吃音(どもり)について専門家にみてもらいたくても場所も限られているし、定期的に通わなければならず大変ですよね。だったらママがセラピストになって毎日お家で吃音をよくするのはいかがですか? |
【目次】
1.吃音(どもり)が多い時なんとかしてあげたいと思いませんか?
2.子ども本人と周囲の大人の感覚にはギャップがある!
3.音の切れ目や息継ぎに注目!どもりにくくなるポイント
4.ママがセラピストになって吃音をよくしちゃうコツ
1.吃音(どもり)が多い時なんとかしてあげたいと思いませんか?
吃音(どもり)の子と話していて、何度もつっかえるのでかわいそうに思っていたら話の中身を聞き逃したなんてことありませんか?
吃音が気になって話に集中できなくなることはよくあることです。
「え?なんて言ったの?もうちょっとゆっくり話してごらん。」
と言い方に注文までつけて聞き返してしまうこともあるかもしれません。
しかし、これは吃音の子に対しては絶対にやってほしくないNG対応です。
「せっかく話したのに通じなかった」
「ママにお話聞いてもらえなかった」
「ゆっくり話したのに、またゆっくり話してって言われた。」
など子どもの中に「話が通じない」という経験が積み上がっていってしまうからです。
そしてその犯人はどうやら自分の話し方、「吃音」が原因なのだと子どもながらに突き止めます。
そして、この吃音をなんとか抑えなきゃいけないと無意識の内に思い込むようになります。
すると吃音に対する嫌悪感や罪悪感など偏見が生まれ、どもるたびに子ども自身が落ち込むようになってしまうのです。
親としてはそんな意図はなかったのに、子どもを傷つけ、自己肯定感の低い子に育ててしまう結果になります。
2.子ども本人の感覚と周囲の大人の感覚にはギャップがある!
それまで普通にお話していたのに、ある時から「ア、ア、アイス た、た、たべ、たべ、食べていい?」など突然、言葉の一部を繰り返すようになり、そこから徐々にどもることが増えていくものを「発達性吃音」と言います。
吃音の9割がこの発達性吃音です。吃音の原因はまだわからないのですが、
・人種や言語に差はない
・男性に多い
・症状の進み方には一定のパターンがある
ことなどがわかっています。この進み方のパターンというのは
①「ア、ア、アイス」と音を繰り返す「繰り返し」
↓
②「ア〜イス、た〜べていい?」と音を引き伸ばす「引き伸ばし」
↓
③「ア、ア………イス」と喉から口のどこかに閉鎖ができて、声がつまるブロック
↓
④ブロックが出た時に体の一部を動かす「随伴症状」(例:手足バタバタ、目をパチパチなど)
という順番に症状が進んでいきます。そして良くなっていく時は、この逆の順番をきれいにたどっていきます。
親は吃音の初期段階から気が付きますが、当の本人は気づいていないことがほとんどです。100%と言っても過言ではありません。
なぜなら子ども自身にスラスラ流暢に話す方がよい、という価値観がないからです。
言葉を覚える時期の子どもは言い間違えもしますし、どういったらいいかわからなくて言い淀んだりもします。
うまく言葉で言えないと、ジェスチャーをしたり、ママをそのもののところまで連れていって実物を見せたり、時には苛立って泣き出したりもします。
そもそも流暢に話せる段階ではないので、ちょっと繰り返したり、引き伸ばしたりしても気にしません。
ところが、随伴症状が出るぐらい悪化してくると徐々に本人にも「話しにくいな」という自覚が現れてきます。
大人の吃音の方に吃音の発症時期を尋ねると、このブロックを自覚された時期の5〜6歳や小学校低学年頃だとおっしゃる方がほとんどです。
しかし、親御さんに確認するとたいていそれ以前の2〜4歳頃など幼児期から発症していたことがわかります。
吃音が発症してから、周囲の大人が余計なことを言わなければ、本人が気になり出すのはブロックが悪化した頃からです。
「大人が余計なことを」というのは、吃音を言い直しさせたり、話し方の工夫を教えたり、「ちゃんと話しなさい」とダイレクトに指摘するなどのことを指します。
