発達障害・グレーゾーンのお子さんを育てるお母さん、スマホを毛嫌いしていませんか?実は、ITの力を借りればもっと子どもは楽に生きることができるんです。これからの時代を生きる子どもたちのIT力を高める「思考力」について解説します。 |
【目次】
1.デジタルネイティブ世代の子どもたちの発達を考える
私たちの生活を劇的に変えたものといえば、インターネット、そしてスマホではないでしょうか。
平成30年の総務省の調査によると、10代から40代の日本人は、各年代とも80%以上スマホを持っているそうです。(総務省HP「インターネットの広がり」より)
泣きやませアプリなど、赤ちゃんの頃からスマホは身近なもの。生まれながらにスマホやインターネットがある子どもたちの世代を、「デジタルネイティブ」と呼ぶそうです。
小さいうちからスマホやタブレットを気軽に操作できる環境にあることについて、さまざまなことが議論されています。
小さい頃からスマホに依存してしまう危険性がある!使用はできるだけ大きくなった方がいい!
かといって、いずれ使うのであれば小さい頃からインターネットのモラルや使い方について教えていく方がいいのでは…?
専門家の間でもさまざまな意見があることもからも分かるように、子どもたちが、インターネットやIT機器とどう付き合っていくのかは難しい問題です。
大人が当たり前のように使っているスマホですが、子どものスマホ所持率に関しても、内閣府が調査しています。
平成30年の調査では、なんと10~17歳の子どもの93.2%がスマホを所持しているというデータがあります(青少年のインターネット利用環境実態調査)。
子どもたちにとっても、「スマホを持つことは当たり前」になっていると言えるのです。
ここまでデジタル機器が普及している社会では、IT知識やスキルを持つことが必須条件になること言うまでもありません。
ここまでITが社会に浸透していると、「パソコンが苦手です…」という人の就職口は一気に少なくなります。
また、ITが「使えてあたりまえ」という状況になると、もう1歩先が求められるようになります。
つまり、ただITが使いこなせるだけでは不十分!ITを駆使して、何か新しいビジネスや商品を生み出せる人こそが求められるのです。
子どもを含めて、個人がアプリを作って販売することは既に可能です。画期的なアプリを作れば、たった1人の開発者が社会を変えることだって夢ではないのです。
世の中はどんどん変わっていきます。今までの常識の固執せずに新しい知識や考え方をどんどん受け入れていきたいですよね。
この記事では、発達障害・グレーゾーンの子どもたちを救うと言っても過言ではないITの付き合い方と、ITを駆使して新しいモノ・サービスを生み出せる人になるために必要な「思考力」について解説します。
夏休みの今、お子さんのスマホの使用時間が増えてイライラしている方もたくさんいらっしゃると思います。今こそ、ぜひITについて改めて考えてみませんか?
2.発達障害・グレーゾーンの子どもとITの付き合い方
発達障害やグレーゾーンの子どもを育てるお母さんに、絶対に知っておいていただきたいこと。それはITを駆使することで生きづらさを解消できる場面が多いという事実です。
特にスマホは発達障害やグレーゾーンの子どもの特性をカバーできる、とても便利な道具です。
例えば、ワーキングメモリに課題があって、先生や親からの指示をなかなか覚えていられない子の場合を考えてみましょう。
書くのが苦手でメモが取りづらい。
モノの管理が苦手で、せっかく取ったメモが行方不明になる。
そもそもメモを取ったこと自体を忘れてしまう。
発達障害・グレーゾーンのお子さん、あるあるですよね。
では、こんなタイプの子どもがスマホを手にしたらどう変わるでしょうか?
