発達障害・グレーゾーンの子どもの「片づけ脳」をグングン育てるお母さんの対応(初級編)

多くの人が「片づけ」は、感覚的に理解し、自然に身につけています。ですが、「片づけ」は脳をフル回転させて行っているってご存知ですか?そこに発達の凸凹が加わったら「片付け」に対してのハードルはグッと上がります。だからこそ、発達障害・グレーゾーンの子ども達には、お母さんの対応がとても大切になってきます。
 

【目次】

 

 

1 「片づけ」は脳のどこを使っているの??

 
 
私たちが片づけをする時は、脳の中の2つの代表的な場所が関わります。
 
 
ひとつは、目で見た情報を集めて、その意味を把握する場所。私たちは、床にモノが散らばっているのを目で見て「この部屋散らかってるなあ」と理解することができますね。
 
 
そしてもうひとつは、記憶をためておいたり、思い出したりする場所。この場所のおかげでモノの場所を覚えたり、その記憶をたよりにモノを探すこともできます。
 
 
でも、子どもの脳は大人に比べて成長の途中にあります。ですから年齢によっては床にモノが散らばっているのをみても、「散らばってるから片づける」と理解することができません。
 
 
記憶もあいまいで、忘れやすいという特徴があります。
 
 
その他にも「片づけ」には時間の概念や、物事の優先順位をつけるなど、いろんな力が必要です。これらは毎日の生活の中で経験を重ね、少しずつ獲得していく力です。
 
 
ですから子どもは私たち大人が思うように片付けられなくて当たり前なんです。
 
 
 
 

 

2 片づけが苦手な発達障害・グレーゾーンの子ども達はこんなことに困っています。

 
 
わたしの知り合いのリョウくん(6歳)はASD(自閉症スペクトラム)とADHD(注意欠陥多動性障害)と診断されています。彼との生活は片づけとの戦いです!!リョウくんの日常をちょっとだけご紹介しますね。
 
 
まずASDの傾向のひとつとして、そもそも散らかっているという認識がなかったり、「片づけ」の意味や必要性を認識していない、という特性があります。
 
 
リョウくんは小さいときから、遊ぶ時にはおもちゃ箱からありとあらゆるおもちゃをあっちにポイポイ、こっちにポイポイ。床が見えなくなるくらい派手に散らかしていました。
 
 
遊び終わっても片づける気配は全くなく、散らかったその場所でお菓子を食べたりテレビをみても平気な様子でした。
 
 
「片づけなさい!!」と何回言っても片づけないので、お母さん自身片づけがストレスになっていました。
 
 
小学校入学前の春休み、あまりにも片づけないリョウくんにイライラしたお母さんは「ねえ、このお部屋すごく散らかってない??こんなにぐちゃぐちゃで気にならないの??」と質問しました。
 
 
そうすると「え??どこが??全然散らかってないよ」と意外な答えが返ってきたそうです。そこでようやくお母さんは気づきました。「リョウと私、同じ景色をみていても、とらえ方がまったく違うんだ!!」と。
 
 
そしてADHDの傾向のひとつとして、自分の興味のあることが目の前に現れると、今まで手に持っていたものの存在が頭の中から消えてしまうという特性があります。
 
 
リョウくんは大好きな工作をしていても、窓の外から自分の大好きな灯油販売の音楽が聞こえると工作のことはそっちのけで窓のところへダッシュ。音楽を聞き終って戻ってくると、「お母さん、はさみどこだっけ??」。
 
 
このやりとりがリョウくんの家では日常茶飯事です。たとえ目の前にはさみがあっても、1回手から離れているので、探すこと・気がつくことが難しいんです。
 
 
これらはいずれも脳の成長のアンバランスから起こることであり、なまけや努力不足ではありません。
 
 
皆さんの中には、こんなことは子どもだったら当たり前、むしろ、しつけがたりないのでは?甘やかしているのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
 
 
でも違います。これらはもともと生まれつきの脳の特性なので、努力や練習、しつけではなかなかうまく改善しないんです。そして困っているのは誰でもない、子ども自身なのです。
 
