「ながら勉強」なんて絶対ダメだと思いますよね?でも、ADHDタイプの子どもが勉強しなくて困っているなら、一般的に良いと言われる勉強法が合っていないかもしれません。そこで、高学年の子どもが自分で考え出した、非常識な勉強法についてご紹介します。
【目次】
1.発達障害グレーゾーンADHDタイプの勉強に関する困りごととは?
2.高学年になったばかりの娘の様子
3.娘が考え出したながら勉強法
4.子どものやる気をそがない親の姿勢
◆子どものやり方を否定しない
◆子どもの意見を尊重する
1.発達障害グレーゾーンADHDタイプの勉強に関する困りごととは?
注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプの子どもの勉強に関しては、一般的に次のような困りごとがよく言われますよね。
・勉強を始めたとしても、気が散りやすく、集中できない
・勉強をするために、じっと座っていることが難しい
そのため、集中できる環境にするために、机の上には余計なものは置かない、できるだけ静かな場所で勉強する、という対応方法がよく言われます。
しかし、高学年になってくると、このような理想的な環境を用意しようとしても、だんだん子どもが親の言うことを聞かなくなったり、親が用意した環境を拒否するようになってきます。
2.高学年になったばかりの娘の様子
わが家の娘は、発達検査をしても「様子を見ましょう」と言われた、いわゆるグレーゾーンといわれる子ですが、特に衝動性の強いADHDタイプです。
低学年の時は、親の言うことを聞いて、時々癇癪を起こしながらも、静かな環境で勉強をしていました。
しかし、高学年になった頃から、リビングのテーブルでテレビを見ながら宿題をやるようになってしまったのです。もちろんテレビに気を取られて、なかなか宿題は進みません。
おまけに、近くにソファがあったため、ソファに寝転がったりして中断することもたびたびでした。
その頃は、私も「早く宿題をやりなさい!」「テレビを消しなさい!」とガミガミ言っていましたが、親子関係が悪くなるだけで、娘が言うことを聞くことはありませんでした。
そんな状態でしたので、学校の宿題はなんとかできたとしても、公文の宿題や通信教育の教材までは手が回らなくなっていました。また、その頃はテストの点数も以前よりは悪くなっていました。
そんな娘が、ある時、不登校中の中学生の兄がYouTubeばかり見ているのを見て、「私も見たい」と言い出しました。テレビばかり見ていた娘に、YouTubeを許可するのには不安もありました。
けれど、不登校中の息子が見ているのに、学校に行って頑張っている娘に禁止するわけにもいかない…最初は1日30分という条件で、パソコンで見ることを許可しました。
すると、あっと言う間にYouTubeにハマり、テレビは全く見なくなりました。すると、娘は、私には信じられない勉強法を考え出したのです。
3.娘が考え出したながら勉強法
5年生の終わりごろから、娘は家にいるほとんどの時間をパソコンの前で過ごすようになりました。しかも、ずっとヘッドホンをして、YouTubeの音声を聞いています。
学校の宿題も、公文の宿題も、通信教育の教材も全て、ヘッドホンをして音声を聞きながら、やるようになってしまいました。まさに「ながら勉強」です。私からすれば、そんな勉強法で身につくのか疑問でした。
しかし、娘はこの勉強法の方が集中できると言います。もちろん、勉強の合間には、YouTubeの画面も見ています。つまり、「短時間に集中して勉強する」ということを繰り返しているのです。
また、パソコンでは、図書館で借りてきた料理本のレシピをワードで入力したり、好きなYouTuberの家族構成をエクセルで入力したり、好きな歴史で学んだことをエクセルでまとめたりしています。
とにかく、ずっとヘッドホンをつけて、パソコンの前にいるのです。この頃は、私も発達科学コミュニケーション(発コミュ)を学んでいたので、目と耳が悪くならないように注意する以外は、娘のやることにガミガミとは言いませんでした。
実際、私にとっても良いことの方が多かったのです。例えば、
・早くYouTubeが見たいから朝の寝起きがいい
・朝起きる時間、学校に行く時間、お風呂に入る時間、寝る時間を自分で決めて、毎日同じ時間に動けるようになった
・学校の宿題、公文の宿題、通信教育の教材も期限に間に合うようにできるようになった
・テストの点数も以前より良くなった
などです。
4.子どものやる気をそがない親の姿勢
では、どうしてこんな勉強法で娘はやる気が出るようになったのでしょうか?それには、次の2つのポイントがあります。
◆子どものやり方を否定しない
私も含めて親にとって、勉強は静かな環境で、勉強の妨げになるようなものがない机でやる、というのが一般的な勉強法だと思います。ながら勉強なんてダメに決まってますよね。
しかし、子どもは一人一人違います。静かな環境が集中できる子どももいれば、音楽や音声を聞いている方が集中できる子どももいます。
低学年のうちはともかく、高学年にもなれば、自分にとってどういうやり方が合うのか、少しずつ分かってくると思います。
その時、そのやり方が親にとっては信じられない方法だったとしても、否定しないことが重要です。親が無理矢理やらせるよりも、子どもが自分で考えた勉強法でやった方が、やる気が出るからです。
◆子どもの意見を尊重する
実は、先ほど公文の宿題と通信教育の教材もできるようになったと書きましたが、それには他にも理由があります。
最初に公文を始めたときは、子どもの意見を聞かず、私がやった方がいいと思った英語をやらせたのです。
でも、子どもは苦手な算数を勉強したいと思ったようで、「算数に変えたい」と言ってきました。そこで、今回は子どもの意見を尊重し、算数に変えたのです。
そのため、子どものやる気が復活したという経緯がありました。
また、通信教育の教材も、私が手で字を書いた方がいいと思い、紙の教材をやっていたのですが、子ども本人は、タブレットの方がやりたかったようでした。
そこで、これもタブレットに変更したら、子どものやる気が復活したのです。このことから、親の意見を押しつけるのではなく、子どもの意見を尊重することが大事だということを学びました。
いかがでしたか?子どもの勉強方法は、それが親の理想とはかけ離れていたとしても、子どもがやりたい方法でやるのが一番です。
今回は、娘の場合を紹介しましたが、ADHDタイプの子どもといっても、子どもによって様々です。お子さんに合う勉強方法を見つけるために、わが家のケースが参考になれば嬉しいです。
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執筆者:佐藤とも子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)