発達障害の子どもがお米を炊けるようになるまで~感覚過敏の子にも無理なくできるスモールステップ~

出先で「ご飯炊くの忘れた!」というとき、家族が対応してくれたら助かりますよね。発達障害で感覚過敏のある子はお米を触るのを嫌がるかもしれません。当時4歳だった息子がお米を炊けるようになるまでの対応を解説します。
 

【目次】

 

1.食の基本は白ご飯から~炊飯に秘められた発達効果とは~

 
 
みなさんは、小さい頃おうちでどんなお手伝いをしていましたか?
 
 
私はお米を炊く係をしていました。お米を研いで、浸水させて、炊飯器にセットするまでが私の仕事です。
 
 
私の両親が共働きで忙しかったこともあり、夜帰宅が遅くなると、必ず「お米お願い!」という電話がかかってきていました。
 
 
私の実家は農家でお米も作っていたので、お惣菜はスーパーで買ってくるけどご飯は家で炊きたい!ということだったのだと思います。
 
 
ともあれ、私が一番最初にしたお手伝いはご飯を炊くことでしたから、自分の子どもたちにも当たり前にできるようになってほしい!と思っていました。
 
 
息子が3歳で発達障害・自閉症スペクトラムと診断を受け、発達について学び始めましたが、「炊飯」を発達の観点で見るととても効果的だと気づきました。
 
 
 
 

◆①目と手の協応を高める

 
 
お米を研ぐとき、お米がボウルからこぼれないようにしっかり目で確認しながら手を動かします。また、お水を加えるときも、線ぴったりになるように目で見ながら注ぎます。
 
 
このように、目で確認しながら手を動かすことを専門用語で「目と手の協応」と言います。
 
 
発達障害の子どもたちは、この目と手の協応に課題があるために、たくさんの問題を抱えています。特に、
 
 
・字がマスや行におさまりきらない
・キャッチボールが苦手
 
 
など、学習面や運動面にも苦手が現れます。
 
 
毎日お米を炊くのをお願いすることで、目と手の協応を高めるトレーニングにすることができます。
 
 

◆②触覚を刺激する

 
 
炊飯の際はさまざまな触感が味わえます。
 
 
・乾いたお米のサラサラとした感覚
・研いでいる際のギュッギュッという感覚
・水道からの水が手に当たる感覚
・水に浸ったお米の感覚
 
 
など、お米と水の2つしか使っていないのに、それ以上の感覚が味わえるのが炊飯のいいところです。このようにさまざまな触感を体験することが、触覚の発達につながります。
 
 
この点においては、無洗米よりも通常のお米の方がおすすめですよ。
 
 

◆③幼児のお子さんにも安心!けがの心配がゼロ

 
 
幼児のお子さんにお料理をさせたいと思っても、火や包丁が心配だったり、段取りがうまく進まないのがめんどうだったりしませんか?
 
 
そんな方にこそ、炊飯器を使った炊飯は特におすすめです!
 
 
炊飯に火や包丁は不要ですし、しかも、最近の炊飯器はとても性能がいいので、外側が熱くなりにくく、蒸気をカットする機能のものもあります。 材料も水とお米だけ。道具もボウルだけ。研いで水を入れて炊飯器のスイッチオンでOK!
 
 
材料も道具も工程も少ないのでお母さんの負担も少ないです。
 
 
大幅に水加減を間違えることさえなければ、炊飯器の力で間違いなくおいしく炊き上がります。
 
 
簡単で失敗しないところがいいですよね。
 
 

◆④万能料理器・炊飯器を使いこなす

 
 
炊飯器の性能はどんどん上がっていますよね。我が家の炊飯器は発売から10年程度経っているものですが、それでも多機能です。
 
 
普通炊き、極上炊き、新米炊き、早炊き、少量モード、炊き込みご飯モード、調理モード、ケーキモード。もちろん予約機能もあります。
 
 
この多機能さを小さいころから触れさせるのがポイント!
 
 
・今日は炊き込みご飯だから、炊き込みご飯モード!
 
・今日はお父さんがお仕事でいなくて、炊く量が少ないから少量モード!
 
・今日は帰りが遅かったから、早炊きモード!
 
 
など、どんな状況か理解して、状況に合わせて対応することが学べます。もちろん最初からできるわけではありませんが、「今日はどうしようか?」と考えさせる機会を持つことが重要です!
 
