娘は現在、小学生です。かんもく傾向があります。医師の診断を得て、教育機関や療育に適切な対応をお願いしたいと考えています。しかし、医師からは毎回様子見となり、いまいち伝わりません。どうしたら今後適切に理解してもらうことができますか?
6歳・女の子のママ
私も経験しましたが、かんもくの診断はとても難しいものです。今回は、自分の経験を踏まえ、様子見になってしまった際の伝え方をお伝えします。
発達科学コミュニケーションリサーチャー みずおち梨絵
【目次】
1.「かんもく」の診断は難しい?
お子さんがかんもく傾向にあるのに、医師に診断をしてもらえない!周りへの理解を示してもらえない!伝え方がわからない!と思われている方はおられませんか?
「かんもく」の症状は、一般的に学校や外では話せないけれど、家では問題なく話せるというように言われています。
しかし、中には、これに当てはまらないお子さんがいることも事実です。学校で決まった場面では話すことができたり、お友達と話しができたりと。
そうなると、周りの理解も得ることが難しくなってきます。支援する側である親の方も、子どもの状況がいまいち読み取ることができず、伝える際に不明瞭な内容になることも多くあります。
医師の診断を得たいと考えても、医師でさえ状況が掴み取ることができず、なかなか診断の確定に至りません。
そして、かんもくは医師でもあまり詳しくない先生も多いのが現状です。実際に関わる患者さんでかんもくの症状が少数なこともあったり、かんもくを別の診断で確定することもあったりします。
そのような状況だと、診察に行っても、診断どころか、様子見!という結果になることもわかりますよね。
病院の予約を何ヶ月も待って、やっと診察の日が来たのに様子見!では報われません。極度の人見知り?では済ますことができない症状ですが多く耳にする現実です。
そして、様子見!と言われている間に、子どもはどんどん成長していきます。受けたい支援が適切に受けられるように、周りの理解が得られるようになってほしいと願うばかりです。
今回は、我が家の経験を踏まえ、適切な診断がおりるよう医師の理解を得るために効果的な伝え方をお伝えします。
こちらの記事でも「かんもく」について詳しく対応をご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
2.試行錯誤した理解への道のり
ここで我が家の話をさせてください。我が家には小学生の娘がいます。4歳くらいからずっとかんもくに悩まされてきました。
先に状況をお話ししてしまうと、診断が確定するまでには1年以上の時間を要しました。
今となっては医師もとても親身に考えてくれており、診断を簡単にはつけたくないという想いがあったのだろうと思います。
しかし、診断が出てからは周りの理解を得ることが、とてもスムーズになったことも確かです。
我が家の娘は、前項でお話しした掴みどころのないタイプの方でした。周りから見ていると、「え?ここで話すことができるの?でもここでは話せないの?なんで?」の繰り返しでした。
例えば、園では一度も返事をしたことがないのに、預かり保育では返事ができる!同じ園内なのに、先生も同じなのになんで?という具合です。
親の私でさえ状況を掴み取れない中で、園の先生にお伝えしても「診断はありますか?」、療育に通いたいなと考えても「もう少し様子を見てからでも!」という返答も多く困惑した日々を過ごした過去があります。
周りの理解を得られるように、書籍や親の会に入り自分なりに勉強をしてやっと診断をもらえるときにはとても詳しい母親になっていました笑!
そのような状況の中、地道な作業ではありますが、効果的に医師や周りの理解を得られることができるようになった伝え方をお伝えします。
3.診断に向けての伝え方2ステップ
適切な診断を得るためには、ふわぁ〜っとした伝え方では相手には伝わりません。これからお伝えする2ステップを大切にお子さんのことを観察してみてください。
◆①情報収集した内容を整理して伝える
とても大切なのは、情報収集です。今、お子さんが身を置くすべての状況で情報を得られることがいいと思います。
ママ友さん、お友達、学校や園の先生、家庭での様子、同居しない親族などです。お子さんと触れ合う機会の多い方から、子どもがどのような状態かを聞き取ります。
その際、同じ人でも場所が変わったり、人数が変わったりするとどうなるのか?なども同じように観察しておくことをお勧めします。
かんもくが単なる人見知りと違うところは、慣れても状況が変わらないことだったり、多少の環境の変化でも敏感に感じ取ったりして、症状が強く出ることがあるのです。
ですので、情報収集はかんもくの診断や緩和に向けて何より大切なことだと考えています。
◆②症状の強弱の差を伝える
①でお伝えした情報収集と、症状の強弱の差の大きさを知り伝えることが大切です。
家庭では話すこと、行動することに全く困難を示さない。しかし、一歩外へ出ると体が思うように動かないことや話せなくなることなど。
今までお友達とたくさん話ししていたのに、そこに大人が一人加わると全く話さなくなることや、違う子が入ると同じように話しをすることが難しくなるなどです。
かんもくは、症状の強弱の差が大きいことも知られています。その差が大きいことも診断する上ではとても重要になってきます。
ノートを1冊用意して書き留めておくことをお勧めします。
診断を受けることがゴールではなく、本人が生きやすくなるために、そして周りの理解を得られやすくするための支援策の一つとして診断があります。
本来だったら、診断の有無にかかわらず支援をされることが望ましいと思います。
ですが、我が家では医師にしっかり伝えることができたとき、ずっとキャンセル待ちだった療育に優先的に入れてもらうことができました。現実にはこういうことも起こり得ます。
この記事を読まれているすべての方が、診断を受けることへのデメリット・メリットを比較して、適切な診断へとつながることを祈っています。
執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)