発達障害の子を持つお母さんで理想の子育てとのギャップに悩んでいる方はいませんか?怒ってばかりの子育てに自分を責めてしまいがちですが、悩んでいるお母さんは多いです。「発達障害の子にイライラする」から抜け出す方法がありますのでご紹介します。
【目次】
1.発達障害の子どもにイライラする
2.イライラが止められないワケ
3.怒ってばかりの子育ては子どもの発達に悪影響!
4.「イライラ記録」で得られる2つの効果とは
①具体的に記録できる
②怒りのピークをやり過ごせる
5.発達障害の子育てが変わった!「イライラ記録」応用編
①記録すること自体が怒る抑止力になる
②子育てをもっと楽しくする作戦が立てられる
1.発達障害の子どもにイライラする
私には発達障害・自閉スペクトラム症の息子がいます。
2~3歳の頃から息子の行動がすべて目について、
「ダメ!」
「どうしてそんなことするの?」
「いつもダメって言っているよね?」
と怒ってばかりのママでした。わが家の場合、夫と私のイライラポイントが同じだったことから、2人で息子に怒ってばかり。
あまりに怒ってばかりいるので、近所の人にピンポーンとされることもありました…
後で「はっ!」と我に返って、どうしてこんなに怒っちゃったのだろう?そこまで怒る必要はなかったかもしれない…と後悔の嵐。何度寝顔に謝ったか分かりません。
自分で言うのもなんですが、私は融通の利かないまじめ人間。発達障害の子育てをしていると、このまじめさが本当につらくなってきます。
子どもに対しては、いわゆる「いい子」でいてほしい。
周囲に迷惑をかけるなんてあり得ない。
だから、「いい子」の基準に合わないことが目に付いて、なんとか正そうとする。結果、厳しい態度になってしまいました。
私自身に対しては、「優しいママ」でありたい。「いいママ」になりたい。
だから、怒ってばかりの自分が許せなくて自己嫌悪してしまいます。
子育ての理想と現実のギャップ、本当につらいですよね。しかも、怒ってばかりいても発達障害の子どもがさっと動いてくれるわけでもなく、さらにイライラしてしまいます。
どうやったら、怒ってばかりの子育てがうまくいくようになるのか?その方法についてお伝えしますね。
ママのイライラが爆発しやすい、宿題問題についてはこちらで解説しています
2.イライラが止められないワケ
毎日何かしらにイライラしてしまう自分に、「私って怒りっぽいのかな」と自己嫌悪されていませんか?
実は、イライラって癖になってしまうのです!
感情にまかせて怒ったからといって、子どもがお母さんに従うとは限らない反面、お母さんは一定のスッキリ感を得ることができます。
愚痴を言ったときって、問題が解決されていないのに、少しスッキリした気分になりませんか?
イライラやストレスで頭がパンクしてしまったとき、感情を声に出してアウトプットすると落ち着きます。これが脳にとってはご褒美になってしまい、愚痴を言うことをやめられなくなっているのです。
発達障害の子どもにイライラして感情にまかせて怒ってしまうときも同じ現象が起きています。イライラを「怒る」という行動でアウトプットしてスッキリさせているのです。
スッキリするので脳にとってはご褒美!癖になってしまうのです。
毎日怒ってしまう方は、元々の性格で怒りっぽいのではなく、「イライラした→子どもを怒る」という経験をたくさんしてしまったことで、脳が習慣化されてしまっているのです。
3.怒ってばかりの子育ては子どもの発達に悪影響!
お母さんがイライラして怒る、ということが癖になって、子どもに怒ってばかりいるとどうなるでしょうか。
発達障害の子どもはネガティブな記憶をインプットしやすい性質があります。こうしたらお母さんが怒った、ああしたらお母さんが怒った…と記憶し続けたらどうでしょうか?
