どうして夏休み明けに登校しぶりをする小学生がいるのでしょうか?人間の欲求は5つあり、ひとつずつ段階を踏んで行かないと満たされないとされるマズローの欲求5段階説から紐解いて、お母さんだからできるコミュニケーションを考えていきましょう。 |
【目次】
1.夏休み明けの登校しぶりを心配しているお母さんへ
今年度は、各市町村で2学期の開始時期がバラバラでしたが、もう皆さんのお子さんの小学校は始まりましたか?
特に、新しいことが苦手な環境変化に弱いタイプのお子さんだと、夏休み中にゆっくりできた家から、学校というチャレンジの場に「行きたくないな」と言っているお子さんもいらっしゃるかもしれませんね。
お母さんは、なんでうちの子だけ嫌がるの?どうしたらいいのだろう?私の育て方が悪かったから?と心配して思い悩んでいませんか?
変則的に始まった1学期に何とか頑張って登校していた子も、長期の夏休みにその緊張の糸も切れて、2学期の始まりは行きたくないと思ってしまう子がいます。
人間の行動は全て脳が司っています。
脳は1学期に何とか学校に行くという習慣ができると、こなせる能力があります。しかし、夏休み中にその習慣がなくなりますね。
そして、脳は何かやり始めるときに一番パワーが必要なので、2学期の始まりに学校へ行くことは相当な勇気と行動力が必要となります。
また、今年はコロナウイルスの影響で、感染予防のためのマスクの着用やトイレ・校庭等の使用人数制限など学校で守らないといけないことが増えていますよね。
さらに学校の授業が詰め込まれていたり、行事の変更、直前で学校に行く日も変わったりして、特に環境の変化に適応するのに時間がかかる子はつらい状況ですよね。
その子によって感じ方は様々ですが、何かしら、学校がつらいなと思うことがあるのだと思います。
私には、初めてが苦手な小学校2年生の息子がいます。
小学校入学時に何もかも初めての環境で、「学校に行きたくない!」と朝布団から出てこなくなった経験があります。
何て声をかけていいか分からない。 「先生が待っているよ。」「みんな学校に行っているよ。」そんなことを言っても息子の心には届きません。
母親としてどう対応したら分からない状況で、発達科学コミュニケーションに出会い、私の息子への声かけを変えました。
そして、今では元気に登校しています。
だから、お子さんが夏休み明けに登校しぶりを起こしているお母さんの胸の内は、痛いほど分かります。
次からはそんな、登校しぶりを人間の欲求から考えてみようと思います。
2.人間の欲求から学校に行くことを考えて見よう!
突然ですが、マズローの欲求5段階説を知っていますか? 下の図を見てくださいね。
人間には5つの欲求があります。下から見ていきますね。
生理的欲求:生きていくために必要な基本的・本能的な欲求(食欲、睡眠欲、性欲、呼吸、排泄、食欲など)
安全の欲求:安心・安全なくらしへの欲求
所属と愛の欲求:友人や家庭、社会から受け入れられたい、集団に属したい欲求
承認欲求:自分を認めたい。他者から尊敬されたい、認められたいと願う欲求
自己実現欲求:自分個人の夢を叶えたいとチャレンジをする欲求
人間は、一番下の生理的欲求から現れ、その欲求がある程度満たされると、次の欲求が現れます。
下からひとつずつ満たされていくと、自分らしく生きていくことに満足感を得られます。
では、学校はどこの欲求に属すると思いますか?
所属と愛の欲求だと思います。学校という集団に属して、友人や先生、学校という社会に受け入れられたいという欲求です。
しかし、所属と愛の欲求に行くには、そのすぐ下の安全の欲求が満たされていないといけません。
あなたのお子さんにとって、親から離れて一人で挑戦する「学校」が安全・安心と思える場所でしょうか?
何か不安や恐怖を感じる場所になっていないでしょうか?
安全の欲求が満たされなければ、その上の愛と所属の欲求がわいてこないのです。
つまり、学校が安全で行っても大丈夫と思えないと、学校という小さな社会に所属したい!!という思いがわかないのです。
ではどうしたら、学校が安全で不安のない場所で、親から離れて一人で「学校」に挑戦しようと思えるのか、お母さんができるコミュニケーションを考えてみましょう。
3.お母さんだからできる学校への不安を癒やす「おうちカウンセリング」
お母さんはお子さんが、学校でどんな不安を抱えているのか?学校をどう感じているのか? 知っていますか?
まずは、子どもの思いを聞くのが先決です。
おうちでお母さんがお子さんの不安を癒やすという意味で「おうちカウンセリング」と呼んでいます。
具体的には、「学校に行きたくな」と言われたら、「何か学校で嫌なことがある?何でも聞かせてね。」と声をかけてみてください。
お子さんが色々と話をしてくれると思います。とにかく学校に対してどんな感じ方をしているのかをお母さんが知ることです。
ここで、効果的に聞くための注意点があります!
お母さんは基本的に否定しない。 「うん、うん。」「そうだね」とひたすら相づちをうって想いをはき出させてあげてください。
途中で、「じゃあ、こうしたらいいよ」「そんなことないでしょ!」など意見を言いたくなることもありますが、ここはグッと我慢!
お子さんが、不安な想いをはき出さずに頭の中でグルグルしていると、どんどんつらくなっていきます。
だから、それを全部はき出して、お子さんの心をスッキリさせてあげてください。
お母さんが何でも聞いてくれると分かれば、お母さんがいるから大丈夫!とお母さんが心の安全基地になり、少しずつ外の世界でも挑戦してみようと思えるものです。
そして、お子さんが感じている不安の中で、お母さんがお子さんに対応できるものも見つかると思います。
もし、それが先生や学校に協力を得られるものなら、先生にお願いすることもできますよね。
私は、息子が登校しぶりを起こしたときに、おうちカウンセリングで息子の想いを聞き続けました。
すると、息子もお母さんに聞いてもらえることで、私を安全基地として少しずつ学校へ前向きに行けるようになりました。
そのとき初めて、集団で行動するのにどうしていいか分からなくて、必死でクラスメイトを見て頑張っていたこと、超偏食で給食が食べれないのに先生に食べないといけないと言われ、つらい思いをしたことなどたくさんのことが分かりました。
それに対して、先生に丁寧に説明をして、協力を得ることができました。
それが、息子にとって学校が安全・安心な場所ではなかったのが、安全・安心な場所に変わったのです。
安全の欲求が満たされ、次の所属と愛の欲求にステップアップして、前向きに学校に関われるようになったのです。
ぜひ、登校しぶりに悩むお母さんに、子どもの想いを聞くことをオススメしたいです!
参考になれば、幸いです。
夏休み明けの登校しぶりにママだからできることを発信中!
執筆者:小出さとみ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)