友達とうまくいかないように見える子の中には、集団に入らないことを好む子、集団が苦手で自ら距離を置く子、遊びたいのに関われない子がいます。その理由を見極め、発達障害・グレーゾーンの子を集団に入れようとする前の重要な準備についてお伝えします。 |
【目次】
1.「孤立しがちでも大丈夫」な理由を知って、ど〜んと構えましょう!〜〇〇が好きな子もいる〜
2.発達障害・グレーゾーンの子どもを集団や友達の輪に入れるときの鉄則ルール
1.「孤立しがちでも大丈夫」な理由を知って、ど〜んと構えましょう!〜〇〇が好きな子もいる〜
パステル(発達障害・グレーゾーン)の子どもたちの中に、友達づきあいを避けたいタイプのお子さんをよく見かけます。
前提として、パステル(グレーゾーン)の子どもたちは、同年代の子どもよりも、大人と付き合うことの方が得意です。
その傾向がより強いのが自閉症スペクトラム(ASD)タイプのお子さんです。大人といれば、要求を汲み取ってもらえるので子どもにとっては楽に過ごせる空間になります。
予想できないことが苦手で、自分の想定外のことをする「子ども」はASDタイプの子にとって天敵と言ってもいい存在。だから、同年齢の子どもたちの関わりは、どうしても少なくなりがちです。
あるいは、自閉傾向がはっきりしているタイプなら、もともと人への興味もまだ育っていないのでそもそもあまり他の子に関心を示さないこともあります。
園や学校に行っても、一人で遊んでいたり、集団から外れていたりする姿を見るとなんだかいたたまれない気持ちになりますよね。なんとなく胸が締め付けられるような、不憫(ふびん)なような、そういう想いがするかもしれません。
だからこそ、ついつい集団に入ってほしくて習いごとを始めたくなったり、友達と遊ぶように口うるさく言ってしまったり。
しかし、そう言っても、ずっと一人…。不安が強いタイプのお子さんはなおさらこの傾向が強くなるので、お母さんとしては心配になります。
でも、大丈夫!そもそも、友達づきあいを自分から避けて一人で遊んでいるお子さんの場合、人間関係が「苦手」なのではなくて、人間関係が「嫌い」だと捉えてください。
もちろん、苦手でもあるのですけれど、そもそも人と絡むのが好きではないのです。
だから自ら人と絡んでない。はじかれているというワケではなく、自ら距離をとっているという感じです。その方が落ち着くし、楽しいし、自分の好きな遊びに没頭できます。
それなのに、お母さんや先生に「こっちに来て、みんなと一緒に遊ぼう〜!」と言われてしまう。
大人は、良かれと思って言っているのですが、実はこういうタイプの子どもは、「…嫌なんだけど」というような感じです。
本人にとっては、「放っておいてほしいな〜」というポイントでもあるのです。
だから、お母さんは安心して、一人遊びを見守ってください!そして遊びの中身をあとで会話したり、次は何をするつもりか聞いてみたり、親子のコミュニケーションを少し取り入れるようにしてください。
では次に、子どもを集団に誘う際に、絶対にお母さんにしていただきたいことについてお伝えしていきます。
2.発達障害やグレーゾーンの子どもを集団や友だちの輪に入れるときの鉄則ルール
お友達と絡みたいのに上手に関われないお子さんも、たくさんいます。
お子さんの友達関係のトラブルは、あなたを悩ませる大きな課題かもしれません。今まで相談を受けてきた中でバッチリ対応できている!という自信を持っているお母さんはそう多くはありません。
将来のことを考えて、集団に入れて鍛えよう!と思うのが親心ですが、その対応がベストとは限りません。
例えば、本人が好んで一人で行動しているときに、集団に入れようとして「一緒に遊ぼうよ〜!」「楽しいよ〜!」 などと声をかける場面ってよくありますよね。
1回や2回の声かけでは動かない子どもも、何回か声をかけると輪の中に入る子もいます。お母さんや先生は、なんとなくホッとすると思うのですが、勝負はここからです!
お友達とトラブルなく遊べるか?
楽しくやりとりできるか?
ヒヤヒヤしながら見ていると、またお友達トラブル発生。
そんな経験もあるかもしれません。
この経験がどうなるか?と言うと、子どもの中で「あ〜やっぱり、人と遊ぶのは楽しくない!思い通りに行かない!」と感じさせてしまうことになります。
そうすると、ますます「お友達と遊ぶより、自分の遊びがやりたいな〜」と思ってしまいます。
それだけでなく、お母さんや先生の「お友達が遊びたいって言ってるよ」とか「楽しいから遊んでごらん」などの声かけが「嘘じゃん!」と感じられてしまいます。
これでは、さらに集団活動から遠のいて孤立を好む行動になっていきます。
ですから、ここからがポイント!!
子どもの嫌いなこと、苦手なことに挑戦させるときに大人が絶対に守らなくてはならないルールは、たった1つです!
それは、絶対に失敗させない準備をすること!
パステル(グレーゾーン)の子にとって「嫌い」ということは、単なる嫌いではありません。
脳が拒絶するほどにそのことに対して脳が働きにくい、という意味合いです。本人の気持ち次第とか、根性とか、やる気の問題ではありません。
そうなると、「自然に」上手になる、という確率は、あまり高くありません。つまり、失敗させないように十分な対策をして、その場面を成功させるための作戦が絶対に必要!なのです。
そうでないと、嫌いなことを無防備に体験させて、やっぱり失敗してしまい、もっと嫌いにさせてしまう。この悪循環に陥ってしまいます。
例えるとするならば、まだ泳げない子に、浮き輪も持たせずに海に入るように指示しているのと同じです!!
こんな無策な指示をだす人はいませんよね?しかし、これが日常生活になると、このように失敗体験をさせてしまう指示になっている例がたくさんあるのです。
そして、少しずつ少しずつ嫌いなものを、より嫌いにさせ、苦手なものを、より苦手にさせているという面があるのです。
だから、失敗させない策を練り、成功させる作戦を準備して、嫌いなことに誘うのです。
友達づきあいや集団活動も同じ。決して無策で集団に放り込まず、「今日はお友達とうまくできた!」という経験を積ませてあげたいですね。
・好きな活動を用意する
・活躍できる役割を与える
・興味を持たせる仕掛けをする
・肯定的な声かけをする
など、周りの大人が事前に準備しておけることはたくさんありますよ。
「みんなと遊ぼう!」と声をかける前に、ぜひ事前準備をしてあげてくださいね!
発達障害・グレーゾーンの子とのコミュニケーション方法、発信中!
執筆者:吉野加容子
(発達科学コミュニケーショントレーナー学術博士、臨床発達心理士)
(発達科学コミュニケーショントレーナー学術博士、臨床発達心理士)