発達障害の学習に影響する「不注意」とは? <その3:過集中>

「不注意」の症状は、注意欠陥多動症(ADHD)に強く生じる症状。 自閉症スペクトラムやLD(学習障害)のお子さんにも見られます。「不注意」の基本的な対応についてシリーズで紹介、症状を目立たなくする方法をお伝えします。3回目は「過集中」です。
 

【目次】

 

1.発達障害・グレーゾーンの「過集中」ってなに?

 
 
発達障害・グレーゾーンの「不注意」の対応をシリーズでお伝えしています。 今日はその3、キーワードは「過集中」です!<その1:注目> <その2:集中>も併せてお読みくださいね!
 
 
「注意」とは、見えているもの、聞こえているもの、考えていることなどの1つに、きちんと意識を向けて注目すること、でしたね!
 
 
 「不注意」とは、この注目のコントロールが弱く、五感情報や様々な思考にイチイチ気を取られてしまい、落ち着きなく行動してしまう状態です。
 
 
 その上、一瞬対象物に注目できたとしても、その注目を持続・集中し続けることができず、結果的に記憶や学習をさまたげてしまう場合もあります。
 
 
 ここまで見てくると、「不注意」とは、落ち着きなくソワソワした様子を思い浮かべます。
 
 
 しかし、不注意の特性には、一見まったく逆の「過集中」と呼ばれる状態もあります。 過集中とは、言葉の通り、不注意とは対照的に「特定のものに注意が集中しすぎる状態」のこと。
 
 
「あれ?それって良いことでは?」と思いますよね。
 
 
 
 
ところが、この過集中の状態は「周囲への注意がまったく向かなくなる」いう難点があるのです。言い換えれば、「没入」するような感じですね。
 
 
ですから、
 
 
・声をかけても、ぜんっぜん耳に入らない
 
・そこにあるのに、ぜんっぜん目に入らない
 
 
そんな状態になってしまうのです。
 
 
例えば、一般的な集中状態では、注意力の大部分は目の前の課題に、残りの数割は周囲に向いているようなバランスで保たれています。
 
 
勉強していても仕事をしていても、「ご飯できたよ!」と言われれば、反応することができます。
 
 
ところが、過集中の状態では、注意力の100%が目の前の課題に向けられているため、
 
 
「ご飯だよ〜!」と100回…いや、100回は大げさだとしても、それくらい言わないと気づいてもらえません!
 
 
「家の中なのに声が枯れそうなんです…」
 
「いっそのこと、拡声器、使ったろか?」
 
 
とおっしゃるお母さんも多いのです。こんな過集中状態で本当に気を付けなければならないことが1つあるんです!
 
 
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2.脳が「過集中」を引き起こすモノとは?

 
 
皆さんもご存知のように、発達障害・グレーゾーンの方の中には、とんでもない集中力を発揮して会社の経営者になったり、研究者になったりする人もいらっしゃいます。
 
 
過集中は、意図的に制御できるのであれば悪いことだけではありません。
 
 
ただ唯一大問題なのが「危険予知」に使われる注意力まで削がれてしまうということ。
 
 
考えごとをしながら歩いていて、赤信号に気づかず車にひかれそうになる。後ろから近づく車の音に気づかないなど、特に小さなお子さんは、危なっかしくてー時も目が離せません!
 
 
過集中とは、集中というより「意識を持って行かれてしまっている」ようなモノだと私は理解しています。本人も分からないほどに没入してしまっている状態。だからこそ、制御不能で危なっかしいのです。
 
 
 
 
過集中が起こる典型的な状況が、そう「ゲーム」です!!
 
 
勉強に過集中が起きないかな…な〜んてことを考えても、イヤイヤ勉強をやっている子には残念ながら届きません。
 
 
過集中が起こるモノのほとんどは、
 
 
・本人が楽しんでやっていること
・短いスパンで報酬が与えられること
 
 
と私は思っています。ゲームには、この2つが揃っているので強敵です。
 
 
決してゲームが完全悪だとは思いませんが、不注意タイプの子どもをゲームから引き離すことに苦労しているご家庭は本当に多いです。
 
 
不注意タイプの方は、実は「脳の報酬系というシステムが弱め」だと言われています。つまり、ご褒美に弱いということ。
 
 
ゲームは、
 
 
・コインが取れた
・クリアした
・攻撃が成功した
・パズルがハマった
・コンボができた
 
 
数分の間に、何度も小さな報酬(ご褒美や喜び)が与え続けられます。
 
 
ゲームでなくても、楽しいことをやっているときには、「楽しさや面白さやワクワク感」という報酬が自分自身に与えられますよね。不注意タイプの人は、こういった絶え間ない報酬に一気に引き込まれて、周りの情報が遮断されたような状態になります。
 
