就学前は普通級(普通学級)しか考えていなかったけれど、いざ学校生活がスタートしたら色々な問題が見えてくるケースもあります。現在発達科学コミュニケーションを学んでおり、実際に一連の流れを経験したママに、お話を伺いました。 |
【目次】
1.「入学準備」を何もしないで過した年長時期
2.普通級での問題は、相談&連絡で先生と密に連絡をとってしっかりサポート
3.発達障害・グレーゾーンの子どもにとっては安心、親にとってはありがたいのが「通級」
4.親が先生との信頼関係を築くことが、発達の遅れが気になる子どもの学校生活を支えるカギ
1.「入学準備」を何もしないで過した年長時期
今回は、発達科学コミュ二ケーションを習得中のママ、Y.Kさんにお話を伺いました。
Y.Kさんの息子さんは、小学校1年生の3学期から2年生まで通級に通っていらっしゃいました。
入学後、授業での読み書きの遅れが気になり、途中から通級に入れることを選択されました。
実際に、通級に入るまでの経緯や、入ってからの感想などをお聞きしました。
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――小学校入学前に就学相談は受けましたか?
「受けていません。就学相談のことは、入学前は全く考えていませんでした。
読み書きができないことが少し気になっていましたが、特別なサポートを受けるほどではないと思っていました。」
――就学相談を受けるかどうか迷っている方も多いと思います。どんな人が受けたほうがいい、と思いますか?
「当時私は、支援の必要性を感じていなかったので就学相談を受けなかったのですが、入学前に、通級などを考えているのであれば、気になるところを相談されるのがいいと思います。」
――読み書きができないことが気になっていた、ということでしたが、おうちでフォローはしていましたか?
「もともと読み書きをほぼやらない幼稚園だったので、できないことは気になっていましたが、家で特別何かする、ということはありませんでした。
小学校にあがれば自然とできるようになる、ということを他のお母さんからも聞いていましたし、無理にやらせて嫌いになるよりは、入学後ゼロの状態からスタートしたほうがいいかな、と思っていました。」
――1年生になる前に意識して準備されていたことはありますか?
「学校まで一緒に歩いて行ってみたりして、『歩くこと』には慣らしていました。他はとくに何もしていません。」
2.普通級での問題は、相談&連絡で先生と密に連絡をとってしっかりサポート
――それでは、次に入学してからのお子さんの様子について聞かせてください。息子さんは、うまく学校生活に慣れていけましたか?
「もともと不安が強く、親と離れることに抵抗のある子でしたので、結構泣いていました。
集団登校で、家からすぐ近くのところに待ち合わせ場所があるのですが、毎日私がついていきました。
ただ、学校までついて行くことはなかったです。行ってしまえば、泣くこともなく、どうにかなっていたようです。」
――通級に入れようと決めたのはいつ頃ですか?また、決めた理由を教えてください。
「読み書きが苦手なまま授業が始まったのですが、すでに入学の時点でできている子が多かったです。うちの子は、もともとできないうえに、覚えるのに時間がかかっていました。
読めないと、すべての教科に影響を及ぼしてしまうんですよね。
本人から『困っている』と言われたわけではないのですが、明らかに見ていて、読めていないな、というのがありました。
最初の授業参観のときも、『たぶん、この子ついていけてないな』というのが親的に気になりました。
もともと通級のことは知っていたので、先生にチラッとご相談をしたんです。先生のご意見としては、1年生の最初なので様子をみませんか、ということでした。
信頼できる先生だったので、1学期は様子をみることにしました。
ただ、どうしてもみんなについていけている感じがしなかったので、2学期に入って、いよいよ考えたほうがよいと思い、先生に再度相談をしました。
私は通級のことを先生に投げかけて返答を待っていたのですが、先生から一向に連絡がこず…。連絡がこないな~と思っているうちに2学期が終わってしまいました。
ある時に、先生から『通級どうでしょうか?』と言われ、私はずっと先生の返答を待っていたのですが…という感じだったのですが(笑)、そこで1回試してみることになりました。
なんだかんだいって3学期入ってからのお試しになりました。
そこで、通級に入ったほうがいいね、ということになり、書類などを早急に準備して3学期の最後に入りました。
本当は2学期くらいから入れればよかったのですが、私が先生に遠慮してしまい、意思疎通がうまくできず、結果的に3学期末からのスタートになりました。」
――先生に通級のことを投げかけてから、なかなか話が進まない状態だったとのことですが、困り事があったときには先生に相談していたのでしょうか?
「先生とのやりとりが全くなかったわけではなく、もともと泣くことが多かったのと、勉強面での心配があったので、連絡帳やお電話でこまめに連絡を取り合っていました。
通級に行くまでの間、子どものことをすごく気にかけてくださり、先生に対する安心感がありました。」
3.子どもにとっては安心、親にとってはありがたいのが「通級」
――どのくらいのペースで通級を利用していましたか?
「1週間に2回、2時間です。曜日が決められていました。
基本的に国語、算数の時間に行っていて、体育・図工などの子どもが好きな教科のときは抜けないように、担任の先生と通級の先生で予定を考えてくださいました。
うちの場合は、自校に通級があるので、通う時間だけ授業を抜ければよい環境でした。」
――授業を抜けてくることで、遅れてしまうということはありませんか?
