達バランスは、それぞれ個性があります。
発達障害の子どもは、脳の中に部分的に発達しているところと未熟なところがあるため、それが発達凸凹となって現れてくるのです。
ですが、未熟な部分はまだまだ発展途上。
今は理解力が苦手なお子さんでも、これからゆっくり時間をかけて発達させていくことができるんです。
3.めざせ!理解力UP。親子のコミュニケーションで簡単トレーニング
理解力を高めることの大切さがわかったら、お子さんの状態に合わせて理解力を高める関わりをしていきましょう。
このとき、理解力を高めたい!と、苦手な文章題や読解問題をたくさん解かせる方法はNGです。
苦手なことは、楽しいことに置き換えるのがマル。子どもの大好きな、お母さんとのコミュニケーションを利用して理解力UPを目指しましょう。
今回は、理解力の中でも「言葉を見たり聞いたりして、その意味を理解する」という、言語理解力を高めるトレーニングをご紹介します。
我が家には、発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)の小学校2年生の息子がいますが、息子も、文章題がとにかく苦手でした。
出てきた数字を適当に使って、「4ー9=」という小学校2年生の算数ではありえない式を立ててしまうほど。
どうしてその式になるの?と聞いても、わからないと言うばかりでした。
そこで、次でご紹介するトレーニングをほぼ毎日やったところ、文章題をしっかり読み込むようになり、親の声かけがなくても正解を導き出せるようになったのです。
その他、音読を嫌がらなくなったり、本を読んだ後、自分から内容を説明してくれるようになる、という驚きの変化がありました。
そんな効果抜群のトレーニングをご紹介します。
◆①読み聞かせ
小学校に入ると、自分で本を読むことが増え、読み聞かせをする機会が減ることもあるでしょう。
でも、読み書きや、理解力が弱いお子さんにとっては、読み聞かせはとても有効なんです。
お子さんが一人で本を読むと、文章の区切りや連なりが分からないことがあります。
お母さんが、少し大げさなくらい抑揚をつけ、文章の区切りを意識しながらはきはきと読んであげてください。
また、読むスピードも、お子さんの反応に合わせて調節しましょう。
理解する脳が未熟な場合、お母さんの読んだお話の内容を、脳の中で処理して理解するのに少し時間がかかる場合があります。
ときどき、お子さんの表情を見ながら読んであげてください。
読み聞かせにはお子さんの好きな本を選ぶのがおススメ。
お子さんにとっての読み聞かせは、勉強の場ではなく、お母さんからの愛情を感じられる場でもあります。
読み聞かせを通じて、親子のコミュニケーションを増やしていく効果もありますね。
◆②さかのぼり問いかけ
読み聞かせに慣れてきたら、お話をどのくらい理解しているのかをさかのぼり問いかけで確認してみましょう。
さかのぼり問いかけとは、お話の内容をさかのぼりながら確認することで、本当に理解しているかを確認する方法です。
まずは、「お話の最後はどうなったっけ?」と聞いてみましょう。「○○だった」と答えてくれます。
お話の最後を答えられたら、「じゃあ、その前は何があったっけ?」と質問します。
お子さんが答えられたら、どんどんお話をさかのぼっていきます。
しっかり理解できていないと、お話をさかのぼることはできないんです。お子さんがどの程度理解できているのかを確認することができますね。
さかのぼるのが難しい場合は、まずはお話の順番通りに聞いたり、短いお話を利用してもよいのですが、絵本の「絵」をヒントにさかのぼってもOK。
くまがイヤリングを拾う絵があれば、「最後にくまさんが拾ったのはなんだったっけ?」と聞いてみます。
特に視覚優位のお子さんでは、絵が理解を助けてくれます。
また、読む前に「あとでどんなお話だったか聞くからね」と予告してから読み聞かせを始めると、お話に集中でき理解しやすくなりますよ。
逆に難易度を上げるなら、絵のない本や、お母さんが即興で作ったお話を話してあげてもOK。
我が家では、「おおきなかぶ」のお話を利用して、かぶを大根に変えたり、かぶをひっぱる人を友達やキャラクターに変えたり、必殺技を使わせるさかのぼり問いかけをやっています。
子どもも喜んで答えてくれるのでオススメのワザです。
いかがですか?
おうちでやるトレーニングは、楽しく続けられることがマスト!
子どもに「トレーニングさせられてる」と思わせないのが長続きのコツです。
さらにさかのぼり問いかけを続けると、子どものアウトプット力UPというおまけもついてきますよ。
我が子で効果実証済のこのトレーニング、ぜひ試してみてくださいね。
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執筆者:森博子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)