あれもダメ、これもダメだと「どうしたらいいの?」と思いますよね。子どもに怒ってばかりいてどうすればいいか伝えないままだと、どんな行動をとればいいか分からず、行動意欲が失われてしまいます。
子どもの発達は新しい経験を積むことで加速していきます。経験とは「行動」です。行動しなければ経験できません。
行動意欲を失くしてしまった子どもは、新しい経験を積む機会が一気に少なくなり、脳の発達を加速させることができなくなってしまいます。
発達障害の子どもは脳の発達がゆっくりだったり凸凹していたりします。だからこそ、常に新しい経験を積んで脳の発達を加速させなければならないのです!
子どもがぐんぐん伸びていくには、行動意欲があるかどうかが大きなポイントになるのです。
また、子どもに怒ってばかりいると、お母さんへの信頼はどんどん失われます。
信頼を失った人の指示にはなかなか従えず、反抗的な態度をとるかもしれません。その態度にお母さんはまたイライラして怒り、子どもはますます反抗的になる…という負のスパイラルになる可能性があります。
お母さんがイライラにまかせて子どもを怒り続けてしまうことは、子どもの発達に悪影響なのは言うまでもありません。
一方でイライラは感情ですから100%抑え込むことは不可能です。
うまくイライラと付き合って、イライラを長引かせずさっと処理できるようになれば、感情に任せて子どもに怒ってばかりいることがなくなるはずです。
4.「イライラ記録」で得られる2つの効果とは
怒ってばかりの子育てや発達障害の子にイライラすることから抜け出すには、どうしたらいいのでしょうか。
それは記録することです!
いつ、どんな状況でイライラしたのか、そのイライラはどの程度だったのか点数をつけていきましょう。イライラを感じたら、できるだけその場ですぐに記録するようにしてください。
これには2つの効果があります。
◆①具体的に記録できる
1つは、思い出してリストアップするよりも記憶が鮮明なので、具体的に記録できること。
後から記録したものを読み返して、本当にイライラする必要があったのか見直すことができます。また、具体的に記録すると、イライラしないためにはどうしたらいいのか、対策を立てやすくなります。
◆②怒りのピークをやり過ごせる
もう1つは、「記録する」こと自体が怒りのピークをやり過ごせる方法の1つになることです。
イライラのピークはたった6秒と言われています。この6秒をどう過ごすかで、イライラが大きくなって大爆発してしまうのか、小さくなって消えていくのかが決まります。
瞬間的に大爆発してしまったとき、じわじわイライラ度が高まっていくとき、イライラを感じたときの気持ちの変化はいつも同じではありません。
イライラを感じたらすぐに記録する、というのは難しいこともありますが、成功できたら、イライラのピークの6秒を記録しながらやり過ごせるかもしれません!
私は元々瞬間的に爆発する方が圧倒的に多いタイプだったのですが、「記録をつけなきゃ!」と意識を無理やりシフトする経験を重ねて、今では「じわじわイライラ」タイプになりました。
ただ、イライラを記録することは自分の気持ちに冷静に向き合える反面、気持ちが不安定なときに記録すると、どんどん落ち込んでしまったり、イライラを増長させたりする可能性も否定できません。
後から後悔してしまうことが多い、というお母さんはなるべくその場で記録するように。その場で記録するとますますイライラしてしまいそうなお母さんは、冷静になってから記録するようにするといいかもしれません。
5.発達障害の子育てが変わった!「イライラ記録」応用編
怒りのピークをやり過ごす方法は、「アンガーマネジメント」として、さまざまな方法があり、インターネットで検索すると大量の情報がヒットします。
記録する以外にもいろいろありますので、ご自身に合ったものにトライしてみてくださいね!とよく言われますが…私は記録以上に効果があるものはないと確信しています!
記録を作る目的は、具体的な状況やお母さんの気持ちを記録して、今後に生かすこと。ですが、実際に私が記録をつけてみると、記録すること自体が子育てを変えられる大きなきっかけになったのです。
ここからは応用編として、怒ってばかりの子育てがイライラ記録によって、子育てがどう変わったのかについてお伝えしたいと思います。
◆①記録すること自体が怒る抑止力になる
イライラした記録、怒ってしまった記録をつけてしばらく経つと、ふと冷静になったのです。「私、こんなことで怒っちゃっていたんだ…」と自分がいかに怒りっぽいのかと実感して落ち込みました。
こう気づいて落ち込むと、ささいなことにイライラしている自分をより気づきやすくなります。
そして、イライラが大きくなって怒りそうになったとき、「あ、これ以上イライラしたら記録を付けなきゃいけない」といったん立ち止まることができるようになりました。
このように、記録に残ることを意識して、行動を変えることができるようになったのです!