 
では、過集中の状態って、キレッキレの集中状態か?と言うと、必ずしもそうでは無いようです。
 
 
本質的にクリエイティブな思考に没入している場合は別ですが、ゲームのように外的な報酬により過集中している場合は、声をかけてこちらを向かせると案外ぼーっとしています。
 
 
ですから、過集中と覚醒はイコールでは無いと感じます。やっぱり「自分で制御できる注意力」が必要なんですね。
 
 
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3.過集中への対応、発達を促す3つのポイント

 
 
不注意だけでなく、発達障害の特性は「自分で気づき、意識する」ことが一番の対策だと知られています。なぜなら、本人が気づいていないことを、親であろうと先生であろうと他人が変えることはできないからです。
 
 
もちろん、「あなたは発達障害だ!」なんて言わなくても大丈夫。でも「時々、没頭し過ぎの時があるから気をつけないとね」自覚を促すことはできますね。
 
 
そして、過集中に対応するときのポイントは何か?それは「スイッチオフ」です。
 
 
「さぁ、集中集中!」
と、スイッチオンを意識させることは多いですが、
 
 
「集中終わり〜!」
と、スイッチオフさせることって、案外少ないと思いませんか?
 
 
つまり過集中は、スイッチオフができない状態。
 
 
不注意には、スイッチオンの練習。
 
過集中には、スイッチオフの練習。
 
 
これがポイントです!
 
 
今回は、スイッチオフの取り組みを3つご紹介しますね。
 
 
ポイント2ポイント3は、本人に、何を練習しているのか説明し、自覚を引き出した上で取り組むと効果が高まります。(ご年齢に応じてご対応くださいね)
 
 
 
 

◆ポイントその1 後ろから声をかけない

 
 
まずは「100回声をかけても気づかれない状態」ら脱するには、後ろや遠くから声をかけても届かないことを知って対応することがポイントです。
 
 
強制的に過集中を止めるには、
 
 
・体を揺らす
・視界に入って声をかける
・注意喚起の大きな声を使う
 
 
ということが大事です。
 
100回言うより、1回のアイコンタクトが効果的なんです。声を枯らさなくても大丈夫です。相手がハッとして気づいたら、短い言葉で端的に次の指示を出してください。
 
 
大きな声を使うとしたら、怒るときではなく注意喚起のためです。危険な状況が迫っている時に一発使うと、ハッとして気づくときがあります。
 
 
気がついたら、大きな声を使う必要はありません。
 
 

◆ポイントその2 こまめに動く指示を与える

 
 
学習している最中に放っておくと、勉強の手がお休みになって、楽しいことに没頭してしまっている場合があります。
 
 
算数で解けない問題にあたったとき、近くにある漫画に手を出したら止まらなくなっていたとか、妄想にふけっていたとか。
 
 
そんなことにならないように、こまめに動く指示を与えておくことが大事です。例えば、「このプリントやりなさい」ではなく、
 
 
「1問やったら持ってきて」。これ、すごくオススメです!
 
 
1問やるごとに「あっ、見せに行かなくちゃ!」と頭を切り替えて、プリントを中断する。こうしてスイッチオフを練習できます。
 
 
ぼーっとしていると「あっ、2問やっちゃった!」ってなります。
 
 
いいんです。それが練習なんです。それが青春なんです(笑)。
 
 
プリントでなくても、洗濯物を1枚畳んだら合図を送るとか、お母さんが面倒臭くない程度にこまめにチェックするようにすると、子どもが自分でスイッチン・オフすることをトレーニングすることができます。
 
 

◆ポイントその3 タイマーをセットしておく

 
 
過集中がさほど目立たないお子さんなら、タイマーをセットするくらいでも十分に対応になります。
 
 
何か課題をしたり、遊んだりするときに、あらかじめ「15分間やろう」と決めて、15分のタイマーをセットしておきます。(時間はお子さんに合わせて調整してくださいね)
 
 
最初は大きな音をだすタイマーを使用して、自分で気づけるようになったら、少しずつタイマー音が小さいものに変えていくといいですね!最終的には、バイブレーションでスイッチオフができるようにしておけば、大人になったときにスマホを使って自分で対策できるようになります。
 
 
この対応のいいところは、お母さんの手を煩わせることなく、一人で取り組めること。切り替え上手になれば、将来、仕事についたときにも安心ですよ!
 
 
不注意シリーズ、まだまだ続きますよ。お楽しみに!
 
 
 
 
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執筆者:吉野加容子
(発達科学コミュニケーショントレーナー、学術博士、臨床発達心理士)
 
 
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