発達障害を持つ子どもたちの半数以上が、なんらかの「偏食」を持っていると言われています。単なる好き嫌いだと思われがちですが、その原因が特性にあることもあります。発達障害の子の偏食の原因とママも楽になる意外な偏食の治し方をご紹介します。
【目次】
1.子どもの偏食に気づいていませんでした
2.発達障害を持つ子どもに偏食が多いのはなぜ?
◆感覚特性(感覚過敏)がある
◆こだわり特性がある
3.意外な偏食の治し方〜お家で簡単3つの対応〜
①いろいろ食べさせようとしない
②子どもの話をきく(よく観察する)
③スモールステップで褒める
1.子どもの偏食に気づいていませんでした
私には現在、小4と中1の男の子がいます。
小さい頃から卵もきのこも海藻も食べない…兄弟揃って、偏食です。特に次男は極度の偏食で食べられるものを数えた方が早いというような状態でした。
・炊き込みご飯はダメ、白いご飯しか食べない。
・焼きそばは決まったメーカーの麺しか食べない。
・ラーメンは麺のみ。小さなネギが入っていてもダメ。
4〜5歳の頃の次男は大好きなきゅうりを輪切りにして白いところだけ食べる。ひと月もするとその切り方が嫌だといって食べない。
「この味は嫌い」「これは苦い」などとといった細かい注文が多く、私はこの子どもたちの反応が脳の特性からくる偏食とは気づかず、単なる好き嫌いだと思っていたんです。
うちの子どもは手がかかるけど、極端な好き嫌いも成長とともに緩和されるかな?と期待しつつ
「苦手なものは克服しないと!」
「他の子どものように好き嫌いなく食べてほしい!」
という思いから調理法や味付けを工夫したりしてあれこれ試していましたが、ほとんどその努力が報われることはありませんでした。
2.発達障害を持つ子どもに偏食が多いのはなぜ?
特定のものだけを食べる、特定のものを一切食べないことを「偏食」といい、発達障害を持つ子どもたちの半数以上がなんらかの「偏食」を持っているといわれています。
発達障害の子どもが偏食をするのは特別なことではなく特性のひとつなんです。
では、なぜ発達障害の子どもに偏食が起こるのでしょうか?
◆感覚特性(感覚過敏)がある
発達障害がある子どもの場合、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)の感じ方に大きな偏りが見られることがあります。
このような感覚の偏りは、特定の感覚・刺激を過剰に受け取る「感覚過敏」と、逆に感覚・刺激に対する反応が鈍くなる「感覚鈍麻」に分けられます。
「感覚過敏」として見られる症状の中の「味覚過敏」や「嗅覚過敏」・「触覚過敏」が偏食につながる場合があります。
例えば
・コロッケなど揚げ物の衣を痛いと感じる
・物を噛む音や感触が不快で食べられない
・特定の食べ物の匂いが苦手で食べられない
など原因になるものは様々です。
◆こだわり特性がある
「こだわり特性」がある場合には、特定の味や食感のものしか食べない(もしくは特定のものを食べない)場合があったり
今ある知識や過去の一度の経験によって「すべてそうである」と思い込んでしまうなどの傾向があると言われています。
例えば
・同じ食品ばかりを食べ続ける
・特定のメーカーが好きでメーカーが変わると食べない
・過去の苦い経験からその後一切同じ食品を口にしない
など、発達障害の脳の特性により嫌な記憶を思い返しやすい傾向があるためネガティブなイメージの紐づけがされやすくなっていたり、また、食事のマイルールを譲れないケースもあります。
次項では我が家で実践し効果のあった簡単な「偏食の治し方」をご紹介します。
3.意外な偏食の治し方〜お家で簡単3つの対応〜
無理に苦手なものを食べさせたり、食べないことを叱ったりすることは逆効果。
「食事」をすること自体が嫌いになってしまったり、脳の特性によって嫌な記憶が鮮明に残りやすい傾向があるため、さらにこだわりを悪化させかねません。
では、家庭でできる発達障害で偏食の子へのサポートとは?
◆①いろいろ食べさせようとしない
まずはママ(大人)が「好き嫌いなく食べるべき!」「偏食はわがまま!」という考えを捨てることです。
感覚が過敏なお子さんたちは食べようとしても食べられないのです。栄養面でよほどの偏りが心配でなければ、まずは好きなものを食べさせてみてください。
我が家では朝食も夕食もワンパターン!子どもたちが食べることができる数種類のメニューで献立を立てています。
さらに子ども達に食べたいメニューを選んでもらえば食べることへのハードルも下がって食べてくれる確率が高くなります。
私がマインドを変えることで、毎日、食事の度に「また食べてくれない…。」と悩んでいた日々が嘘のように私の気持ちが楽になりました!
◆②子どもの話を聞く(よく観察する)
偏食の原因は何なのか?を見極める事が必要です。
偏食の原因は人それぞれ、お子さんの偏食がどんな苦手さからきているのかを見つけられるのはいつも一緒にいるお母さんだからこそできることですよ。
なぜ?という気持ちで子どもをよく観察していると「もしかしたら?」という気づきがあるはずです。
お子さんに具体的に嫌なところを聞いて改善していくのもいいですね。
子どものこだわりは様々。調理法や具材の切り方、大きさ、味付けなど工夫次第で食べられるものが増えていきますよ。
くれぐれもお子さんと話す時はお子さんに寄り添う気持ちで接してくださいね。
「なんで食べないの!」「どこが嫌なの?!」などの声かけはNGです。笑顔で、優しく、ゆっくりお子さんの気持ちを聞いてあげてくださいね。
◆③スモールステップで褒める
偏食の子どもたちは食事の時間が苦痛と感じている子が少なくありません。食事の時間は楽しく!今できていることに注目して言葉がけをしていく事が大事です。
「小さなできた」を認めてもらえることこそが子どもの自信につながり、苦手な食べ物にも挑戦する気持ちが芽生えます。
具体的には
・食事の時間に座って食べ始めたことを褒める
・好きなものを食べていることを褒める
・食べられなくても、苦手なものに挑戦したことを褒める
・一口でも食べられたことを褒める
このように、できていて当たり前のことでも見つけて褒める。できなくても挑戦したこと、頑張ったことを褒めてあげてください。
偏食はすぐに良くなる!といったものでもありません。うまくいかない日があってもママも落ち込む必要はありません。
いろいろな方法を試してお子さんにあった対応を見つけていってくださいね。
「〇〇みたいにしてくれたらいいのにな。」
「ママの〇〇は最高だね!」
「いつもと違うけど〇〇も美味しいね」
などと我が家の息子も少しずつ食べられるものが増え、今までは食事の時間が苦痛でしたが、何より家族との食事の時間が楽しくなりました。
こちらでは偏食があるお子さんによくある「給食問題」お伝えしています
偏食のお子さんの困りごとへの対応を多数配信しています!
執筆者:嘉山葉子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)