発達障害・ADHDの子どもへ薬を飲ませるか悩んだことはありませんか?我が子は、服薬に至ったきっかけがあります。私が思う、薬との付き合い方や、心がけた適切なコミュニケーションについてのお話を紹介させていただきます。 |
【目次】
1.発達障害・ADHDの息子の幼稚園での絶えないトラブル
2.服薬に至った経緯
3.薬がもたらした息子の変化
4.土台であるコミュニケーションの見直し
5.薬との付き合い方と最も重要なコミュニケーション
1.発達障害・ADHDの息子の幼稚園での絶えないトラブル
子どもが集団行動ができなかったり、落ち着きがなく度々その場から離れていってしまったり、感情のコントロールが難しく、友達とのトラブルが起きたり。
そのような行動が目立ち、幼稚園や学校の先生から報告をもらった経験はありませんか?
私の息子が幼稚園に通っていた頃は、まさにこの状態でした。息子は現在、小学2年生です。
息子は年長の頃、子ども専門の心療内科に行き、発達障害・注意欠陥多動性障害(以下、ADHD)グレーゾーンと伝えられました。
主治医との相談で、息子は薬を飲み始めて約3年経ちます。
薬を飲み始めたきっかけを次にお伝えしますね。
2.服薬に至った経緯
息子が1歳の頃、夫の仕事の関係で私たち家族は中国に住み始め、1歳半からは現地の保育園と幼稚園に通いました。
息子が家にいるときは、親子のコミュニケーションは日本語ですが、園にいるときは中国語と英語の環境でした。
息子が2歳前後の頃は、日本語・中国語・英語の単語を発することはありましたが、3つの言語が息子を混乱させていたのか、2歳から3歳の頃は2語文が出ることが少ない状態でした。
そして、当時の息子は、1度癇癪を起すと30分以上床に転がって泣きわめき、気持ちを切り替えることが難しい状態でした。
癇癪を起こしていなくても、気づくと自分の頭を壁に打ち付けているときもありました。
そして、抱っこをしているとき、息子はニコニコ笑いながら、私や夫の腕に本気で噛みつき、それが言葉の代わりのコミュニケーションのようになっていました。
4歳を手前に日本に帰国し、爆発的に日本語が口から出るようになりました。しかし、思い通りにならない時は癇癪を起こし、自分の頭を自ら柱や床にぶつけていました。切り替えも遅く、怒ると友達に噛みつき、トラブルはたびたび起こりました。
離席や、順番を守ることもなかなかできませんでした。さすがにこれは何か発達の問題があるのでは?と本気で気になり出したのです。
幼稚園の先生、住んでいた市の臨床心理士に相談し、色々と対策を練っていたのですが、一向に友達への攻撃は収まらず、更には暴言まで出るようになってしまいました。
息子が年中の途中でまた引っ越しがあり、年長になった頃には私が第2子を妊娠しており、環境の変化も息子の情緒にかなり影響していたのだと思います。
私は、どうすれば良いのだろうと悩み、息子を子ども専門の心療内科へ連れて行くことにしました。
そして、医者から「〇〇君はADHDグレーかと思います。発達障害を治す薬はありませんが、本人がコントロールできないところをサポートする薬があります。友達を叩いてしまう頻度が減ったら、○○君も気持ちが楽になるかもしれません。試してみますか?」と言われました。
世の中には、風邪薬や頭痛薬、聞いたこともない薬も多種多様ですが、大抵の人は子どもでも風邪薬あたりは一度でも飲んだことがあるのではないでしょうか。
アレルギーがない限り、風邪薬は疑うことなく早く治したいという一心で飲むかと思います。
ですが、「発達障害の薬」と聞くとどうでしょう。
副作用への怖さや、やめられなくなるのでは?と心配してしまう方もいるかと思います。私と夫も初めはその気持ちがありました。
ですが、息子は友達を叩いてしまった後に、「僕は頭では、友達を叩いちゃいけないってわかってるのに、叩いちゃうんだよ」と、泣きながらよく言っていたのです。
そしてひどいときには「この脳みそいなくなっちゃえ!」と言いながら自分で自分の頭をポカポカ叩くこともありました。
その言葉と姿に、私はものすごくショックを受け、「この子が言うように、自分でコントロールするのが難しいんだな」とやっと気づいたのです。
そして、薬を飲ませることを決断したのです。
3.薬がもたらした息子の変化
息子の場合、薬の効果は副作用も無く、良い状態で現れました。
幼稚園の先生から、「○○君、今日すごく笑顔で、友達を1度も叩いてないんですよ!叫んで攻撃することも少なくなっています。薬飲み始めたんですよね?」と報告を受けたのです。
久しぶりすぎる、嬉しい報告でした!
