園や学校で友達と遊ばず、いつも一人で過ごしている発達障害・ADHDのお子さんはいませんか。友達がいないのかな?と心配なお母さんも多いと思います。今回は友達と仲良くできるようになった息子の秘話から、お家でできるコミュニケーションをお伝えします。
【目次】
1.友達がいない…1人でいる我が子が不安
2.発達障害・ADHDの子どもが友達と遊ばない理由
①多動・衝動的によるトラブル
②不注意によるトラブル
3.友達はたくさん必要なのか?一人でも楽しんでいるならいいんじゃない!?
4.お家でできるコミュニケーション3選
①大人と会話をたっぷりして経験を増やす
②家族との会話で自分や相手の気持ちの理解
③好きなことで友達を増やす
1.友達がいない…1人でいる我が子が不安
幼稚園に入園して集団生活がスタートすると、人と関わることがうまくできるかな?友達と一緒に遊べるかな?集団で行動ができるかな?と心配になりますよね。
発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)の我が子は、幼稚園の頃から同年齢の子ども達と遊ぶよりも一人で遊ぶことを好んでいました。
小学生になっても一人遊びは続いているようで、息子に「昼休みは何をしているの?」と聞くと「一人でブラブラ校内を歩いている」と言っていました。
他の子は休み時間や昼休み時間になると、友達やグループで行動しているのに、息子はグループに入ることはなく一人でいる…「浮いているのかな?」と感じていました。
けれど、本人はまったく気にしていない様子。
一方で、先生や大人と関わることは好んでいました。
幼稚園ではしょっちゅう職員室に行って先生と会話を楽しんでいました。
また、近所のおじさんと話をしたり、父親の友達を仲良く会話をしていました。
親からすると「どうして同年代の子とは遊ばないの?」「友達と遊んだほうがいいんじゃやない?」「みんなと仲良くできるほうがいいよね?」と思っていました。
2.発達障害・ADHDの子どもが友達と遊ばない理由
発達障害・ADHDの子どもが友達と遊ばない理由があります。
◆①衝動性・多動性によるトラブル
友達と遊ぶのが嫌ではないし、友達と関わろうとしているけれど、特性からうまくいかないことがあります。
息子の場合は、友達と遊んでいても、衝動的に友達の体操服にペンで書いてしまうトラブルがありました。
また、追いかけっこをしても衝動的に気になることがあると途中でどこかに行ってしまい、気が向いたら戻ってきていました。
友達と一緒に遊ぼうとするけれど、多動のために動きが早く、みんながついていけなってしまいます。三輪車で競争しても、とてつもなく早く走り回るので、他の子がついていけなくなります。
衝動性や多動性のために自分のペースで遊んでしまい、その結果、友達が息子とはペースが合わないと感じて一緒に遊ばなくなってしまいます。
◆②不注意によるトラブル
不注意のために、友達とトラブルにもなりがちでした。
工作などで共同で使うものが、友達のもの・自分のものという区別がつかず、友達が持っているものを何も思わず黙って取って行ってしまいます。
息子は悪気はないのですが、友達は「どうして勝手に取って行くの?」と悲しんでいたようです。
このように、特性から友達と遊ぶ機会が減ったり、友達から距離を置かれることがあります。
3.友達はたくさん必要なのか?一人でも楽しんでいるならいいんじゃない!?
「いちねんせいになったら」の歌に♪友達100人できるかな♪という歌詞がありますね。友達はやっぱりたくさんいるほうがいいのでしょうか?
息子を見ていると、本人は一人でいても居心地が悪いと思っていないし、人が嫌いというわけではないので「一人でもいいんじゃない」と思うようにしました。
・一人で行動できるということは行動力がある
・一人で好きなことができていて凄い
・周りに惑わされずに自由な発想ができる
このように一人でいることも長所と捉えることができます。
とはいえ、学校にいる時間は長いし、友達との関わりの中で得られることは多くあります。この先ずっと対人関係は続いていきます。
お母さんがうまく友達と関わるための手助けができらいいですよね。
4.お家でできるコミュニケーション3選
友達や人のことは好きな息子に、うまく対人関係を築けるために取り組んだことをご紹介します。
◆①大人と会話をたっぷりして経験を増やす
息子は人への関心はあり、よくしゃべる子です。
しゃべることは得意なのでそこを伸ばしながら、人との関わり方を学んでいきました。
無理に子ども達の中へ入れることは粗治療となり効果がありませんので、今よく話をしている大人としっかり関わり、会話や経験を増やしていきました。
父親の友達と好きな車の話をよくしていたので、一緒に楽しい会話をたっぷりさせました。
身近な大人との会話や関係をつくりながら、人と安心して関わる経験、うまく関わる経験を続けていきました。
◆②家族との会話で自分や相手の気持ちの理解
【自分の気持ち】の理解のために、「今日はどんなことが楽しかった?」と会話をしていきました。
「○○が楽しかったんだね」「面白いんだね」と言語化し、自分の感情を感じ取れるように声掛けをしました。
自分の好きなことや得意なことがわかるようになり、自分の感じている気持ちがわかるようになってきました。
会話の中で、友達と少しでも関わりを持てていたら、「○○くんと遊んで楽しかったね」「○○ちゃんと遊だんだね、いいね!」と友達と遊ぶことの楽しさも言葉にして伝えました。
【人の気持ち】の理解のために、きょうだいみんなにも「今日楽しかったこと何?」と同じ質問をして一緒に聞くことで、人が好きなことにも興味を持てるようになりました。
きょうだい喧嘩の時には、「泣いている妹はどう思っているかな?」と人の気持ちを想像させるようにしました。
会話のポイントとして、ゆっくり会話をすることを意識しました。
早口な息子のペースでポンポン話をせずに、お互いに話の内容を理解できるように「〇〇ということかな」と会話をまとめながら、ゆっくりと会話をしました。
小学2年生くらいになると、息子の独特な感性が面白かったのか、一人で遊んでいる息子に「〇〇くんは楽しいことをしている、付いて行くと面白いことがある」と友達が集まってくるようになりました。
次第にサッカーをしたりと友達と遊ぶ時間が増えました。息子のこだわりや自由なところを認めて大事にしてあげてよかったと思います。
◆③好きなことで友達を増やす
息子は好きなことを軸に、人の付き合いの世界を広げていきました。好きなことを通して友達を見つけて遊ぶようになりました。
<サッカー>みんなと遊べるようになりました。
↓
<自転車>自転車で遊ぶ友達を見つけて、その子と遊ぶようになりました。
↓
<魚>その子が魚を飼っていると、息子も魚に興味を持ち、魚を飼っている友達ができました。
↓
<釣り>魚に興味を持つことで、友達と一緒に釣りに行くようになりました。
今では特に気の合う1学年上の仲良しの友達(釣り仲間)ができ、その子と毎日遊んでいます。
「友達は多い方がいい」「友達と仲良くしましょう」というのがこれまで当たり前と思っていました。そのため、自分の子どもが一人で遊んでいたり、集団から孤立していると不安になってしまいます。
この当たり前は一旦保留しても大丈夫です。
大事なことはコミュニケーションの土台を作っていく事です。コミュニケーションの土台は家庭で作れます。
子どもが外でうまく過ごせる「きっかけ作り」のために、家庭でのコミュニケーションのを大事にしてくださいね。
発達障害・ADHDの友達関係で悩んだら、こちらに解決を多数ご紹介しています
執筆者:石井花保里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)