こういったネガティブな注目をしなければ、子どもは吃音に気づいていても、気に病むことはありません。
大人が「話しにくそうでかわいそう」と感じている時、子ども自身は自分をかわいそうなんて思っていないということです。
吃音の本人の感覚と周囲の大人の感覚とは大きなギャップがあります。
3.音の切れ目や息継ぎに注目!どもりにくくなるポイント
子どもは気にしていなくても、できれば早く吃音がよくなって話に集中できるようになりたいですよね。
吃音の子は急な呼吸の変化でどもりやすくなる傾向があります。つまり、音の切れ目や息継ぎが苦手なんです。
私たちが声を出す時は、喉仏の中にある声帯という筋肉のひだを振動させて声を出します。
言葉には有声音と無声音というものがあり、有声音は声帯をずっと振るわせながら発声する発音です。「あいうえお」などはずっと声帯を震わせています。
無声音は発音の出だしに声帯を振るわせず、瞬時に再び声帯を動かすなどの微調整をしている音です。
「ぱぴぷぺぽ」の「ぱ=PA」は、始めの「P」のところは声帯の動きを止め、「A」のところから声帯を振るわせて音を作っています。
喉仏を触りながら発音すると、声帯のふるえを感じるので違いがわかると思います。
さらに、これに息継ぎが加わります。細い気管の中は、常に呼吸しながら気流が発声しています。声を出す時にはその息の量を微調整しています。
吃音の子はこれらの微調整が苦手なので、これを少しだけ単純にしてあげるとどもりにくくなります。
4.ママがセラピストになって吃音をよくしちゃうテクニック
本人に吃音を自覚させないでどうやって吃音をよくするの?と思われるかもしれませんが、
ママがどもりにくい話し方のテクニックを身につけ、実践することで自然と子どもにその話し方を伝授することができます。
幼児期は大人の真似をして言葉を覚えていきます。その時に、話し方も真似していきます。
口調や言い回しが親に似るのはこのためです。
複雑な発音や息継ぎの微調整をなるべく単純にするためにママにしていただきたいことは、音をつなぎながら話すテクニックをマスターすることです!
なるべく声帯振動を止めずに、声を持続させて話していただきたいのです。
「おはよう。今日は天気がいいね。」という文があるとすると、「おはよう」の後に息継ぎをすると思いますが、これを途切らせずに話してみてください。
「おはよ〜きょうは天気がいいね〜。」となんとなく音を伸ばしながら話しませんか?
日本のお化けは、ドロドロ〜っという音楽とともに、「お〜ば〜け〜だ〜ぞ〜」と登場しますが、あのように音をつなぎながら話すイメージが近いかもしれません。
これをすると声帯を振るわせる微調整を極力抑え、息継ぎをなめらかにした話し方になります。
声の出だしも柔らかくなり、話す速度もゆっくりとし、抑揚(声の高低)も抑えられます。
どもりにくい話し方の条件がそろうので、ママがその理想的な話し方を実践し、子どもに自然と伝授できると、吃音は徐々に徐々に減っていきます。
難しいと思われるかもしれませんが、私は娘が随伴症状まで悪化した時、一念発起してこの話し方で接するようにしました。
ずっとこの話し方をするのは大変だったので、夜の寝かしつけの時間など自分も落ち着けるタイミングでしていました。
また1日の中でも吃音が多い時と少ない時があると思いますが、多くなっている時は徹底して私の話し方を変えて接するようにしました。
それを繰り返したところ、私と話す時だけは吃音が減り、その経験が積み上がってきた頃には吃音がパタリと出なくなりました。
娘は今でもどもりにくい話し方で話します。やわらかい声で話し始め、ゆっくりと穏やかに話します。
吃音はよくなっても1年間は再発のリスクが高い時期と言われますが、しっかりどもりにくい話し方をマスターした娘はあれから6年経っても再発することはありません。
お子さんと1日5分でいいのでゆっくり話す時間を作って、話し方をすりこんであげてください。
子育ての悩みについてヒントが満載です
執筆者:おざわつきこ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)