小学校入学の準備で一番に浮かぶのは、学習や学校での集団生活ですよね。発達障害・自閉症スペクトラム・ADHDのお子さんであればなおさらでしょう。でもちょっと待って!まず登校の不安を解消してみませんか?学校生活の負担が軽くなるかもしれませんよ。 |
【目次】
1.小学校入学目前!発達障害・自閉症スペクトラム・ADHDのお子さんは登校にも配慮が必要
◆班長の指示に従い、全体のペースに合わせて歩くことが要求される
◆天候によって登校するときに気を付けるポイントが変わる
◆通学中の安全に常に気を付けながら歩かなければいけない
2.自閉症スペクトラムの息子の登校を心配する日々
3.登校の不安はシュミレーションで解消!学校での集団生活の負担が軽減されます
1.小学校入学目前!発達障害・自閉症スペクトラム・ADHDのお子さんは登校にも配慮が必要
もうすぐ小学校入学を控えたお子さんを持つお母さん、お子さんの就学に向けての準備はもう万全ですか?
朝起きること、朝の支度をすること、学校生活に関すること、心配ごとはいろいろあったと思います。
では、登校に関してはどうでしょう? 気にしているお母さんは案外少ないのではないでしょうか。
実は、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠陥多動障害(ADHD)など発達障害の子どもにとって、登校はストレスを受けやすい要素がたくさんあるのです。
特に登校班で集団登校する場合は、さらにストレスも大きくなります。
発達障害の子どもが登校にストレスを感じてしまうのには理由があります。
◆班長の指示に従い、全体のペースに合わせて歩くことが要求される
発達障害の子どもには、特定のものごとに強いこだわりがあり、自分のペースを乱されることを嫌う傾向があります。
登校班では、自分のペースで歩いたり、列を乱して歩いたりすることは危険につながります。みんなのペースに合わせようと神経をすりへらし、ストレスが溜まってしまいます。
◆天候によって登校するときに気を付けるポイントが変わる
発達障害の子どもは状況に合わせて柔軟に対応することが苦手です。
登校は毎日のことなので、当然晴れている日ばかりではありません。
雨や風の 強い日、雪の日などは、天候に合わせた対応に神経を使うため、ストレスがたまりやすくなります。
◆通学中の安全に常に気を付けながら歩かなければいけない
発達障害の子どもは注意を持続することが苦手です。
車や自転車とすれ違うとき、横断歩道を渡るとき、ガードレールのない歩道を歩くとき、登校中は常に危険な状況と隣り合わせです。
常に周囲の状況に目を光らせていなければならない状況に神経がすり減ってしまいます。
だから発達障害のお子さんの小学校入学に向けては、登校にも配慮することが必要なのです。
2.自閉症スペクトラムの息子の登校を心配する日々
自閉症スペクトラムの息子の小学校入学に向けて、わたしが一番不安だったのは登校班で集団登校させることでした。
私が住む地域では、学校まで片道で3キロほど。今まで保育所への行き帰りをはじめ、移動はほぼ車でした。
3キロも歩けるの?
しかも重いランドセルを背負って!
さらにいろいろ考えてみると、登校班で集団登校することには、息子が苦手な要素がたくさんありそうでした。
・毎日決まった時間に集合場所に行くこと
・長時間歩くということ
・班長を中心に、列を乱さず並んで歩くということ
・周りの危険に注意を払うこと
また、不安の強い息子には、初めてのお兄ちゃん・お姉ちゃんの存在、初めて登校班で集団登校するということ、それ自体がストレスのはずです。
これでは学校にたどりつく前に力尽きてしまう、小学校入学前に何とかしたい!小学校入学を控えて、とても焦りました。
3.登校の不安はシュミレーションで解消!学校での集団生活の負担が軽減されます
どうしようか考えた結果、やはり実際に体験して慣れていくしかないと思いました。 そこで、まずは「歩く」ということに慣れるところから始めました。
今まで車を使っていた保育園の送迎を徒歩に変更しました。
保育園までは片道約1キロ。車だとあっという間に到着する距離ですが、徒歩だと意外と時間がかかります。
週末にはランドセルを背負って、小学校入学後に家を出る時間に合わせて出発し、小学校までの道を決まったルートに沿って歩いてみました。
今まで3キロもの距離を歩いたことがなかった息子。最初は元気よく出発するものの、途中で飽きてくることもしばしば。
歩くことだけに意識をむけるとしんどくなってしまうので、道端に生えている草花を観察したり、道沿いのお店を外から眺めてみたり、楽しく会話をしながら、まずは歩くことに慣れるようにしていきました。
歩くことに少し慣れてくると、登校のときに気を付けることを追加しました。
・こんなルートで行くんだよ
・信号機はここにあって、使い方はこうだよ
・この道はこんなところが危険なんだよ
特に気を抜くと命に関わることは何度も一緒に確認しました。
さらにランドセルを背負い、中の荷物も少しずつ増やして、小学校入学が近くなるにつれて実際の登校と同じ条件になるようにしていきました。
これを入学前の3か月ほど続けました。 継続してシュミレーションをすることで、いろいろな状況を体験することができました。
歩いている途中には、
「左右をよくみて渡れたね!」
「あともう少しで小学校につくよ!」
と肯定の声かけをし、
無事小学校に到着したときには、
「楽しかったね!」
「途中でしんどかったけど、最後までよく頑張ったね!」
とうれしい気持ちで締めくくれるようにしたことで、少しずつ登校することに 前向きになってくれたと思います。
シュミレーションによって登校のイメージをしっかり定着させてから小学校に入学した息子は、毎日元気に歩いて登校しています。
ランドセルは予想以上に重く、特に月曜日は体操服やシューズなど、持ち物も増えます。少しでもラクに歩ける方法を自分で工夫しながら乗り切っています。
小学校に入学すると、まだ学校に慣れないうちから、初めてのことが一度に押し寄せてきます。
登校時のストレスをなくしておくと、学校生活に余力を残しておくことができますよね。
登校について考えてなかったというお母さん! 今からでも間に合います。登校の不安を解消するシュミレーション、ぜひ取り入れてみてくださいね。
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執筆者:宮千明
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)