発達障害・グレーゾーンのASDタイプによく見られる感覚過敏。家族や他人が笑うと、自分が笑われていると過剰に反応し怒って泣いてしまう子どもがいます。今回は人が笑うことに過剰に反応しないようにする対応をご紹介します。 |
【目次】
1.発達障害・グレーゾーンによく見られる感覚過敏とは?
2.笑っている人がいると「自分が笑われている」と感じて怒る娘
3.決して大人がやってはいけないNG対応とは?
4.子どもが笑われたと感じて怒ったときの正しい対応とは?
1.発達障害・グレーゾーンによく見られる感覚過敏とは?
発達障害・グレーゾーンの子どもは感覚過敏を持っている子も多いです。
皆さんは感覚過敏と聞いて何を思い浮かべますか?多くの方は音・匂い・感触に敏感なことが一番先に思い浮かぶのかなと思います。
しかし、感覚過敏はこのメジャーなものばかりではありません。
他人の表情や言動を過剰に受け取ってしまう感覚過敏もあるのです。
特に、周りの反応に敏感な繊細な女の子に多くいるように思います。
感覚過敏とは、外の世界の刺激を必要以上に受け取ってしまうことです。
私たちは毎日たくさんの情報を受けながら生活しています。
その中で、自分に必要なもの、不必要なものを脳が適切に情報処理するようになっています。
その情報処理がうまく行われないと、外の刺激に対して過剰に反応してしまうのです。
この過剰に反応することが「感覚過敏」と言われるものです。
生まれつき脳の発達に凸凹がある発達障害の子どもの中には、この感覚過敏が強く出ることがあります。
今回は、他人からの情報を過剰に受け取り、周りの人が笑うと自分が笑われていると感じて、怒って泣いてしまう子どもへの対応をご紹介します。
2.笑っている人がいると「自分が笑われている」と感じて怒る娘
我が家の娘は、現在幼稚園の年長さんです。
不安が高いASDタイプであり、周りが笑うと過剰に反応して泣いて怒るということが度々あります。
家族でテレビを見ていて、面白い場面で家族が急に笑うと怒って泣き出す!
娘のやっている仕草や言動が可愛くて、くすっと笑ってしまうと怒って泣く!
このようなことが続きました。
娘の場合には、自分から笑わせようと行動したときには、こちらが笑っても泣いたり怒ったりしませんでした。
家族である私たちもどうして娘が泣いているのかがわからず、特にこれといった対応もしてきませんでした。
あるときに娘が
「みんなが私のことを笑うから家から出かけたくない!」
と言い出しました。
そのときに初めて、娘のこの辛い気持ちを何とかしなくちゃ!と思ったんです。
今考えたら、娘は娘でこの怒って泣いてしまうほどの感情はどうにもならなく辛いものだったのだなと思います。
3.決して大人がやってはいけないNG対応とは?
周りももちろん悪気があって笑っているわけではないのです。
しかし、それを過剰に受けとってしまう子どもに、周りの大人がやってはいけないNG対応をお伝えします。
例えば、子どもが急に言い放つ言動が大人にとっては面白いときってありますよね。
それを聞いて大人は大爆笑する。
それを受けて子どもが怒って泣いたとき、何の説明もせず、その場しのぎの言葉で押さえつけることはNGです。
「子どもがいうことが可愛いから大人は笑うんだよ!怒らなくてもいいじゃん!」
なんて思うものですが、子どもは別に笑わせるつもりで言ったわけではない。ここがポイントになります!
子どもは、真面目に真剣に言っているのです。
真剣に言っていることを笑われたと感じているのです。
大人でも真剣にやったこと、話したことを笑われたら気分が悪くなりますよね。子どもも同じなんです。
私たち大人は子どもだからという理由に甘えることなく、対等に接することが大切です。
子どもが真剣に言った言葉が大人にとって面白くても、真剣に聞く姿勢が求められます。
そして、発達障害・グレーゾーンの子どもは大人が笑ったことにより「バカにされた!」と感じ、ひどく傷つきます。
子どもの心が理解されずにずっとこの状態が続いてしまうと、他人とのコミュニケーションも取りたくなくなり心を閉ざしてしまいます。
笑われた…と思い傷つき、ネガティブな感情だけが蓄積されていってしまうんです。
また、不安の強いASDタイプの女の子の場合には、そのときの不安の高さにより感覚過敏が強くも、弱くもなります。
本来、笑うという行為は素晴らしいものです。
それをネガティブに受け取り、笑うことが嫌な感情と結びつけられてしまうのはもったいないですよね。
4.子どもが笑われたと感じて怒ったときの正しい対応とは?
では、どのように対応してあげたら良いのでしょうか?
それは「子どもに状況の説明をしてあげる」ことです。
まずは、子どもの気持ちに共感する。そして、何で笑っているのかという理由や状況を子どもが理解できるように1つ1つ丁寧に説明します。
例えばこんな風にです。
「そうか~。お母さんが笑ったからバカにされたと感じて嫌な気持ちになってしまったんだね。
でも、今お母さんが笑ったのは決してあなたをバカにして笑ったのではないんだよ。
お母さんはあなたがとても大人っぽい言い方をしたから、驚いてそんなことも言えるようなお姉さんになったんだ、大人みたいで面白いな、と思って笑ったんだよ。
人は『楽しい気持ち』や『面白いこと』で笑うことの方が多いんだよ。
あなたも前に〇〇を見て、面白くて笑っていたよね。あのとき笑ったような、そういう気持ちだよ。
さっきお母さんが笑った場面は決してあなたをバカにしているから笑ったのではないの。でも、そう感じてしまったならゴメンね。」
このように、具体的に子どもにわかるように伝えるのです。
まずは子どもの嫌だった気持ちを受け入れて代弁します。
一度子どもの気持ちを受け入れると、お母さんの言葉を聞く準備ができます。その後で笑った理由を説明するのです。
もし、泣いてしまってどうにもならない場合には、お子さんが落ち着いてお話を聞けるようになってから説明をしてあげてくださいね。
何で笑っているのかを説明を通じて、子どもに理解させてあげることが大切です。
笑った状況をいちいち説明するの?と、少し違和感を感じられた方もいるかもしれません。
しかし、説明を繰り返すことにより、子ども自身も状況を理解し、
「周りの人が笑っているのは自分が怒るようなことじゃないんだ!」
と感じ、気持ちが整理できてくるのです。
気持ちを整理することをお手伝いしてあげることで、状況を理解する力が少しずつ育ち始め、だんだんと対応力や、周りとの共感力も伸びてきます。
発達障害・グレーゾーンの子どもは、周りからは理解が得にくいような感覚過敏を持っている場合が多くあります。
自分ではどうすることもできず、本人が一番辛い思いをしているんですよね。
周りが理解し対応することで、子どものその先の行動につなげてあげることができます。ぜひ試してみてください。
我が子に行った対応があなたの困りごとの解決のヒントになれば幸いです。
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執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)