自閉症スペクトラムの子のこだわりに悩むお母さんへ。親子でハッピーになる対応をお伝えします!

自閉症の子には何かしらのこだわりとみられる行動があります。こだわりが強すぎて周りに迷惑をかけてしまったり、次の行動に移ることができないなど日常生活に支障をきたしてしまうことがあります。親子でハッピーになるこだわりへの対応をお伝えしますね!
 

【目次】

 

1.自閉症の子どものこだわりに困っていませんか?

 
 
この記事では、自閉症のお子さんの「こだわり」に悩んでいるお母さんへ、対応法をお伝えします。
 
 
こだわりには、
 
「変えられない」
「やめられない」
「始められない」
 
という3つの特徴があります。
 
 

◆「変えられない」こだわり

 
 
「変えられない」こだわりは、変化や変更することを受け入れない状態です。「こだわり」の代名詞とも言われます。
 
 
例えば、決まった同じ道を通らなければ学校に通えない場合、いつもの道が工事中だとパニックになり動けなくなってしまうことがあります。
 
 
そのほかにも、靴や洋服を変えない。
 
予定やスケジュールの変更を受け付けない。
 
 
行動自体が変えられず、毎日同じ順番ルーティンで行動するという特徴があります。
 
 

◆「やめられない」こだわり

 
 
「やめられない」こだわりは、延々と繰り返す、しつこい、諦めないという状態です
 
 
物事を開始するとそれをやめることができません。
 
 
例えば、砂遊びや水遊びがいつまで経ってもやめられない。
 
 
ブランコもお友達が待っていてもやめられない。
 
 
ビデオやDVDで気に入った同じシーンを何度も見続ける。
 
 
自分で決めた回数や時間を決めていて、その回数をこなさないとやめてはダメと考えている場合もあります。
 
 
 
 

◆「始められない」こだわり

 
 
「始められない」こだわりは、今まで経験したことのない新しい行動や場所、状況を受け入れられず強い拒否の態度として現れてきます。
 
 
例えば、初めていく場所は、たとえそれが遊園地などでも行かないし、入れません
 
 
また、外出先のトイレは怖がって使えないために、外出から帰るまでトイレに行けず、帰宅するまでおしっこを我慢して苦労している子もいます。
 
 
偏食に困っているお子さんは「始められない」こだわりと、「やめられない」こだわりがミックスしているかもしれません。
 
 
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2.自閉症の子どもがこだわってしまうワケ

 
 
自閉症の子どもたちは見通しを立てることが苦手です。
 
 
変化や予想できないことが起こると、不安からこだわりの行動が出ることがあります。
 
 
今まで経験していることや、成功したことを同じようにしたいという思いから、こだわり行動を取りたがります。
 
 
 
 
例えば、楽しいことや褒められたなどの良い思い出が記憶に残ると、その良い経験を再び同じようにしたいと思い、同じ行動や動作を繰り返してしまいます。
 
 
常に変わらない状況をつくりだすことで、気持ちを落ち着かせ、不安やストレスを軽減させています。
 
 
また、発達に凸凹のある子は感覚的に過敏であることが多く、過敏な感覚を軽減したり嫌な感覚から逃れるために物事にこだわっていることもあります。
 
 
多くの場合、「こだわり」は自閉症や発達に凸凹のある子にとっては「安心」を得るための行動になっています。
 
 
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3.こだわり行動へのお母さんの考え方とは?

 
 
こだわり行動は時にお母さんを困らせてしまいますね。しかしそのこだわりはお子さんにとって意味があることなんですよ。
 
 
お子さんの「こだわり」に対するお母さんの考え方をお伝えします。
 
 

◆危険であることや迷惑なもの以外のこだわりは「スルー」

 
 
全てのこだわりに、こだわらないことが大切です。
 
 
まずは、関わっていくこだわり行動の順位を決めてみましょう。
 
 
辞めさせたいこだわりと見守るこだわりを区別します。
 
 
人に迷惑をかけるこだわりや、危険なこだわりでない限り、無理に辞めさせず、長い目で見守ってあげましょう
 
 

◆こだわりは行動への起点となる「きっかけ」

 
 
自閉傾向にある子は「こだわり」が思考や行動の起点になっています。
 
 
「こだわり」は「ルール」「ルーティン」なので、そこから思考が始まります。
 
 
例えば、「自由に絵を描いてごらん」と言われたときに、自閉傾向がある子は想像することが苦手なので、「自由に」という指示では何も浮かびません。
 
 
そんなときに、「青」が大好きな子はその「青」を起点に思考・行動が始まります。この「青が好き」なこだわりを利用することができるのです。
 
 
子どもが「青」という1つのものを選択することができるのです。
 
 
「こだわり」は何かを選択しているということです。こだわりを認めてあげることが大切です。
 
 

◆こだわりは子どもにとっての「安心材料」

 
 
発達凸凹のある子にとって、「こだわり」はよりどころとなっています。
 
 
むやみに取り去ることは、パニックや癇癪を引き起こし、ストレスや、不安を強めることになってしまいます。
 
 
「ライナスの毛布」はご存知ですか?
 
