みなさんは東日本大震災の記憶はまだありますか?あれから10年以上が経ちますが、未だに後発地震が続いており、震災を思い出すような地震が再び起こっています。災害への備えは物だけではないと実感した私が、初めて大きな地震を体験したわが子の不安を和らげるために、どのような対応をしたかをお伝えします。 |
【目次】
1.もしも災害で子どもが不安になったらどうしますか?
2.震災前との違いは母親になったということ
3.はじめて地震を経験した我が家の子ども
4.不安や恐怖は楽しい気持ちで上書きする
5.災害への備えは心の準備も必要!一番大切なのはいつものお母さんの○○
1.もしも災害で子どもが不安になったらどうしますか?
東日本大震災から10年以上がたちます。
震災の爪痕もなくなって、当たり前の日常が戻った場所もあれば、いまだにまだの場所もあります。
消えない記憶や心の傷を抱えて日々過ごしている方もたくさんいます。
10年を目前にして、大きな地震が発生し、そ大きな大きな後発地震が起きています。これは、災害への心構え忘れずに忘れずに考えるためのサインとも受け取れます。
皆さんは、災害が起きた後の子どもの心のケアや過ごし方について考えたことはありますか?
発達障害の有無に関わらず、突然に起こった出来事に子どもたちは不安や恐怖を感じます。
そのため、普段は落ち着いて行動できていたことができなくなったり、周りに迷惑になることをしてしまったりするかもしれません。
特に発達障害凸凹キッズの中には、不安が強い特性を持っている子どもが多いです。状況を感じることにも敏感で、メンタル面に影響が出てしまうこともあります。
そのような時、一番身近な存在であるお母さんが子どもの不安や恐怖を和らげる対応をしてあげることが大切です。
2. 震災前との違いは母親になったということ
2011年3月11日、私は宮城県であの大きな地震を経験しました。
当時は、学童保育を担う子育て支援施設で働いていました。立っていることもできない大きな揺れに恐怖を感じながらも子どもたちを守ることに必死だったのを今でも鮮明に覚えています。
この10年で変わったことは、子ども2人を授かり母親になったことです。身近に守るべき大切な存在ができました。
主人は仕事柄、災害が起こると家を出なければなりません。つまり、私が一人で子どもを守らなければならないのです。
3.はじめて地震を経験した子ども
10年が経ち起きた後発地震は真夜中。
一瞬にしてあの時の記憶がよみがえり、怖さを感じながらも子どもを守ることに必死でした。
発達凸凹の小学生息子は揺れに敏感ですぐに起きました。
長く続く大きな揺れと地鳴り、ものが落ちる音に「怖い…」とう恐怖と父親が仕事に行ってしまったことで地震が収まってもしばらくは眠れませんでした。
朝になり眠りから覚めてもなかなか私から離れませんでしたが、割れた食器や倒れた棚、動いた冷蔵庫など見たことのない光景を目にした息子は「ひどいね…」「片づけ俺もしようか」と一見、冷静に見えました。
揺れた時には眠っていた娘のほうは、目の前の光景に不安を感じているように思いました。
しかし、そうではなかったのです。
息子は
・ずっとテレビで好きなアニメを見続ける
・家の状況を電話で祖母に伝える口調がいつもと違う
・妹へ意地悪が増える
・やたらと声が大きくて落ち着かない
など、落ち着きがいつもよりもなく、気持ちが妙に高まっていました。
生まれて初めて経験した大きな揺れと、目に入った光景に目には見えないストレスと不安や恐怖を感じているなと思いました。
それでも目の前の物を片づけることが優先になってしまい、子どもたちの気持ちに十分に寄り添うことができませんでした。
片づけに追われた一日で息子は野球の練習を休み、娘と約束していたバレンタインデーのシフォンケーキも作れませんでした。
そこで、片付けがひと段落したところで、子どもの気持を少しでも落ち着かせるために自分に何ができるかを考えました。
4.不安や恐怖は楽しい気持ちで上書きする
私が思いついたことは、楽しい気持ちや嬉しい気持ちを子どもに感じてもらい不安を和らげること。
つまり、不安や恐怖を楽しい気持ちで上書きすることです。
そこで、おやつはミニチョコレートプリン、夜はパンケーキを焼いて好きなウインナーやクリームコロッケといつもとは違う夕飯でバレンタインデーのプレゼントにしました。
私は何か特別なことがある時には、サプライズで子どもに特別感のあるおやつやご飯を用意しています。
ですから、いつもの感覚で楽しく準備をすることができ、自分の気持も前向きになれました。
子どもたちを喜ばせて楽しい気持ちで不安や恐怖を上書きすることは、お母さん自身の気持ちも楽しい気持ちにする効果があります。
私からのプレゼントで気持ちが前向きになった息子は、みんなで遊ぶためにすごろくを手作りしてくれ、3人で遊ぶことができました。
私の前向きな気持ちが息子に伝わったのが分かりました。
5.災害への備えは心の準備も必要!一番大切なのはいつものお母さんの○○
今回はライフラインが止まらなかったのでこのようなことができましたが、10年前はライフラインも止まり電気と水道の復旧には時間もかかりました。
状況によってはできることも限られてしまいます。
ですから、食べ物の備蓄やゲームやテレビがなくても子どもが楽しく過ごせる遊びの準備も忘れずにしてくださいね。
今回、料理ができない状況だったら、ゲームをして遊ぶなどできることをしていたと思います。
とにかく、「自分が不安な顔をしていたら子どもはもっと不安になる。だからいつも通りかそれ以上の明るさでいよう」と思いました。
大切なのは何をしたかではなく、子どもを不安にさせないいつものお母さんの笑顔だと思います。
ですから、お母さん自身が災害に対する心の備えをしていてほしいのです。
突然の災害は大人でも恐怖を感じます。
けれど、守るべき存在がいると自然と強さが出てくるもの。災害に対する心の備えができていればなおさら強くります。
いつもと変わらない笑顔のお母さんの存在。それが一番の子どもの心の安定剤です。
いざというときのために、私の経験が少しでもお役に立てれば幸いです。
執筆者:さとう みな
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)