21世紀を生きる子どもたちに欠かせない能力。英語やIT知識下支えをするのが「国語力」ということをご存じですか?国語力が重要である一方で、日本の子どもたちの読解力は下がる一方…我が子の読解力を伸ばすための3つのカギをご紹介します。 |
【目次】
1.21世紀を生きる子どもたちは「国語」が基礎となる!
2.ドン引きするほど下がっている!国語力の現状を解説します
◆PISAの順位が急落!
◆中学生の半数以上が文章を読めていない
3.読解力を伸ばすカギを3つご紹介!
1.21世紀を生きる子どもたちは「国語」が基礎となる!
今日は、「学び」の基礎となるものは何か?というお話をします。
小学校に入学すると、「学習」が始まります。
国語、算数、生活、体育、図工、音楽、書写、図書…小学校1年生からたくさんの教科を学びます。
高学年になると、生活は理科と社会に分かれて専門的な勉強がスタートしますし、英語教育はどんどん早期化。中学・高校とどんどん専門科目に分化していきます。
私の高校時代を振り返ってみると、
国語は、現代文、古文、漢文
数学は、数学IA、数学ⅡB、数学ⅢC
社会は、日本史、世界史、地理、現代社会、倫理
理科は、生物、化学、物理
英語は、オーラルコミュニケーション、英語読解
と、もちろん選択科目はありましたが、とにかくたくさんの教科を勉強しました。
が!正直なところ、今の生活で役立っているものがあるかといえば…悲しいけれど、ほとんどないんですよね。
高校在学中はとにかく「勉強しなさい!」と言われて、教科の勉強に取り組む。定期テストや受験で点数を取るためですね。
でも、高校を卒業するとそれまでの知識はほとんど使う機会がなく、気が付けばほとんど役になっていない。もはや忘れてる…
小学校から高校卒業までの12年間の学習はいったい何だったのか?
これから21世紀を生きていく子どもたちを育てる私たちですが、すでに「学校の勉強が社会に出て直接武器になることはない」と感じているんです。
でも、唯一大人になってからも役に立っているものがあります。
それが、国語で学ぶ、正しく読み取る力なんです!
1人1台スマホを持つ時代になり、気になったことはその場で検索して答えが分かるようになりました。
情報をインプットする機会は格段に増えているんです。
では、その情報をどうやってインプットしているかというと…文章でインプットしていることが多いんですよね。
つまり、文章を正しく読み取る力がないと、情報を誤解してインプットしてしまう可能性があるんです!
情報化社会になればなるほど、情報を正しく読み取る「読解力」が必要とされ、国語の重要性が高まっていくんです。
学校の勉強でも、ほとんどの教科は日本語で書かれていますから、正しい読解力さえあれば授業なんて聞かなくても内容は理解できるはずなんです!
この記事では、学びの基礎となる「国語」に焦点を当て、
・読解力が下がっているよ!という現状と、
・読解力を伸ばすために必要なこと
についてお伝えしていきます。
2.ドン引きするほど下がってる!読解力の現状を解説します
今、驚くほど子どもたちの国語力が下がっていることをご存じでしょうか?、さまざまな指標で確認できます。
◆PISAの順位が急落!
PISAとは、OECD加盟国の15歳を対象にした、学習到達度テストです。読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3領域を中心としたテストで、3年ごとに実施されます。
義務教育で学んだ知識を、実生活にどれぐらい応用できるかを測るテストで、文部科学省の教育指導要領にも影響を与えると言われています。
実際に日本の15歳の読解力がOECD加盟国内でどう推移しているのか、こちらのグラフをご覧ください。
この2006年の15位という結果を受けて、文部科学省が「脱ゆとり」に方針転換したと言われています。その後2009年、2012年と順調に読解力を伸ばしてきましたが、2015年からまた下降傾向になってしまっています。
2018年のPISAの結果を受けて、文部科学省は、文章の理解力の平均点は高いとしながらも
・読解力が弱い層が増えていること
・どの部分に該当する情報が書かれているのか、探し出す能力が低かったこと
・情報の信ぴょう性を評価して、自分ならどうするか熟考する能力が低かったこと
◆中学生の半数以上が文章を読めていない
PISAの結果で、文部科学省は「文章の理解力は平均点数が高い」と発表しています。文章の読解力は大丈夫じゃないか?と思いたいところですが、それを真っ向から否定するデータもあります。
国立情報学研究所が2016年に開発した、「リーディングスキルテスト」です。受験開始からたった2年で10万人が受験して、注目を浴びています。
このテストは、読解力に特化したテスト。読解能力を7つの能力値に分けて測定するものです。問題文の中に答えが書かれており、正しく読み取って、該当する選択肢を選ぶスタイルのテストです。
このテストで、中学生の半数以上が問題文が正しく読めていないことが分かりました。
正しく問題文を読めないということは、教科書を読んでも、スマホニュースを読んでも、正しく理解できていないということ。
もし、あなたのお子さんが読んでも正しく理解できないとしたら…?どんな対応をとればいいのでしょうか?