「僕、友達叩いてないよ!」
息子は笑顔で自慢げに私にも報告してくれました。
それまでの息子の表情は、なんだか怒っているように見えていたので、「あぁ、良かった。この子笑ってる。自分でも嬉しいんだな。」そう安堵しました。
そして、友達とのトラブルも一気に減りました。
今まで迎えのたびに息子のクラスの子達に「○○君のお母さんは、○○君に怒ってるの?いつも叩いてるよ」なんて、私はかなり辛いことを毎回言われていましたが、それもパタリとなくなりました。
少しずつですが、声や音にも過敏にならず、クラスの部屋にいる時間が長くなってきました。
参加できなかったダンスも、前より音が気にならなくなったのか、楽しそうに踊れるようになりました。
そして、小学校の入学式はどうなることやらと思っていたら、人が変わったようにピシッと席に座っていて、正直大変びっくりしました。
4.土台であるコミュニケーションの見直し
「薬に頼ればそれでいいというわけではない。」
薬の効果が息子に良い状態をもたらしてからも、私はこの思いは変わりませんでした。
もっと学べる場を日々探し、まずは心療内科のペアレントトレーニング(以下、ペアトレ)を受講し始めました。
臨床心理士さんの話の内容は、「発達障害」と言う言葉は使われず、子どもの状況に応じた褒め方、叱り方、声がけ、日々の生活でのサポートの仕方を学びました。
学んだことを試してみた結果報告も、参加していた親御さん方と共有しました。
我が子の特性は、本やインターネットで調べて、ある程度は把握できていても、行き詰まってしまうこともありますよね。
私は、ペアトレを学んだことで改めて息子の特性を理解して対応できることを再確認できました。また、参加していた親御さんの悩みも聞けて、共感をすることで心配事も少し軽減し、参加して良かったと思いました。
そして現在は、発達科学コミュニケーション(以下、発コミュ)を学び、実践している日々です。
発コミュで学んだやり方で、息子のできているところに注目して、褒めることを繰り返しています。
学校から帰ってきたら、
「今日も暑い中、頑張って学校から帰ってきたね、体力ついたんだね。」
物を取ってくれたときには、
「ありがとう、気が利くね!!すごく助かるよ!!」
妹のお世話をしている姿を見たら、
「優しいねー!○○ちゃん(妹)も喜んでるよ。」
そう接しているうちに、息子が、「ママ、ねえ褒めて」と、たくさん言ってくるようになりました。
褒められることって、やはり嬉しいのですね。そんな姿を見て、私も嬉しくなります。
困っていることがあれば、それは何か、なぜ困るのかを観察し、息子本人の意見も聞いて、過ごしやすくするためにコミュニケーションをとって対策を実践しています。
息子の思わしくない行動にも、初めから否定ばかりせず、どうしてそうなるのかを、息子の感情に巻き込まれないように、よく観るようにしています。
そうしているうちに、息子自身も、「ここで僕は怒っちゃいけないんだった。」と、自分の怒っている感情に気づくようになりました。
私はよく思うことがあります。
「息子のことを一番知っている私が変わらなければ、誰が息子を良い方向に変えていくの?全て学校任せ、周りの流れ、時の流れに任せていたら、どんどん辛くなるのは自分自身。息子はそれ以上苦しむのでは。」
息子に苦しんでほしくないから、自信を持ってほしいから、しっかり向き合うようにしています。
適切なコミュニケーションを学べる、発コミュを始めてから、息子は穏やかに過ごす時間が日々増えています。
上記でも述べたように、褒める機会が増えたことで、息子の笑顔が増えました。頭ごなしに叱ることが無くなったことで、息子には落ち着きが出て、私の声にも耳を傾けられるようになってきました。
息子自身も、私や友達の良いところを見つけて褒めるようになったり、以前より優しさが表現できるようになってきました。
もちろん、私自身も、相乗効果で、今までのようなスッキリしないモヤモヤ感は無くなりました。前向きに私自身も成長している実感があります。
5.薬との付き合い方と最も重要なコミュニケーション
すでにお伝えしたように、薬を飲み始めてからの息子は表情が和らぎ、笑顔が多くなりました。
息子は、薬を飲むことに抵抗はありません。「薬は自分を少し手助けしてくれるもの」と思っているようです。
主治医との相談でも、今後やはり一番大切なのはコミュニケーションであって、薬も、成長と共に減らしたり、無くしたりしていくことも話し合っています。
実際、義務教育の終わる高校生あたりで自分の進路や、やりたいことを選べる実状から、ストレスが軽減し、薬を無くす方も多いと、主治医から聞きました。
薬があってもなくても、発コミュのような、適切なコミュニケーションは必要不可欠だと思います。
ペアトレも意味のある体験ではありましたが、私が腑に落ちる親子のコミュニケーションの仕方を学べたのは、何よりも発コミュです。
発コミュは、自分の子どもだけでなく、ママや周りのみんなも変えていける、確かなものです!!
薬について悩まれているお母さんはたくさんいらっしゃるかと思います。
薬を飲ませるか飲ませないかは、お子さんの状況をよく観察して、今何が必要か、この先の計画もしっかりして、選択することが大切だと思います。
親子のコミュニケーションが重要だということをこちらの記事でも解説しています。併せてお読みくださいね!
執筆者:たみず なな
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)