「担任の先生と通級の先生が、かなり密にやり取りをしてくださっていたので、その心配はありませんでした。
全体でやったら、ついていくのが難しいだろう、というところを通級でやっていただいきました。」
――お子さんは通級に行くことをどう思っていましたか?
「楽しみでしかたがない、という感じではありませんでしたが、嫌がったりはしませんでした。淡々と行っている感じでしたね(笑)」
――1年生の3学期から通われて、お子さんに変化はありましたか?
「週2時間ということもあり、目に見えてすごくできるようになった、ということはありませんでした。
ただ、生活面の指導や、うちの子に合った勉強法を個別に考えてくださったので、親としてはすごくありがたかったです。」
――親が通級の先生に相談できる機会はあるのでしょうか?
「基本はファイルでのやりとりでした。通級の先生が授業内容や子どもの様子を紙に書いて、担任の先生が確認して、それを子どもが家に持ち帰る、という流れで連絡を取り合っていました。
相談事があれば、そこに書くと、お返事が記入されて戻ってきました。
実際に先生にお会いするのは、学期に1回ですね。本人には内緒の授業参観があるのですが、その後に個別面談があり、夫婦で参加してお話をする機会がありました。
あとは、基本は何かあれば、担任の先生にご相談していました。そこから、通級の先生に情報がいく感じでした。」
――通級を利用することのメリット、デメリットがあったら教えてください。
「メリットは、個別で学習できることで、本人の安心につながったことです。子どもにあった学習法や、集団生活をする上で必要なことを指導してもらえました。
デメリットでは特にないですが、週2時間では少ないと思いました。」
――通級の回数は何回ぐらいが理想だと思いますか?
「1日1時間あるといいな、と思います。子どもが受け入れるかわかりませんが、学習のことを考えると、親としてはこのくらいほしいです。」
――通級に通うことで、普通級でメリットになっている点はありますか?
「通級に行くことで、自分の苦手な科目を落ち着いて取り組むことができて、普通級に行ってからも安心して授業を受けられていました。学習面での安心感が一番です。」
――小学校1年生になってから通級を考えたいと思ったら、いつどんなタイミングで先生に相談するのが理想だと思いますか?
「特に時期に関係なく、気になった時点で、ご相談されるのがよいと思います。遠慮はしないほうがいいです。
少しでも心配なことがあれば、そのままにしておかず、担任の先生に連絡してみることです。」
4.親が先生との信頼関係を築くことが、発達の遅れが気になる子どもの学校生活を支えるカギ
――小学3年生になった今、入学当時と比べておうちでの対応に変化はありましたか?
「1年生に入ったときは周りと比べてしまうところがあり、ついていかせるにはどうしたらいいのか、と考えていましたが、成長するにつれて、それは違うな、ということに気づきました。
今は、発達科学コミュニケーションを学んでいることもあり、無理に勉強させるのではなく、一緒に考えてみたり、できていることを褒めるようにしています。子どもが、いかにストレスなく気持ちよく過ごせるかを考えています。
学校で相当がんばってきていると思うので、家に帰ってきたときはのんびりさせてあげたいと思っています。」
――最後に、来年小学1年生になるお母さんにアドバイスしたいことはありますか?
「心配事などがある時は、小さなことでも遠慮なく先生に伝えて大丈夫です!先生と密に連絡しあい、信頼関係を築いておくことはメリットしかないです。
もちろん、こちらの要望だけではなく、家庭での様子を伝えたりすることも大事です。普段から関係を良くしておくと、何かあったときは情報をいただけますよ。」
―ありがとうございました!
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Y.Kさんは、入学直後からお子さんの学習面に不安を抱きましたが、実際に通級に入ったのは3学期末です。
通級に入るまでの長い期間、大きなトラブルがなかったのは、Y.Kさんが先生とこまめに連絡を取り合い、信頼関係を築いていたからです。
少しでも不安なことは、連絡帳や電話でお伝えし、先生からも学校での様子を聞いくことで、お子さんをサポートしていました。
Y.Kさんが、反省点としてあげていたのが、しっかりと連絡を取り合っている中でも、「遠慮」が出てしまい、通級に入るのが遅くなってしまったことです。
「子どものことに関しては、遠慮なんていりません!」と、強くおっしゃっていました。
聞きにくいことや相談しにくいことは、ついそのままにしてしまいがちですが、子どもの学校生活に関わってくることは、遠慮はなし!
不安なことは、きちんと先生と話しあい、クリアにしていくことが大切ですね。
子どもの発達に不安があるのであれば、就学後に先生との連携は不可欠です。
今からできる準備として、お母さんがお子さんの様子を伝える「コミュニケーションブック」を記入してみることをおすすめします。
入学までに、しっかりと記入して、先生に渡せるようにしておきましょう。
就学してすぐは、先生もお子さんのことを把握しきれないでしょうから、情報をもらえることとで、サポートしやすくなるはずです!
コミュニケーションブックは、下記から無料でダウンロードできます!ご活用ください。
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執筆者:須藤ゆかり
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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