お友達をすぐ叩く発達障害ADHDの子どもに、お悩みではないですか?困った行動に怒ってばかりいると、改善できないばかりか悪化してしまいます。お母さんがお家でできる改善策をお伝えします。 |
【目次】
1.長い間、悩まされたお友達を叩く問題
我が家の小学5年の息子は、発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向があります。
幼少期は、元気いっぱいで発達障害ADHDの特性である行動面の問題が多かったです。
例えば、
・常に動き回る
・高いところに登る
・突然走り出す
・順番が待てない
・お友達の遊んでいるものに手を出す
・お友達を叩く
などの困った行動がありました。
特に悩まされた行動が、低学年まで続いた人を叩くことでした。
お友達とすれ違う瞬間にお友達を叩いたり、一緒に遊んでいる最中に急にお友達を叩いたりしました。とにかく、人を叩くことが癖のようになっていたんです。
本人は、全く悪気はなく、私は、どうすれば人を叩かなくなるのか分からなくて悩みました。
息子がこんな様子なので、私はお友達や周囲の人にいつも謝ってばかりいました。公園で遊ぶときは、息子を注意して見ていないといけないので、いつも気が抜くことができませんでした。
また遊び場だけでなく、学校の集団生活の中でも同様にお友達を叩いていました。
衝撃だったことは、学校の授業参観後、授業が全て終わり、帰りの支度をするために息子がロッカーにランドセルを取りにいったときの話です。
教室の後ろまでに行く途中に、すれ違うお友達に何も言わずに肩や腕を叩いていました。
お友達は、急に叩かれたので、「お母さん、◯◯くん(息子の名前)が、何もしていないのに叩いてきた!」と苦情を言いに来る子もいれば、「やめて〜!」と息子に怒る子もいました。
参観後、まだ保護者の方がいる中で、このようなトラブルがあるので私は肩身が狭い思いでした。
参観の後の短時間で、大抵同じようなことが毎回ありました。ですので、普段の学校生活での息子の行動を想像すると、一刻も早く改善させたいと思っていました。
大人から見ると、お友達や周囲に迷惑をかける問題行動なので、私は息子を叱ってばかりいました。
しかし、息子が「わかった!もうやらないよ。」と反省したとしても、その場限りの言葉でした。 お友達を叩くことがなくなるわけではなかったんです。
2.発達障害ADHDの子どもは、どうして人を叩くの?
発達障害ADHDの子どもは、どうして人を叩くことがあるのでしょうか。なぜ、息子は頭で理解できても行動がついていかなかったのでしょうか。
発達障害ADHDの子どもは、脳の特性があり、発達が未熟な部分があります。そのため、頭で分かっていても本能的に体が勝手に動いてしまうのです。
人を叩く行動には、このような特性や理由が関係あると考えられます。
・衝動的に行動してしまう
・自分の行動をコントロールできない
・言語能力が未熟なため、場面にあった言葉が出てこない
・注目してほしい
つまり、脳の特性が原因で自分の行動をコントロールできないのです。本当に困っているのは、親ではなく本人なのです。
息子の場合は、常にアンテナを張って楽しいことを探しています。衝動性が強いので、興味があるものがあれば、手に取ってしまい、お友達がいれば、関わりたくて叩いてしまいます。
また、注目してほしいという気持ちもあるのですが、コミュニケーションが苦手で、場面にあった言葉がとっさに出てこないのです。
先ほどの授業が終わった後の話で言うと、息子は授業が終わった開放感があり、「やっと授業、終わったね!」「帰れるね!」などとお友達に声をかけたかったのかもしれません。
その一言が、とっさに出てこないので、お友達の肩を叩いていたのだと思います。
発達障害ADHDの子どもの気になる行動には、原因や背景があります。それは、脳の特性なので叱っても残念ながら改善できないんです。
困りごとを減らすには、脳の発達を加速させることが重要です。
3.お家でお母さんができる改善策
発達障害ADHDの子どもも、高学年くらいになると、行動の良し悪しが分かるようになるので、自然に人を叩く行動は減っていくと言われています。
しかし、人を叩くことでトラブルになることも多いので、なるべく早く改善させた方が良いですよね。
発達障害ADHDの子どもの人を叩く行動を減らすために、お母さんとお家で必要な力を鍛えることができますのでご紹介します。
◆①クイズ!こんなときはなんて言う?
お母さんがお友達の役をして、こんな場面ではどんな声かけが良いか練習します。
例えば、
・お友達に話しかけたいとき
・ものを貸してほしいとき
・遊びに誘いたいとき
・授業が終わって帰るとき
など場面を設定して、お子さんに声かけの練習をしてもらいます。家で練習することで予習ができ、実際お友達とのやり取りが本番になるわけです。
練習するときは、正しい答えを求めがちですが「そんなこと言ったらだめ!」などは言わないでください。「お母さんだったらこう言われたら嬉しいかも。」と言った感じにさりげなくアドバイスをしてあげてくださいね。
お子さんの好きな人や憧れの人、好きなアニメのキャラクターをうまく使うのもオススメです。
「◯◯(好きなキャラクター)が、もしいたらこの場面はどう声かけする?」
「◯◯(好きなキャラクター)にこの場面は何て言ってもらったら嬉しい?」
などです。お子さんがお友達を叩きそうなリアルな場面を設定して、叩くことではなく言葉でコミュニケーションをとることを身につけていきましょう。
◆②遊びながら「一旦止まれ!」の練習
人を叩かないようにするためには、自分の行動をコントロールできるようにする力が必要です。遊びの中で「一旦止まる」ことを身につけていきましょう。
例えば、けんけんぱやだるまさんが転んだなど動きの中で静止する遊びです。
ラジオ体操も良いです。無料動画サイトをうまく利用して、子どもたちに人気なキャラクターと一緒にラジオ体操をすることもできますのでおすすめです。
公園でかけっこをしている最中に、お母さんの「ストップ!」の声かけで止まることができるだけでもいいと思います。
遊びや体操を通して、動いている最中に一旦止まることを意識してできるようにしていきましょう。
少しずつ自分の行動がコントロールできるようになっていくかと思います。
発達障害ADHDの子どもは、興味関心が狭く、楽しくないことはやってくれないことがあります。そして、人の脳は、楽しいと感じているときに、より発達します。
ですので、楽しくやることを1番大切にしてみてくださいね。お子さんが、やる気が出ないときは、無理にやらせなくて大丈夫です。
さて、現在小学5年の息子はと言うと、お友達を叩くことはなくなり、お友達トラブルはほぼ0になりました。今では、お友達と楽しく遊べています。
いかがでしたか?人を叩いてしまう子は、脳の特性なので叱っても何も変わらないです。
困りごとを減らすためには、ご紹介したクイズや一旦止まる遊びを楽しみながらやってみてください。ぜひ、親子のコミュニケーションを楽しみながらトライしてくださいね。
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執筆者:高嶋ともこ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)