【お悩み相談室】発達障害・グレーゾーンの子どもはかんもく傾向があり家庭外で話すことができません。どう対応したら良いですか?

子どもは現在、幼稚園に通う4歳です。発達障害・グレーゾーンで幼稚園では声が発せられないというかんもく傾向があることがわかりました。家庭では普通にお話しをしているのですが、今後どのように対応していけば良いでしょうか?

 

4歳・女の子のママ

お母さんとしては家庭の様子と違うことが判明し心配ですよね。無理強いせずに焦らないことが寄り添う上で大切なんですよ。

 

発達科学コミュニケーションリサーチャー みずおち梨絵

 

【目次】

 

1.発達障害やグレーゾーンの子が抱えるかんもくとは?

 
 
「かんもく」皆さんはこの言葉を聞いたことがありますか?
 
 
最近ではテレビのドキュメンタリーで耳にする機会も増えてきました。目次では発達障害やグレーゾーンの子が抱えると記しましたが、実際には定型発達の子どもの中にもいることがわかっています。
 
 
かんもくとは、家庭や決まったコミュニティの中では自分の声を出すことができるのですが、ある一定の場所では全く声が出なくなってしまったり、表情が固まって動けなくなってしまったりという状況のことをいいます。
 
 
以前はかんもくという言葉自体があまり知られておらず、性格的なものと見過ごされることも多くありました。
 
 
しかし実際には繊細で不安が高い女の子に多く、早い子では3歳から、遅くとも小学生には発症する子が多いのがこの「かんもく」です。発症する原因が不明な部分も多く、周りの理解が乏しいのが現状です。
 
 
性格だから…そう思われてしまうからこそ、親はもちろん周りも本人に対して無理強いをしたり、からかったりしてしまう状況もあるかと思います。
 
 
ここで絶対に間違えてはいけないのが、本人は話したくなくて話さない!のではなく、話したい気持ちがあるけれど声が出てこない!ということです。
 
 
 
 
発達障害やグレーゾーンのお子さんでかんもくがある場合や、かんもくだけを抱えている場合に限らず、周りが早くに気がついて適切な対応をしていくことが重要となります。
 
 
次項からは、娘のかんもく傾向に私が気がつくまでやってしまった失敗した経験を交え、寄り添い方をお話ししていきたいと思います。
 
 
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2.周りの焦りが余計に声を出なくする

 
 
ここで、私が娘のかんもく傾向があることに気がつくまでやってしまった失敗をお話しさせてください。
 
 
娘は現在、幼稚園の年長さんです。幼稚園の年少のときの先生から「〇〇ちゃん、私から話しかけても全く返してくれないんです。」との話をされました。
 
 
そのときの私は「この子、もともと不安が強い子なんです。家庭では話しをするのでまだ幼稚園に慣れていないだけですかね〜」と談笑して帰宅しました。
 
 
それから数ヶ月後。ふと気になり、私が担任の先生に以前ご指摘された内容を確認したら、「今もお話してくれません。」との返答が…
 
 
どうしたんだろう?という思いが私の頭の中をぐるぐる回りました。幼稚園の先生にもお友達にも慣れてきていいはずの時期であるのにも関わらず…
 
 
娘の状況に焦りと不安が強くなった私は、娘に声を出しなさい!聞かれたことに答えなさい!今日はちゃんと話せたの?お口ある?と繰り返す日々が始まりました。
 
 
そのときの私には、どうして声が出ないのだろうか?と状況や背景を考えてあげられる余裕がなかったんですよね。
 
 
そんな日々を過ごしていたら、先生からお友達とのやりとりもしなくなってしまったとのご報告がありました。
 
 
 
 
そうです!娘にはかんもく傾向があったのです。しかも、適切に寄り添い対応しなければならないのにも関わらず、不適切な対応で余計にひどくさせてしまっていました。
 
 
これは何か違うぞ!と思った私は、その頃から適切に対応をしていくようになりました。
 
 
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3.解決への一歩は理解と味方づくり

 
 
娘にかんもくがあると気がついてから私がまず初めに行った対応は、周りの大人との連携です。
 
 
かんもく対応ではとにかく幼稚園や保育園、習い事で関わる先生を全面的に味方につけることが重要と考えています。
 
 
まだまだ知られていないことが多い「かんもく」という言葉はもちろん、そしてその症状をしっかり理解してもらうことが大切です。一言にかんもくと言っても子どもによりその症状は様々です。
 
 
ですので、私は紙面に娘の理解を求める内容とどのように対応してもらうことが良いのかお伝えしました。
 
 
例えば、
 
・話しかけられても声は出ないので頷きや首振りで対応してもらう
 
・日直やみんなの前での発表は先生が一緒に言う形を取ってもらう
 
・周りの子どもへ「話したくなるまで待とうね」という理解を求める対応をしてもらう
 
・声が出なくても前に立てたこと自体を褒めてあげる
 
・もし声が出た場合には大袈裟に褒めるのではなくソフトにできたことを認めてもらう(グッドジョブサインや先生からの笑顔の頷きなど)
 
 
などです。
 
 
これを繰り返し行った結果、長期休暇後の生活発表会ではクラスのみんなの前で声を出すことに成功しました。
 
 
そこで気をつけなくてはいけないのが、「これができたんだから、次からは声出せるよね!」と周りが絶対に焦らないことです。
 
 
本人が声を出しても良いんだという安心できる環境設定、そして声がしっかり出せるんだという自信を子どもにつけさせてあげることを繰り返し行っていくことが大切なのです。
 
 
我が家もまだ解決には至りませんが、娘の安心を増やせるよう周りの環境設定を整えることを継続していこうと思います。
 
 
かんもくは対応を間違えればすぐに悪化してしまう厄介なものです。日頃の接し方が症状を緩和していきます。
 
 
大人になるまで引きずらないために今できることを、できるときにしっかりやっていってあげたいですね。
 
 
今「かんもく」に悩んでいる方のお役に少しでも立てたらと思います。
 
 
 
 
そして絶対に忘れないでください。
 
 
本人は話したくないから話さないわけではない!声を出したくても出ないのです。
 
 
そのことを少しでも多くの方に理解してもらえると嬉しいです。
 
 
かんもく傾向のある子どもに効く対応を多数お伝えしています。

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執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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