 

◆⑤家族から「ありがとう」と言ってもらえる

 
 
ご飯は主食ですから、家族みんなが食べますよね。みんなから「おいしい!」「ありがとう!」と言ってもらえます。
 
 
発達障害の子どもは、その特性から困った行動が目立ち、怒られる機会が多くなりがち。自然と自己肯定感も下がり、自信を失ってしまいます。
 
 
これを防ぐために、おうちで役割を与えて、「ありがとう!」と言ってもらえるチャンスを増やしていくことはとても大事です。
 
 
特に炊飯は毎日のことですから、毎日ありがとうと言ってもらえる機会を作ることができます。
 
 
このように、炊飯にはとても大きな発達効果があります。
 
 
ぜひみなさんにやっていただきたいところですが、発達障害で感覚過敏のあるお子さんには注意が必要です。
 
 
私の息子も感覚過敏があって、お米に触れませんでした。そんな息子が炊飯できるようになったスモールステップの取り組みをご紹介します。
 
 
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2.お米に触れない!発達障害の息子の感覚過敏

 
 
私の息子は自閉症スペクトラム。細かい感覚過敏がたくさんあります。
 
 
・粘土や糊が苦手
・半ズボンが履けない
・少しでも服がぬれると着替えたがる
 
 
など、幼稚園や家庭でサポートが必要なタイプです。
 
 
そんな息子とご飯を炊こうとしたところ、お米を触る段階でつまづいてしまいました。
 
 
計量カップでボウルにお米を移したまではよかったのですが、生のお米を触らせたところ、手にお米がくっついてパニックに。
 
 
「やだ~!」と半泣きでお米が付いた手を振り回したり、両手をこすり合わせたりしたものですから、お米が周囲に飛び散って大変でした。
 
 
 
 
手には皮脂がありますから、生米をつかむと当然少しはくっつきます。手が汚れるのが嫌いで、当時は粘土遊びも工作も砂場遊びもダメだった息子。お米を研ぐのもダメだったようです。
 
 
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3.お米の前に○○!4歳の息子がお米を研げるようになった秘密の食材

 
 
感覚過敏は本人にしかつらさが分かりません。苦手な感覚は取り除いて、心地いい感覚で満たしてあげるのが正解です。
 
 
ですから、お米を研ぐのが嫌なら無理させなくて大丈夫!最近はお米を研ぐ用のスティックも100均ショップで手に入りますから、道具に頼るのも大賛成です。
 
 
脳全体を発達させたり、好きな感覚でたくさん刺激したりすることで触覚が発達すれば、感覚過敏もやわらぎます。
 
 
苦手な感覚を克服させようと、「とにかく触りなさい!」と荒療治するのは逆効果です。
 
 
私の場合、発達障害の子どもが好むと言われるある食材を使うことで、息子がお米に触れるようになりました。
 
 
私が使ったそのある食材とは…小豆です!
 
 
 
 
小豆は触るとひんやりと冷たくて、発達障害の子どもをクールダウンさせてくれます。砂利遊びのような形で療育に取り入れられているところもあるほどです。
 
 
実は、全身の感覚を発達させたい!と思って、ボールプールならぬ「小豆プール」を作ろうと計画していましたが、準備する小豆の量が多すぎるので断念。
 
 
いずれ炊飯できるようになる!という目標を設定し直して、なるべく炊飯に近い状況で遊ぶようにしてみました。
 
 
・いつもお米を研ぐときに使うボウル
・いつもお米を研いでいる場所
・お米を入れるときに使う計量カップ
 
 
など、他の環境は炊飯のときと同じにして、遊んでみました。
 
 
すると、やはり小豆の感覚が気に入ったのか、ずっと小豆を触って遊ぶようになりました。
 
 
・小豆だけで遊ぶ
・小豆に水を入れてお米を研ぐようにして遊ぶ
 
という風に、小豆だけでいろいろな感覚を味わえるように工夫すると…
 
 
なんと、3日後には「お米、やってみたい!」と自分から言ってくれたのです!
 
 
こうして息子はお米を触れるようになったのでした。
 
 
最初のうちは、研ぐときに水と手の勢いが強すぎで周りがビシャビシャになってしまいましたが、そこは濡れるのが嫌いな息子、すぐに力を調整できるようになりました。
 
 
ぴったり水を入れるのは、お風呂で遊ぼう!発達障害・グレーゾーンの発達を加速させるお風呂遊びで解説した水遊びのおかげで、1回目にしてできるように。
 
 
チャレンジ3日で炊飯ができるようになりました。
 
 
家族みんなから「おいしい!」「ありがとう!」と言われて、息子はとてもうれしそう!母の作戦、大成功でした。
 
 
息子のように、発達障害の子どもが将来自立できるように、幼いころから生活スキルを習得していくのはとてもいいと思います。
 
 
自立に直結するだけではなく、家事には発達的な効果もあるからです。
 
 
炊飯のように、感覚過敏で苦手なものもあるかもしれませんが、幼児期から習得をスタートすることで、余裕をもって進めていけるだけでなく、途中で感覚が発達してできるようになることも多いと思います。
 
 
今回は炊飯についてお伝えしましたが、将来の生活自立のために幼児期からできることはたくさんあります。ぜひ、今日から進めていきましょう!
 
 
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執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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