スマホは肌身離さず身に着けていることが多いですよね。行方不明になる可能性は手帳よりは低いかもしれません。
すぐに取り出せて、言われたことをメモ入力できます。それも難しい子は動画やボイスレコーダー機能で指示を録音することもできます。カメラで写真として残すこともできますよね。
スマホなら、「メモとして記録に残す」だけでもさまざまな方法があり、自分の好みに合わせて選択できます。
後からチェックする際も、スマホを肌身離さず身についていれば、いつでもどこでもチェックできます。
不安感が強い子で、何度もチェックしたくなるタイプには「いつでもどこでも」チェックできるのは大きな安心につながります。
発達障害やグレーゾーンの子どもにはたくさんの苦手があります。その苦手を克服させようとして努力を重ねることは大切です。でも、苦手が脳の特性からきている場合、子ども本人がどんなに努力しても克服することができないかもしれません。
「こんなに頑張っているのにできないなんて…やっぱり僕はだめなんだ」と自己肯定感を下げてしまう可能性だってあるのです。
そんなときに、「もっと頑張りなさい!」と言いますか?それとも、「道具を使ってみたら?」と別の方法を示しますか?
日本では、「頑張ること」「みんなと同じであること」が美徳とされてきました。だからといって、子どもに無理をさせてまでやる意味は全くありません。
ITが浸透して、私たちの生活は大きく変わりました。新しい知識や道具を取り入れること、発達障害やグレーゾーンの子どもたちがもっとラクに生きられる方法があるんです!
お父さん、お母さんが常識にとらわれず、新しいものを柔軟に取り入れる姿勢を見せることは、子どもにもいい影響を与えるはずです。
もちろん、スマホの使用時間が長すぎるのは心配ですが、まったく使わないのも心配な時代になっているんです。
スマホの使用ルールについてはこちらの記事にまとめましたので、ぜひチェックしてくださいね!
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3.プログラミング教育で子どもの発達が加速する!?
スマホを持つことが当たり前になっている現代社会。スマホをより便利に使えるツールが「アプリ」です。
では、そもそもアプリはどうやったら作れるのか?それがプログラミングです。2020年から小学校でプログラミング教育が必修になり、関心を集めています。
私の息子は小学校1年生ですが、すでにクラスの半分近くのお友達がプログラミング教室に通っているほど、お母さんの関心の高さがうかがえます。
一方で、「プログラミングってよくわからない…」という声をもよく聞きます。教室に通っているお子さんのお母さんも、「自分ではフォローできないから習わせている」という人も意外と多いんです。
こんな、習い事として人気の割に、実態がよく知られていない「プログラミング」。プログラミングとは、プログラミング言語を使ってコンピュータにしてほしいことを命令すること。パソコンだけでなく、家電やインフラなど現代社会には欠かせない存在です。
小学校でプログラミング教育が必修化されるのは、プログラミングのコードを覚えたり、プログラマーの才能を発掘したり、社会を変えるアプリ開発者を育てるためではありません。
コンピューターにどんなことがしてほしいのかイメージを膨らませること、そのためにはどんなプログラムを作ればいいのか論理的に考えること、うまくいかない場合は何が原因か考えて何度も試行錯誤してみること。
プログラミングを通して論理的思考や問題解決能力、忍耐力を育むということを目的としています。
つまり、技術ではなく思考を育てることが学校現場でのプログラミングです。
アメリカのタクシー業界を変えた、配車アプリ「Uber」。一般の運転手と移動したい人をマッチングさせるサービスを提供するアプリですが、この開発だって、コードがすばらしいというわけではありません。
・タクシーが見つからないとき、別の移動手段はないか?
・もっと安く移動できないか?
という、人々の潜在的なニーズを発掘できたから、大ヒットになったのです。
これはUberだからできたのではなく、人がだれでも持っている、「どうしてこうなの?」という疑問が根本にあります。
おうちや学校で何かトラブルがあるとき、何が原因なのか、どうすれば解決できるのか必要な情報を集める。問題解決に必要な知識やテクニックを持っていないのであれば、新しく学習して問題解決のための方法を検討して実行する。
ぜひ、この夏休みは、「どうしてだと思う?」「どうしたらいいと思う?」をキーワードにして、考える習慣づけをしてみませんか?
プログラミングやITというと、どうしても技術の面に目が向きがちですが、本当に大切なことは技術ではないのです。
デジタルネイティブの子どもたちがこれから生きていくために大切なのは、まずは論理的な思考を獲得し、問題解決能力や試行錯誤する力を育むこと。ぜひ声かけや対応を工夫してみてくださいね!
デジタルネイティブを育てるお母さんの学びについて配信しています
執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)