何度も同じ本ばかり読む…飽きないのかな?と、お子さんの行動を疑問に感じることはありませんか?無理に辞めさせると子どもにもママにとっても悪影響なことに。アスペルガー傾向の記憶力がいい子の繰り返し行動はメリットが沢山なんですよ。その真の理由をお伝えします! |
【目次】
1.本好きなアスペルガー傾向の娘が何度も同じ本ばかり読むことに戸惑う私
よく同じ本を何度も何度も読めるなぁ…。
かれこれ10回位は読んでるよね。
本やマンガを1回読んでおしまいにはならず、繰り返し同じ本ばかりを何度も読むお子さんへ疑問を感じることはないですか?
小学生3年生のアスペルガーの娘は、少なくとも1日に1度はマンガに触れています。
アスペルガーとは発達障害の一つで、自閉症スペクトラム(ASD)のうち知能や言語の遅れがないものをいいます。誰しもが自閉症的な部分を多かれ少なかれ持っていますが、社会性やコミュニケーションの発達に凸凹があります。
娘とは真逆なことに私自身は夏休みの読書感想文用の本しか読まない子ども時代でしたので、たとえマンガでも娘が本のページをめくる姿に尊敬するほどです。
そんなある日、娘との本について会話中に開いた口が塞がらないようなことがありました。
「この本の中の登場人物は何人いるの?」と娘へ尋ねてみると、
「〇〇と△△と□がいるんだけど、□□は最初は出てなくて●巻から出てくるようになるよ。
他にも、▲▲という人が確か…■巻から登場するはず!」
なんと!全30巻位あるシリーズ本のマンガでも何巻から誰々が載っているとか、何巻のストーリーはこんな感じというふうに、内容をガッチリと覚えているのです!
アスペルガーの娘は、まるでウィキペディアのようにそのマンガのことを記憶していました。記憶力がいいことは特性でもありますが、どこへ大量の記憶をストックできるのかと驚いたできごとでした。
そして、ある時は娘から意外な言葉が出てきました。
就寝時は娘への読み聞かせが日課になっているので、当時読んでいた分厚い小説本を、もうわずかでやっと読み終わる!!と、解放的な気分で娘へ尋ねてみました。
「あと少しでこの本終わるけど、次はどんな本にする??」
すると娘は、「じゃあ、次はこの前読んだマインクラフト1(小説)を読んだ後にまたこの2をもう一度読んで!」
厚み3センチ程ある小説本をまた最初から毎晩読むのか…と、クラクラしそうになりました。そして、どうして同じ本を何度も読むのだろう?と疑問に思いました。
そこで、「同じ本を何度も読むと飽きない?」と、娘へやさしく聞くと、思いもしない返事が返ってきたのです。
「ずっと読んでなかったら何が書いてあるか忘れるから、忘れないうちに読んだ方がいいじゃん」
なるほど、記憶力のいい娘は一度読んだら終わりではなく、忘れないことを無意識に心がけてるのかなと、感じた瞬間でした。
2.記憶力がいいのに繰り返し同じ本を何度も読むことは以外な理由だった!
実は、娘のように同じ本ばかりを何度も読むという記憶力のいい子が何度も繰り返す行動には、ちゃんとした理由があったのです。
発達障害・アスペルガーの娘は不安が強く、初めてのことが苦手です。
知らない人、知らない場所、初めてすること、初めて聞くことなど、自分が知らないことに対して不安になりやすい特性があります。
このような記憶力がいい不安の強いタイプの子が、同じ本を何度も読んだり同じゲームを何度もする場合は、覚えてないから繰り返しているのではないのです。
逆に、覚えているからこそ何度も繰り返します。
なぜかというと、自分が知っていることが気持ちの安定剤になるからです。
つまり、何度も知っている場面を読んだり同じゲームをしたりすることは、次にどんなことが起こるのか既に頭の中に記憶がある状態です。
内容を知っているからこそ、覚えているからこその安心感は、子どもにとってはリラックスでき、安心させてくれる効果あるアイテムなのです。
娘は気持ちをリラックスさせ、安心させてくれる効果のある方法を、本を通じて自ら取り入れていたんですね!だから、同じ本ばかり何度も読んでいたのです。
そのことを知ると、娘が本を読むタイミングに納得いくことがいくつかありました。娘はこのような時に、ページを開き始めるんです。
・イライラしている時
・外出から帰宅して疲れた後
・何をしていいか分からない時
しばらくすると、いつの間にかリラックスした様子になりイライラも落ち着いているんです。
では、このように本を上手に味方にできている娘へ心がけていることを最後にお伝えします。
3.子どもにとって安心できる大切なアイテムの取り扱い方
本が好きな子でしたら、気づけばたくさんの本が溜まっていたなんてこともあるのではないでしょうか。そんな時に心掛けたいポイントをお伝えします。
1つは、勝手にしまい込んだり処分したりせず子どもと相談することで、せっかくの安心させてくれる効果のあるアイテムを無くさないことです。
もう1つは、子どもが自分で手に取れる場所に置いておくことを心がけています。
そして、子どもが本の中に入り込んでいる最中はせっかくのリラックスタイムなので、話しかけずになるべく見守るように心がけています。
もし、読み聞かせの際などにお子さんから同じ本を読んで欲しいと求められた時には、安心を求めている場合もあるので快く受け入れてあげたいですね。
お母さんがお子さんを理解してくれているという気持ちから、お子さんは自信を身に付けていくことで自然と新しい本へと移っていくようになります。
いかがでしたでしょうか?
同じ本を何度も読むことで、自らリラックスしてくれるなんて嬉しい♪そう思いながらお子さんを見守っていただけると嬉しいです。
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執筆者:おおむらさえ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)