 
 
 

 

3 将来、楽しい社会生活を送るためにも「片づけ脳」を育てることが必要です

 
 
もし、お子さんが片づけが苦手でも、おうちの中ではお母さんがフォローできるのでそんなに困ったことにはなりません。
 
 
でもこれがおうちの外で起こると、少しやっかいです。社会生活では「モノ」や「場所」はみんなの「共有の物」であることが多いですよね。
 
 
例えば学校で、クラスみんなが使う「モノ」をなくしてしまったり、教室や図書室など「みんなのスペース」を散らかしてもへっちゃらだったり。
 
 
このような行動が重なると、だんだんと問題視され、先生に叱られたり、クラスメイトからの信頼を失います。その結果孤立していきます。
 
 
でも、本人には自覚がないのでさらに失敗体験を繰り返してしまいます。先生やクラスメイトから適切な理解が得られない場合は「僕は(私は)何をやっても叱られる」とどんどん自信が奪われていきます。
 
 
最終的には不登校やひきこもり、うつなどの「二次障害」を起こす原因にもなります。発達障害・グレーゾーンの子育てで一番避けたいのはここです。
 
 
でも安心してください。お母さんの対応ひとつで、将来楽しい社会生活を送るために必要な「片づけ脳」を育てることができます。
 
 
 
 

 

4 いきなり「片づけない」対応で、片づけの第一歩「使ったら戻す」をマスターしましょう!!

 
 
では発達障害やグレーゾーンの子どもの「片付け脳」をグングン伸ばすにはどうすればいいでしょうか?ここでは幼児さんを例にお話しします。
 
 
まずは片付けの基本、「使ったら戻す」を習慣にすることからはじめましょう。
 
 
といっても、いきなりお部屋の「片づけ」からはじめなくても大丈夫です。お子さんが身につけるものでお気に入りのものはありますか?できれば毎日使っているものがいいです。靴でも帽子でもなんでもかまいません。
 
 
まずはお母さんが「靴はここにそろえるんだよ」「帽子はフックにかけようね」など、「モノの住所」を決めてあげてくださいそして最初はお母さんが決められた場所に戻すようにします。
 
 
毎日、お母さんが楽しく片づけている姿をお子さんに見せてあげてくださいね。
 
 
そしてお子さんの様子を見ながら、あせらずスモールステップですすめていきましょう。

 
 
例えば靴だったら、玄関に足跡のマークをつけてそこにそろえることができたらOK。
 
 
帽子だったらフックのところにお気に入りのキャラクターのシールを貼って、そこに戻すことができたらOK。
 
 
文字が好きな子はお名前を貼ったり。数字が好きな子だったら、ラッキーナンバーやお誕生日の数字を貼るのはいかがですか?
 
 
そして、お子さんがもとに戻すことができたらたくさん褒めてあげてください。
 
 
「パッとできたね」「ピッと戻せたね」「かっこいいね」「こんなにできるなんて知らなかった」「さっすが~おにいさん!!」などです。
 
 
言葉で言わなくても笑顔でグッジョブサインをしたり、ハイタッチでもOK。合言葉をきめても楽しいですよ。
 
 
「(母)くつは」「(子)そろえる」!
「(母)帽子は」「(子)フック」など!
お子さんにも言ってもらう事で定着がグーンと早まります。
 
 
お母さんの「笑顔と褒め」で、「片づけと楽しい記憶」がセットになるようにするのが攻略のカギです!
 
 
もし、お子さんの機嫌が悪かったり疲れている日は強制せず、お母さんがやってあげてください。
 
 
そして、逆にお母さんの体調がすぐれない時も無理しないでください。発達障害・グレーゾーンの子育ては気力と体力が3割増で必要ですから(笑)どうぞご自身のケアも忘れないでくださいね。
 
 
 
 
子どもはお母さんとの楽しい記憶が積み重なると、自信がついて自分からトライしてくれるようになります。親子で「片付け」を楽しんで、「片づけ脳」をグングン伸ばしてくださいね!!
 
 
執筆者:宮本蒔子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
 
 
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