自閉症の子特有のネガティブ思考。“自分にはできない…”という思考から、“自分にもできた!”という成功体験を得るために必要なノウハウをまとめました。お子さんの一番近くにいるママのちょっとした工夫で、伸び伸び育つきっかけをつくります。
【目次】
1.“自分にはできない…”と自閉っ子が考えてしまうのはなぜ?
自閉症の子の脳はネガティブな記憶を蓄積しやすい、という特性があります。
誰かと一緒に食事をするなど、同じ経験をしていても、周囲がすぐに忘れてしまうような
・クーラーの音がうるさかった
・ママが僕のスプーンを落とした
・隣の席ではママが子どもを叱っていた
などネガティブな記憶ばかり覚えていることがあります。
自分に対しても、やはりネガティブな記憶を溜めやすいところがあり、
自分にはできない…
自分にはできなさそうだ…
と決めつけて指示待ちになってしまうことも日常です。
子どもは成長とともに、できることが段々と増えていきますよね。その姿は微笑ましくもあり、逞しくもあります。
その“できること”が増えていく過程で、子どもたちは幾度となく失敗を経験していきます。
自閉症の子は、その失敗した経験を脳内に溜め込んでいってしまう傾向があります。
それは、刺激に過敏に反応してしまうため。
例えば、先ほどの例は、機械音や大人の強い声などの耳からの刺激です。
他にも、誰かの視線や何かが接近してくるなどの目からの刺激。
触れられたことによる肌からの刺激など、これらの刺激は不安要素となります。
刺激によって引き起こされた感情は、緊張、不安、興奮といった形となり、記憶に色濃く残りやすくなってしまいます。
そのため、自閉っ子は、「自分にはできなそう…」と思ってしまうと、動き出す術が分からなくなり、指示を待つという選択になるのです。
2.見通しが立たないことが原因!?ネガティブ思考が悪化した娘
私には小学校4年生の自閉症の娘がいます。
娘は、自閉症の特徴であるネガティブな記憶を残しやすく、日頃から様々なことに“私にはできない…”と思っている子です。
例えば、私たち家族は、娘が小さい頃から登山やハイキングなど、緑の中を歩くことをしています。
しかし、娘は山道を歩かない子。
体力がないこともあり、山道は一歩も歩こうとせず、とにかく「だっこ!」「だっこ!」
実は、自閉症の娘は、見通しの立たない道が苦手だったのです。
この‟見通しが立たない“というのは、自閉症の子の不安をいっそうかき立て、”自分にはできない“というネガティブ思考にしてしまうものです。
3.自閉っ子ができたことに注目できるようになるママの声かけ術とは?
娘が7歳になった頃、私は「発達科学コミュニケーション」に出会い、そこで学んだ“娘のできているとことに注目する声かけ”を毎日続けてきました。
できたことに注目して声を掛けることで、「ここまでできた!」という達成感に繋がり、自信を持てるようになったのです。
そして、私ができていることに注目し続けたことで、娘自身もネガティブな思考ではなく、自分のできていることに気付けるように!
ゴールデンウィーク、ちょっとした山に出掛けたときのことです。
今までになく娘が頑張って歩いていると思っていたら…、突然、「もう半分まで歩いたね!」と笑顔で言ってきたのです!
娘が自分の足で見通しの立たない道を歩いていることだけでも嬉しかったのに、この言葉は私の嬉しさを倍増させました。
体力的に、途中、おんぶもありましたが、なんと山道約5kmのスタンプラリーを笑顔でやり遂げました!
見通しの立たない山道が苦手だった娘が、とても大きく成長した一日。
私が娘のできていることに注目した言葉がけに変えたことで、娘の脳が変わっていく実感はとても嬉しく、心強くもありました。
毎日毎日、「あと半分頑張って!」と、できていないことを頑張らせていた声かけから、「もう半分できたね!」とできていることに注目する声掛けに変えただけ。
たったこれだけで、娘がこんなにもポジティブになりました。
この考え方は、娘が生きていく上で宝になると心から思えます。
自閉っ子の脳の発達は、日々のコミュニケーションの積み重ねです!
ネガティブな記憶を溜めやすい自閉っ子たちには、ママの声かけによって記憶をポジティブに塗り替えていきましょう!
もしママが知らず知らずのうちにできないところに注目してしまっているとしたら、ちょっとだけ声かけを意識してみてください。
できているところに声をかけていくことで「もうここまでできた!」と、お子さんができたことに注目できるようになっていきますよ!
自閉症キッズの子育てを楽しむヒントを多数お届けしています!
執筆者:今川ホルン
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)