 
スヌーピーでおなじみのアメリカの漫画「PEANUTS」にチャーリーブラウンの友達として登場するライナス君は、いつも肌身離さずお気に入りの毛布を握りしめています。
 
 
これもこだわりの一種で、このように自分のお気に入りのものにいつも握りしめていることで安心感を得ているのです。
 
 
このような本人の安心感を得るために行っている些細な「こだわり」を無理にやめさせるということは、お母さんこそがやめさせることにこだわっていることになりますよね。
 
 
これでは周りが「こだわり」にドンドン巻き込まれてしまいます。子どももパニックや、強迫症になり不安が大きくなります。
 
 
こういった特に他の人に迷惑をかけているものでなく、許容できるこだわりはむやみにやめさせないほうがいいですね。
 
 
ちなみにこのライナス君、「博愛で、毛布を持った哲学者」と呼ばれているそうなんですよ。
 
 
なんだか、素敵な呼び方ですよね!別に毛布を持っていてもいいかなって思いませんか?
 
 
 
 

4.親子でハッピーになるこだわり対処法

 
 
では、お母さんがこだわりに対処するにはどんなやり方がいいのか対応について説明していきますね。
 
 

◆子どもとの信頼関係を作る

 
 
一番大事なことはお母さんと子どもとの信頼関係です。
 
 
好きなものや、落ちつけることなどを提供し、子どもをリラックスさせてあげることが大切です。
 
 
そのためにはお母さん側は、子どもは何が好きなのか、落ちつけるものは何かよく観察して見ておく必要があります。
 
 

◆見通しを持たせる

 
 
子どもにわかる方法で事前に今後の予定や出来事を伝えます。
 
 
自閉傾向がある子は視覚優位という特性があるので、目で見てパッとわかるように、ホワイトボードなどを使って、スケジュールややることを視覚化して支援してあげると良いでしょう。
 
 
また、どうしてもやめさせる必要があるこだわりの場合、急にやめさせようとしても、かなりの抵抗があります。
 
 
子どもにとっても、大きなストレスになってしまいます。
 
 
徐々に、見通しをつけてあげながら段階をふんで少しずつ変化をつけていきます。
 
 
このように徐々に変化させるとストレスや不安への耐性が増え、こだわりへの許容範囲が広がっていきます。
 
 
お子さんがいい行動へ変化していく過程はしっかり褒めてあげてくださいね!
 
 

◆「ルール」を決める

 
 
「アラームがなったらおしまいね」
 
「〇〇回やったら交代しようね」
 
 
など、事前に動作の回数や時間などのルールを決めておき、約束どおりにできたら褒めます
 
 
約束が守れなかったときには要求にはこたえません
 
 

◆こだわりを長所として伸ばす

 
 
「こだわり」は本人の長所になることもあります。
 
 
趣味の分野や社会的に役立つこだわりは、本人の得意分野として伸ばしてあげることもできます。
 
 
水やトイレに対するこだわりが「トイレ掃除」「風呂掃除」に転換(発展)され、清掃業務に従事され、地域社会に貢献されている方もいます。
 
 
また、小さな頃から手先が器用で「細部へのこだわり」が周囲に認められ、プラモデルや絵画の領域で大いに認められ、作品展や展示会への出展を積極的に行っている方もいます。
 
 
お母さんが子どもをよく観察し、「こだわり」を長所や才能へと転換(発展)させる目を持つことが大切です。
 
 
日常生活に問題が出ないようなこだわりや、人に迷惑をかけるようなこだわりでなければ、長い目で見守ってあげましょう
 
 
実はそこに「才能」が潜んでいる可能性がありますよ!
 
 
 
 
また、子どもはお母さんの「物事に対する態度」を学んでいます。
 
 
「まっいいか〜!」とゆるい態度で接してあげること(見せること)で、子どもも「まっいいか〜!」を学びます。
 
 
まずは、こだわりへのゆるい態度を示すこと(許容する態度)が、子どもに安心感を与えることに繋がります。
 
 
いかがでしょうか?
 
 
ここまで自閉傾向のある子の「こだわり」についてお伝えしてきました。
 
 
時に厄介な「こだわり」ですが、上手に付き合って親子でハッピーに過ごしましょうね!
 
 
また、自閉傾向がある子どもを伸ばす学習法をこちらで紹介しています。合わせてチェックしてくださいね。
 
 
 
発達障害の子どもが伸びるお母さんの対応をお伝えしています!
 

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執筆者:深井淳子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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