学校生活にも慣れてくると思わぬトラブルを起こすことがあります。特に、ADHDの特徴である衝動性が強い子どもはトラブルを起こしやすいです。学校での出来事を感情的に叱っても子どもには何も伝わりません。では、どうしたら良いのでしょうか。 |
【目次】
1.学校生活に慣れたころにトラブルを起こす!
2.「指導してください」と言われるようになった息子
3.発達障害・ADHDの特徴を持った子ども衝動性
4.シンプルが一番!子どもに伝わる話し方
◆3ステップで伝える
◆話の最後は「ありがとう」で終わる
1.学校生活に慣れたころにトラブルを起こす!
まもなく5月も終わります。
4月は給食を食べて下校をしていたり、授業も学校探検や生活面を重視した授業だった新1年生も学校生活が本格に始まりましたね。
そして、国語や算数の勉強に5時間授業が始まるなど、4月よりも「学校」が意識されてきたと思います。
やっと学校生活に慣れて一安心したところに、また新たな心配事を感じるお母さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
特に、幼稚園や保育園の頃から集団生活は問題なく過ごせていたけど、落ち着きがなく、衝動的な行動が気になるというお子さんのお母さんの心配は人一倍ですよね。
何か問題行動を起こすのではないか…と、帰宅するまで心配で仕方がないというお母さんもいるかと思います。
そんな気持ちとは裏腹に学校生活に慣れた子どもはトラブルを起こしやすくなります。
学校から「お子さんにもご家庭で指導してください」と連絡がくると「もうしないように!」と子どもを叱ってしまい上手く話が伝わらないということもあるのではないでしょうか。
実は、私もそうでした。
入学前には「もしかして、うちの子は注意欠陥多動性障害(ADHD)かも?」と思い発達支援センターにも行きました。入学後の学校生活が上手くいくようにと、学校にも息子の特徴を入学前に伝えていました。
ですから、息子が帰ってくるまで「今日も大丈夫だったかな」といつも心配していました。
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2.「指導してください」と言われるようになった息子
私の息子はADHDと自閉症スペクトラム(ASD)を持ち合わせています。
母親である私は、息子が幼稚園の頃から落ち着きがなく、多少のこだわりや衝動的な行動があることが気になっていました。
しかし、友達トラブルを起こすことはなく、集団の行動の指示も入るし、率先して動けることが多く幼稚園生活では心配はほとんどありませんでした。
一番心配だったのが「45分の授業に座っていられるのか」ということでした。
何か気になるものを見つけて勝手に教室から出て行ってしまうのではないか…と不安で仕方がありませんでした。
しかし、私の心配をよそに息子は離席も退室もなく授業を受けることができていました。それはゴールデンウィークが明けてからも変わりませんでした。
すっかり安心していたのですが、6月に入り息子は授業以外のことで次第にトラブルを起こすようになりました。
それは、私の予想していない出来事でした。正直、「なんでこんなことするの?!」という行動で驚きました。
どんなことをしたのかというと…
・休み時間に突然、友達の洋服のフードをひっぱった
・登校途中になぜかランドセルから連絡帳を取り出し、振り回しながら友達に近づいて目の近くに当ててしまった
という行動です。
幸いにも相手にケガをさせることはなかったのですが、万が一のことを考えるととても危険な行動です。
このような息子の行動に心配事は授業中だけではなかった!と改めて息子のADHDの特性を痛感しました。
そして、「お母さんからも指導をしてください」という先生の言葉に学校で起きた時間のたった出来事についてどのように伝えたら良いのか悩みました。
3.発達障害・ADHDの特徴を持った子どもの衝動性
ADHDの主な特徴は
・不注意による注意力の弱さや忘れっぽさ
・多動性による落ち着きのなさ
・衝動性により感情が抑えられない
などがあげられます。
脳の発達の遅れや発達の偏りがあるために起こる行動であり、お母さんの育て方や本人の努力とは無関係です。
