学校ではいい子だけど、家庭では困りごとも多い。これは、いい子症候群の危険サイン。このまま成長して、子どもの心に問題が生じてしまったら大変です。その治し方のコツは、過剰適応の子どもの気持ちを理解し、親子の関係を見直すこと!
【目次】
1.良好な親子の関係が築けていない⁈
皆さんは、お子さんの本音や気持ちを理解できていますか?
私は、息子が不登校になったときに、息子がどうしたいのかよくわからなかった時期があります。
「学校に行きたいのか」
「学校に行きたくないのか」
「どんなことが嫌なのか」
「どんなことが辛いのか」
子どもが辛いときに子どもの本当の気持ちを想像できず、子どもを理解することができていなかったのです。
自分の子どもなのに、何を考えているのかがわからない。
お腹痛い、熱が出る、食欲がないなどの症状をみて、ストレスがたまっているんだなということはわかるけれど、どんなことを感じてストレスとなっているかがわからないのです。
「何年も一緒にいるのになんてことなんだ⁈」と、助けてあげられない自分に途方にくれてしまっていました。
皆さんには同じような経験はありませんか?
せっかく自分の子どもとしてこの世に生まれてきてくれたのに、本音や気持ちを出し合えないという状況はとっても辛いですよね。
もっと、親子の関係を良好にして、子どもの本音や気持ちを聞きたいと思いませんか?
2.学校ではいい子を演じ過剰適応していた息子
息子はギフテッドと自閉症スペクトラム(ASD)の特性を持っています。
学校に通っていた頃、息子は、学校ではいつもニコニコしていました。嫌なことがあったからといって泣いたり、他の子に強く当たったりするようなことはまったくありませんでした。
クラスで先生が褒めてくれることは、頑張ってやるようなタイプでした。
よそのお母さん達からよく言われていたのは、
「○○くんはいい子だよね。優しいよね。」という言葉。
「息子は優しくて、親切で、無邪気に笑っている。家での困りごとは多いけど外でしっかりできるから大目にみよう」
と、外でいい子であることに関して私は気に留めていませんでした。
辛いことがあったとき、苦手な課題をやるとき、家の中では癇癪をおこしたりしていたので「辛いんだな?」ということはわかりました。
けれども、妥協することはなくキーキー言いながらもやりとげて学校へ行っていたので、それも「なんだかんだ学校へ行けているからいいや」とやりすごしていました。
息子はギフテッドの特性である完璧主義なところが元々あり、人によく思われたい、自分のいる集団の中で優位な存在でいたいという気持ちが強かったのです。
敏感なところもあり、親や先生の怒鳴り声や厳しい口調でとても傷つきやすいタイプの子でした。そのため、人の顔色を見て怒られないようにと自分を押し殺して頑張っていたのです。
親や先生の期待、学校の雰囲気を感じとり、良い子を演じようとしていたんですね。
ちまたでは、「いい子症候群」という言葉もあります。
息子は、いい子をずっと演じてきたせいで、不登校になってからも自分の本音や気持ちを打ち明けるということをなかなかしてくれませんでした。
本音や気持ちを打ち明けられるほど私の子どもを受け止める姿勢が少なかったのかもしれません。
3.いい子症候群・過剰適応の子どもが成長した時に起こる問題
では、いい子症候群・過剰適応の子どもが、このまま成長すると、将来的にどのような問題が起こってくるのでしょうか。
■自己肯定感が低くなる
「いい子症候群」の子どもは、他人からの評価を気にするあまり、他人の意見やルールに振り回されてしまい、自己肯定感が低くなる危険があります。
■感情をため込みすぎた反動で極端な行動をする
いい子でいるために、過剰適応して自分の感情を押し殺すのも、「いい子症候群」の特徴です。
感情をため込みすぎたあまりに、反動で突然キレる、心を病む、親のみていないところで悪いことをする等、極端な行動をする可能性があります。
■自分の本当の気持ちが分からなくなる
「いい子症候群」の子どもは、周囲の人の望む行動をしがちです。
自分の感情と異なる行動ばかりしていると自分の本当の気持ちが分からなくなってしまう危険があります。
■指示待ちになり、自分の意思で行動できない
周囲の人の思う通りに行動することが基準になっているので、自分の意思が育たない危険があります。
その為、指示がなくては行動できない大人になってしまいがちです。
等、これから生きていく上で必要不可欠な自己肯定感や意思決定能力が育っていかないのです。
これでは、将来大きくなった時に、「自分は何なんだろう」と自分の存在意義すら見えなくなり、世の中を生き抜くチカラが弱くなってしまう恐れがあります。
4.子どもの気持ちを引き出せた治し方
我が子のいい子症候群を治したい!と強く思った私が行ったことは、「親子の関係」を良好にすることです。
子どもの気持ちを聴けるようになるために、「子どもの発言を一切否定しないで聞く」ということを徹底しました。
例え、「僕は働かないでお金をかせぐんだ〜」など、親としては「ありえない!」と思うようなことを子どもが言ったとしてもです。
「へ〜そっか!」
「そんな風に思っているんだね」
と、子どもの気持ちをとりあえず受け取ります。
「えー⁈」とか、「お金は働いて稼ぐものなんだよ?」と言ってしまうと、子どもは否定されたと感じ、自分の気持ちをますます言えなくなってしまうのです。
もしも、ちょっとそれはどうかな?と思うことは、違うタイミングで話題を出し、正しい考え方を身につけてねというメッセージを伝えるようにしました。
すると、次第に息子が自分の気持ちを言ってくれるようになったんです!
・先生に言われて嫌だったことや辛かったこと
・自分と周りの子との違いを感じて苦しかった感情
・みんなと同じことができない自分に対して感じた悔しい感情
周囲の大人の考えに合わせて生きてきた息子が、自分のネガティブな感情を出してくれるようになりました。
まだまだ息子が教えてくれていない本音や気持ちがあるかもしれないけれど、私たち親子は素直に相談し合い、夢を語り合うことができるようになりました!
ここからが子どもと一緒に成長していくスタート地点だと感じています。
ぜひ、皆さんもお子さんと本音で語り合える親子の関係を取り入れてみてくださいね。
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執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)