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3.読解力を伸ばすカギを3つご紹介!
では、どうやったら子どもの国語力を伸ばすことができるでしょうか?
実は、読解力を確実に伸ばすメソッドは、まだ見つかっていないと言われています。
ただし、「読んだ文章を正しく理解する」読解力の性質から、カギとなる3つの対応をご紹介します。
①短い文章で確実に理解させること
②会話は「ワンアップ」で!
③読み聞かせを精読タイムにする
この3つです。
読解力を伸ばすだけでなく、お子さんの言語能力の発達や説明する力の発達にも効果的ですので、ぜひお試しください!
◆①短い文章で確実に理解させること
情報をインプットすることと理解することは密接な関係がありながらも、別の脳機能になります。
読解力を伸ばしたいからと言って、本を大量に読ませるなどインプット量を増やすことが、文章を理解する読解力に直接つながるとは言えません。
インプットする情報を増やすことは大切ですが、まず理解を促したいなら、短い文章で構わないので100%理解できる体験を重ねることが大切です。
大量の情報を目の前に置かれると、すべて理解することが難しいですよね。結局キーワードを拾って理解する、「拾い読み」になりがち。
これでは読解力は尽きません!
短くて簡単な文章に触れて、完全に理解する体験を重ねることで、
・文章を拾い読みせず、しっかり読み切ること
・理解できた経験を重ねて、理解する脳機能を発達させること
を狙いましょう!お母さんがお子さんに話しかけるときも、矢継ぎ早に話さず、端的に伝えることを意識するのがおすすめです。
◆②会話は「ワンアップ」で!
お母さんとの会話を通して、お子さんの語彙力や構成力をアップさせる習慣をつけましょう!
実際に話す文章より、書かれた文章の方が複雑ですし、知らない言葉もたくさん出てきます。
知っている言葉の数が多ければ多いほど、使いこなせる文章のバリエーションが多ければ多いほど、文章を読むときに理解しやすくなります。
例えば、
◆同じ状況を違う表現で説明する
お子さん:「今日のプロ野球、Aが負けちゃった」
お母さん:「そうか、Bが勝ったのね」
◆正しい文章に直す(言葉の順番を正す、助詞を入れるなど)
お子さん
:「今日、転校生来たー!俺のクラスだった!」
お母さん
:「今日、○○君のクラスに転校生が来たのね」
◆文章を複雑にする
お子さん
:「今日、おばあちゃんが遊びに来てくれたね」
お母さん
:「そう、今日○○のおばあちゃんがシュークリームを持って遊びに来てくれたよね」
このように、お子さんが言った言葉に対して、別の表現を使ったり、情報を付け加えたりして、「プラスワン」で会話をすることを意識してみてください!
お母さんとの会話を通して、自然に語彙を増やしたり、文章の表現を自分のものにできたりします。
ただし、お子さんが「お母さんに訂正されている」と感じるのはNG。楽しい会話のなかで行ってくださいね。
◆③読み聞かせは精読タイム!
私たちもそうなのですが、スマホで検索した画面をスクロールしてサーッと読んでしまう習慣がありませんか?
こんな風に読んでいると、キーワードしか頭に残りません。いわゆる「拾い読み」の状態です。もちろん、内容もざっくりなら分かるけれど、詳細なことは頭に残っていません。
読解力をつけるためには、内容を隅々までしっかり読むことがポイントになります。
拾い読みの反対、「精読」を習慣にしていきましょう!
子どもが本を読んでいるとき、読み聞かせをしているとき、読み終わったらおしまい!にしていませんか?
これ、すごくもったいないです!
読み聞かせが終わったら、
「この子どうしたっけ?」
「それはどうして?」
「それからどうなった?」
「それはどうして?」
「それからどうなった?」
と絵本の内容をお子さんに聞いてみてください。
このように、読み聞かせの後の会話を通して、文章の細部まで意識が行くようになります。
最初はもう何度も読んでいる大好きな絵本を使ってかまいません。難しいようなら、お話全体ではなく場面ごとに区切ってやってみましょう!
正しく答えられることはすばらしいですが、物語の大筋だけでなく、細部に注意を向かせることが最初の一歩になります。
お母さんの質問に、「あれ?どうだったけ?」とページをめくって探し始めたらしめたもの!たくさん褒めてあげてくださいね。
いかがでしたか?
下がり続ける日本の子どもたちの読解力。情報社会で生きていく子どもたちは、情報を正しくインプットして活用することが求められています。
最初の1歩、情報のインプットの段階で間違った認識をさせないように、しっかりと読解力をつけていくことが必要なんです!
ぜひ実践してみてくださいね。
21世紀に生きる子どもたちに必要なチカラを解説しています
執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)