ママがいないと教室に入れない発達障害の子どもが、1人で教室で過ごせるようになる方法

 

楽しく学校生活を送っているなぁと思っていても、発達障害の子どもには教室が安心して過ごせる場所ではないことがあります。 息子の教室に入れない不安が自信に変わった方法をお伝えします。
 

【目次】

 
 

1.お母さんがいないと教室に入れない

 
 
私の息子は、小学1年生の2学期から教室に入れなくなりました。 主に「先生が怖い」という理由です。
 
 
最初は笑顔で発言も多く、授業に積極的に参加をしていたので、息子が学校に不安を感じていたことに気が付くのに時間がかかりました。
 
 
4月途中から登校渋りが始まり、週1休みから、週3休みと休みが多くなり、同時に宿題などにも意欲がなくなっていきました。
 
 
休みが増えて息子を心配しながらも、きっと大丈夫と思っていたことを覚えています。
 
 
入学前も息子の特性を学校に相談し、入学後も困りごとがあると相談やお願いごとをしていたからです。
 
 
状況は変わらず、9月に「先生が怖い=学校不安」が発覚したことで、私が送迎をする別室登校がはじまりました。
 
 
1週間ほどして、別室にも途中から行けなくなりました。
 
 
 
 
別室には色々なタイプの生徒がいます。多くは静かな場所で集中したい生徒でした。
 
 
息子は静かで集中できる場所は好きですが、大きな独り言が多く、声を出していた方がストレスが低いです。
 
 
声を出すことなどを上級生に注意され、別室登校にも自信をなくしていきました。
 
 
私は、別室登校を嫌がったことはチャンスだと思いました。その頃の息子は、教室の不安が薄れているように感じたからです。
 
 
「ママと一緒なら教室に入れる」という発言もしていました。
 
 
学校と相談をし11月から付き添い授業が始まりました。
 
 
登校できる日は、受ける授業を決めて一緒に登校をし、一緒に授業を受けて一緒に下校をする日が続きました。
 
 
こうして教室で過ごすことができるようになりましたが、1か月程経ったとき、私の疲労は限界に!
 
 
「このまま私がいないと学校にいられなくなったらどうしよう…」と不安も出てきました。
 
 
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2.発達障害の学校に対する不安は蓄積される!

 
 
息子は自閉症スペクトラム症(ASD)と注意欠陥多動性障害(ADHD)です。
 
 
特にASDの特性が強いので 「先生が怖い」「1人が不安」ということが出やすい状態でした。
 
 
息子が怖い、不安となった原因は2つです。
 
 

◆触覚過敏

 
 
ASDの8割程度が過敏に感じています。触覚過敏というと肌が触れることをイメージしやすいのですが、人との距離感も関係してきます。
 
 
例えば、私たちも苦手な人がいることが分かると、なるべく近づかないようにすることはありませんか?
 
 
過敏がない方が良さそうに感じますが、自分を守るために過敏さが発動しています。
 
 
息子の場合 、入学後に数日続けて「先生に怒られた」と落ち込んでくることがありました。
 
 
先生は怒っているつもりはないのですが、背の高さ、表情、言葉の抑揚などで、指示を怒られていると感じやすいことがあります。
 
 
また、別の生徒が注意をされていると「次は自分が怒られるかもしれない」「怒られたくない」と神経質になっていたことを覚えています。
 
 
息子が過敏になっていたのは先生に対してだけではなく、友達にもありました。
 
 
・自分のペースで休み時間を過ごしたくても、色んな生徒が一度に話しかけてくる。
 
・自分のやりたい遊びには賛同してもらえない。
 
 
コミュニケーションの取り方が、息子には難しかったのです。
 
 
幼稚園のときには、上手くいかなくても先生の配慮があり何とかなっていたことでも、小学生では1人でやらなければなりません。
 
 
助けを求められる場所が極端に少なかったことも、息子には居場所がない苦痛な場所になっていました。
 
 
 
 

◆聴覚過敏

 
 
