子どもがどもる時に手を振ったり、体を揺らしながら話すのを辞めるように言ったことありませんか?実はそれ、逆効果です。ママが吃音の症状に詳しくなって適切な対応をとれるようになりましょう。 |
【目次】
1.子どもがどもる時に体を動かすのを辞めさせたいです
2.抑制しようとすると悪化する理由
3.娘がどもる度に手をブンブン振ってかわいそうだった頃
4.「見守る」って難しい。「見守る」先にゴールがあるって知ることが大切
1.子どもがどもる時に体を動かすのを辞めさせたいです
言葉が詰まって話せなくなるだけではなく、体の一部を動かすようになる子がいます。そうすると、見ているのも辛くなってくるママさん達は多くいらっしゃると思います。
腕を動かしたり、足を貧乏ゆすりのように動かしたり、頭を動かしたり、上半身を前後に動かしたりと、人によって様々です。
他にも、眉間にシワを寄せたり、チックのように顔面の筋肉の一部を動かしたり、独特な動きになる子もいます。
見ているのがつらいので、ついつい
「ブラブラしないで」
「体動かさないで」
「きちんと話してごらん」
と辞めるように言ってしまうかもしれません。
実はそれ、逆効果です。一層吃音が悪化してしまうとご存知ですか?
2.抑制しようとすると悪化する理由
幼児期から発症する発達性吃音の症状は、どの言語の人でも、どの人種の人でも同じ症状の経過をたどっていきます。
まずは、「お、お、おはよう」と音を繰り返す繰り返しという症状から始まり、
次に、「お〜はよう」と音を伸ばす引き伸ばしが現れます。
この時期はまだ吃音が出たり、出なかったり波があるのですが、徐々にその波が少なくなり、毎日でているな〜、となってきます。
そして、言葉が詰まって声すら出なくなるブロックという症状が出てきます。
このブロックはなかなか辛いもので、ブロックから抜け出そうと、子どもでもいろんな工夫を始めます。
詰まった状態から抜け出そうと意図的にしていると考える人と、無意識的にしていると考える人で専門家の意見も分かれているところですが、話す時に体を動かすようになります。
これを「随伴症状」と言いますが、意図的にしろ、無意識にしろ、辞めろと言われて簡単に辞められるものではないということが重要です。
ただでさえどもって話すことが大変な子に対して、体を動かすな、きちんと話しなさい、というのはとても酷です。
子どもは「うまく話せない」という体験を重ね、ストレスを溜め込み、話すことに自信を失い、さらにどもりやすくなっていきます。
吃音は、否定的になればなるほど悪化するものなので、否定するような言葉かけは逆効果になってしまうのです。
3.娘がどもる度に手をブンブン振ってかわいそうだった頃
3歳で吃音を発症した娘は、4歳の頃にはブロックまで症状が進んでいました。
しばらくして随伴症状も出始め、ブロックが出ると、腕をブンブン振って勢いをつけて話すようになっていきました。
「ママ、‥‥‥‥(腕をブンブン、ブンブン、ブンブン)かわいいね!」
一つの単語を言うだけなのに一苦労することがありました。
この時の「かわいいね」の「か」は爆発するような言い方なので、ようやく発っせられた言葉も不自然で、かわいそうで、かわいそうで仕方ありませんでした。
私の気持ちに余裕がない時は、あまりにも娘の姿が痛々しくて目を逸らしてしまったこともあります。
そうしてしまった自分にさらに落ち込み、娘を憐れんでいる自分が嫌で嫌で仕方ありませんでした。
4.「見守る」って難しい。でも「見守る」先にゴールがあるって知ることが大切
まず、発せられる言葉の耳障りの悪さ、さらに体の一部を不自然に動かす見た目の悪さ、それが気になることに罪悪感を感じることを辞めることから始めましょう。
そう感じるママさんの心の裏には、
「吃音のある子に産んでしまって申し訳ない」
「私の育て方が悪くて吃音になったのでは?」
「何がいけなくて、何がいいのかわからない」
という母親ならではの葛藤が隠れていることが多くあります。
私は子どもの症状が苦しそう、かわいそうと言いながら、
「言語聴覚士のくせに、娘を吃音にしてしまうなんて、育て方が悪いのではないか」
(そんなことはないとわかっていながらも)
と親戚や園の先生が思っているのではないかと勝手に疑い、一定の距離を置いて接する時期がありました。
「随伴症状を辞めさせたい!」という気持ちはよくわかります。しかし、無理強いすると悪化するので、ここはジッと辛抱の時期なのです。
子どもがかわいそう、人の目が気になる、自分も辛い、色々あると思いますが、吃音の症状をマルっと受け入れてみてください。
そしてきっとよくなると信じて見守ってください。吃音は離れようとしたり、隠そうとしたりすればするほどついてきます。
しかし、開き直って吃音を受け入れ、抵抗することを辞めると徐々に、徐々に減っていき、なくなっていきます。
吃音症という症状そのものは実はそれほど頻繁に起きるものではないのです。
吃音を隠そうと工夫を重ねることで話し方が不自然となり、どんどん悪化していきます。
まずママから変わってください!
「吃音があっても大丈夫!大好きよ!」と吃音を受け入れ、笑顔で穏やかに子どもに接することができれば、吃音はいつの間にか離れていきます。
そうして娘は5歳1ヶ月の頃から吃音が出なくなりました。ママから先に吃音を吹っ切ってくださいね。
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執筆者:おざわ つきこ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)