また、子どもによって行動や様子は様々なのでADHDだからこの行動がみられるといった決まったものはありません。ですから、子ども一人ひとりの特性があります。
息子の場合は…多動性と衝動性が強いです。「こうしたら、こうなるかも」という予測をしないで行動してしまいます。
また、特に意味はないけどやってしまった…ということも多いです。その結果、相手に嫌な思いをさせてしまったり危険な行動となってしまっていました。
本人にはまったく悪気はないので、起きてしまったことに対して「なんでこんなことしたの?」なんて聞いても理由はありません。
ですから、頭後なしに叱っても子どもには「叱られた」ということしか印象に残りません。
学校から連絡がきて、子どもがしたことを「なんで?」と子どもに質問したり、「そんなことしてダメでしょ!危ないの分からないの!」と言ってしまいがちですが、それは逆効果です。
子どもの行動が落ち着くことはありません。さらに、自分に自信がなくなり自己肯定感も下がってしまいます。
では、どうしたら良いのでしょうか。私が息子に行ったことを次の章でお話ししますね。
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4.シンプルが一番!子どもに伝わる話し方の基本
前章でお伝えしたように発達障害・グレーゾーンの子どもの脳は発達に遅れや偏りがあります。そのため、衝動的な行動をしてしまうことが多くあります。
それは本人が悪いのでもお母さんの子育てが悪いのでもなく、脳の特性からの行動です。ですから、まずはお母さんが心を落ち着かせてお子さんに話をする姿勢をとることが大切です。
ここでは2つのポイントをお伝えします。
◆3ステップで伝える
話は簡単に短く要点を絞って「起こてしまった事実」と「もうしないでほしい」ということを話しましょう。
私が息子にどう伝えたかを例にあげると
「今日、お友達のパーカーのフードをひっぱってしまったよね。首が苦しくなったんだって。息ができなくなってしまったら大変だし、危険なことだからもう引っ張らないでね」というように伝えました。
このように
➀してしまったことの事実の確認
➁そのことで(相手や物)どうなったか
➂次はしないでほしいこと
といった順番に3つに要点を絞って伝えましょう。
発達障害の有無に関わらず子どもに話をするときは簡単に短く伝えることは大切です。お話し上手になるためのお母さんのステップアップにもなりますよ。
このように息子に話をした結果、息子は同じことはしませんでした。
◆話の最後は「ありがとう」
次に、話をするときに気を付けてほしいことをお話ししますね。
お子さんがお母さんの目をずっと見れなかったり、話しの途中で落ち着きがなくなってきても決して「ちゃんとききなさい!」なんて注意しないでください。
発達障害の子どもは、人の目を見て話を聞くことやじっとしていることを苦手とすることが多いです。聞いてはいるけれどそわそわしてしまっていることや視線が違うところを向いていることが良くあります。
ですから、お母さんが話し終わるまでお母さんのそばにいたのならば、「最後まで聞いてくれてありがとう」でお話を終わりにしましょう。
すると、子どもは「最後まで聞いていることをお母さんは分かってくれた」と自信をなくすことなく、次も話を聞くことができるようになっていきます。
息子も自分が学校で先生に指導されたことだという話だと分かっていても、最初から最後まで話を聞くことができています。
いかがですか?
学校でのトラブルの話は時間もたってしまっているし、直接お母さんが見ていたことでもないので話をするのが難しいこともあります。
「お母さんのお話=叱られる」と子どもが潜在的に思ってしまうと、最初から話を聞くことすら嫌がってしまいます。
だからこそ、
・シンプルに分かりやすい話し方
・叱るのではなく「伝える」
を意識してみてくださいね。
お母さんが少し意識をして気をつけることで子どもとのコミュニケーションがスムーズになり、発達を促す関わりが増えていきますよ。
こちらの記事でもADHDの特性に合わせた対応の仕方をご紹介しています。良かったらご覧ください。
執筆者:さとう みな
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)