もともと聴覚過敏は少ないのですが、1人で不安が強い場所であることから、聴覚の過敏さも強くなってきました。
 
 
・休み時間に一斉に全学年の生徒の話し声が聞こえる
 
・自分の机周りに生徒が集まり、息子以外の生徒で会話が弾んでいる
 
・合わさっていないピアニカの音が一度に聞こえる
 
この3つが特につらかったそうです。

 
「他で話して」などと言えればラクなのですが、仲が悪くなることを恐れて言えず、一人折り紙に集中して切り抜けていました。
 
 
またピアニカに関しては、他の生徒のピアニカで自分の音が聞こえなくなることを嫌がっていました。
 
 
ピアニカをやりたくないのではなく、他の音が原因でできないのです。
 
 
私が授業を一緒に受けていたときは、廊下に出て片耳を塞ぎながら参加していました。
 
 
ASDはネガティブな気持ちを引きずりやすい特徴があります。
 
 
触覚、聴覚の感覚の過敏さ、学校に信頼できる人がいないという不安や恐怖から、息子は孤独を感じやすくなっていました。
 
 
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3.学校との連携で「付き添い授業」を卒業する

 
 
付き添い授業をはじめたころ、息子に学校で自信をつけていくことも同時に始めました。
 
 

◆①先生と会話ができるようにする

 
 
先生に近寄ることもできなくなっていたので、話すことは当然できません。
 
 
1人で学校で過ごすためには、私がいなくても安心できる環境に整えておく必要があります。
 
 
話さなくても問題解決ができるように、カードを作りました。
 
 
「帰ります」「帰りたいです。保健室で迎えを待ちます」「別室にいきたいです」など、学校で必要になりそうな内容を書いたカードです。
 
 
息子の希望の形、希望の色で作りました。最初は、カードを持って一緒に先生のところへ行きました。
 
 
どうしても話しをすることが必要なときは私がサポートをし、先生も聞く姿勢で急かさずに待ってくださったり、意図を汲み取ってくださいました。
 
 
また、私以外に安心できる存在があることが息子の支えになると考えた私は、クラスの友人を頼ることにしました。
 
 
幸いなことに、息子の周りには困ったときに助けてくれる友人が何人かいました。
 
 
息子と相談をし、困ったときには友人と一緒に先生のところに行くことを決めました。もちろん、友人にも助けてほしいことを伝えておきました。
 
 
カードも友人の存在も、毎日のお守りになりました。
 
 
最初は、息子は私の後ろに隠れて先生と無言の関わりをしていました。
 
 
何回か一緒にカードを出しに行くようになると、一言二言と会話ができるようになりました。
 
 
そのうちに、私がいなくても友人と一緒に先生のもとに行ったり、1人で先生のところに行けるようになっていきました。
 
 
少しずつクラスにも慣れ、先生に対しても本当に少しですが安心感も感じ取れるようになったので、次のスレージに移ることに決めました。
 
 
 
 

◆②付き添い授業をやめる

 
 
冬休み中に、年明け1月からは付き添い授業はしないことを息子に伝え、送迎もしくは送るだけにシフトしていきました。
 
 
登校できる日は2択にしていました。
 
 
・安心できるまで授業に付き添ったあと、続けて1人で授業を受ける
 
・1人で受ける授業を予め決めて、送迎をするだけで付き添いはしない
 
 
最初は1人で過ごすことを息子は心配そうでした。
 
 
「先生にカードが出たら電話してもらうように話してあるからね」と話し、いつでも迎えに行ける準備をしていました。
 
 

◆③朝から友人と登校

 
 
1人で学校で過ごす時間を振り返ったとき、息子の場合は4時間は授業を受けることができるようになっていました。
 
 
給食提供が終わり、終業式までの間は毎日4時間授業だったので、友人と登校することを息子に提案してみると、すんなりOK!
 
 
終業式までの1週間を、私の付き添いや送迎なく友人と通って帰ってくることができました。
 
 
「安心できる人=お母さん」ではなく、別の人に安心感を得られるようにと考えた方法です。
 
 
息子は、2年生になった今も友人と朝から通っています。
 
 
「カードがないと行けない!」と言っていたカードは、カバンに入ったままで出番はありません。
 
 
2年生になっても不安や「先生が怖い」はありますが、息子が安心できるように学校と連携を続けています。
 
 
登校渋りや不登校から復帰するためにした方法の一部です。
 
 
我が家の場合は、学校と家庭のゴールが一緒だったことが上手くいった理由だったと考えています。
 
 
お子さんに合った連携方法で、安心した学校生活を送れるようになることを祈っています。
 
 
 
 
学校の連携以外に家庭でできるコミュニケーションもあります。

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執筆者:渡辺 ひろみ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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