そうすると、「イライラしなくても済む方法」を探すようになります。
例えば、それまでならイライラすると、
「○○してよ!」
「いつも言っているでしょ?」
「なんでやらないの?」
と子どもを責めるような言い方で怒ってしまっていたところを、
「ねえねえ、今○○してくれたらお母さんうれしいなぁ~」
「今○○してくれたら、なんとおやつもう1つプレゼント!」
「○○してくれるお兄ちゃんはどこかしら~?」
と、いら立ちの代わりに、子どもを動かす声掛けをどんどん使っていけるようになりました。
◆②子育てをもっと楽しくする作戦が立てられる
イライラを記録すると、お母さん自身の気持ちとしっかり向き合えて冷静になれます。
しかし、今後に生かすために反省タイムは必須です。どうしても「やってしまった…」という後悔の思いがつきまといますよね。
落ち込んだ気持ちを浮上させてくれるもの、それは子どもに対する肯定的な気持ちです。
イライラを記録する一方で、肯定的な気持ちも記録しておくようにしました。
イライラの記録を反省して落ち込んでも、この肯定の記録を読み返せば、子どもの成長や長所に目を向けることができます。
「私怒ってばっかりだったけど、この子はこんなに成長したんだ…」
「この子は○○が好きなんだな、だったらもっとやらせよう」
と、子どもの成長や得意なことに気づきやすくなったのです。この記録を元に、得意なことがトコトンできるような環境を整えたり、褒め方のバリエーションを増やしたりしていきました。
テストで100点取れた!とか、かけっこで1番になった!なども記録しましたが、もっと日常のことも記録しました。
ご飯をおかわりした!
お手伝いしてくれた!
自分でランドセルの片づけができた!
今日も元気に過ごせた!
こんな感じです。こんな日常の記録でも肯定の記録も貯めていきましょう。読み返すと、以前の記録と今の記録を比べて、成長を感じることができるはずです!
イライラの記録と肯定の記録、両方記録することでお母さんが穏やかな気持ちで子どもの成長に目を向けられるようにしていきしょう!
私は、イライラの記録と肯定の記録をまず1週間とりました。1週間記録しただけでも、自分が何にイライラし、何に喜んでいるのか傾向をつかむことができました!
私がイライラしてしまうことは、時間がない時に子どもが動かないこと(ママあるある!)。
私がうれしいことは、子どもが「お母さん大好き!」とハグしてくれること。
そこで、時間がない時は夫に家事や子どもの世話を任せて、私は別室で別の準備を進めるようにしてイライラを回避する作戦を取りました。
また、「今日はしんどかったなー」という日は、自分から子どもを抱っこして「お母さんは○○のこと大好きだよ」と伝えるようにしました(絶対に「僕も大好き♡」と答えてくれるので気分が上がります)。
こうして、イライラの回数を減らしながら、ハッピーの回数を増やしていくことで、毎日の生活がとても楽しくなりました!
記録を取ることの利点は、とてもたくさんあります。
・お母さん自身が何にイライラし、何に喜びを感じるかを把握できる
・怒りをやり過ごすためのツールになる
・記録の存在を意識することで、子育てが変わる
・よりよい子育てをするための情報収集ができる
また、イライラポイント=発達障害の子どもの課題がほとんどになりますから、子どもの発達支援にも役立てられます。
ぜひ毎日の生活に記録することを取り入れてみてくださいね!まずは1週間チャレンジしてみてください。
今すぐできる発達障害の子どもにイライラする対策は他にもあります。ぜひ併せてチェックしてみてくださいね。
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執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)