「どうしてぼくはこんなにつらい人生なの?」––小4にして生きづらさがピークに達し、二年間の不登校を経験した息子。ギフテッド・発達凸凹であるがゆえの苦悩と、小6の現在、笑顔で学校に通えている理由をお伝えします。
【目次】
1.小4で不登校になった息子
2.ギフテッド・発達凸凹の苦悩
3.大切なのは親子ともに安心できるサポート体制
1.小4で不登校になった息子
賢いはずなのに、まわりのペースについていけず、集団生活が何だかつらそう。
ギフテッド(一般にIQ130以上が相当します)のお子さんについて、そんなふうに感じているお母さんはいませんか?
実は、私もその一人でした。
私の息子はひとりっ子で、現在小学6年生。
小4から小5にかけての二年間、不登校と五月雨登校を経験しました。
幼稚園の年中の頃から、生活面での「こだわり」や「激しさ」、「ペースの遅さ」といった困りごとが目立つようになってきてはいましたが、小3までは学校でも特に問題はなく、楽しく通えている印象でした。
担任の先生方からも、「積極的に授業に取り組んでいる」、「活発な発言がクラスの刺激になっている」といったポジティブな評価をいただいていたので、親としても特に心配はしていなかったのです。
けれど小4の春を迎えた頃、毎朝のように支度に手間取って激しいかんしゃくを起こすようになり、その結果遅刻が増えていき…4月の下旬には完全に不登校の状態になりました。
「本当は学校に行きたいんだよ。でも行くと、ちょっと教室にいるだけですごくすごく疲れちゃうんだ」
「教室にいる自分の姿を想像しただけで、涙が出てくる…」
不登校の原因は、まさに千差万別です。
その子によって一人一人違いますし、複雑な要因が絡み合っているものなので、単純に「これ!」と断定することはできません。
けれど少なくとも息子の場合は、ギフテッドであり、発達の凸凹が激しいことがかなり影響していたのではないかと思います。
その特性について、このあと詳しくお伝えしていきますね。
2.ギフテッド・発達凸凹の苦悩
6才で自治体の発達支援センターでWISC-4(ウェクスラー式児童知能検査)を受けたことがあり、息子には極度の発達凸凹があることはわかっていました。
具体的には、WISC-4でわかる4つの指標のうち、測りきれないほど高い「言語理解」の数値に対し、「処理速度」の数値が極端に低い、というものでした。
「言語理解」とは、言語を用いたコミュニケーションや推論などに必要な力を示す値。
一方、「処理速度」とは、合図を見極めて素早く反応し、物事を正確に処理する能力を示す値です。
一般に、数値の高低の差が15以上あると日常生活に支障が出ると言われていますが、息子の場合は大幅にその値を超えていました。
頭では重々わかっているのに、行動がなかなかついてこないもどかしさ、不全感。
特に幼少の頃、ギフテッドは得意な能力で不得意な部分をカバーできてしまうため、その困り感が外からはわかりにくい傾向があります。
けれど、学年が上がるにつれ、不得意な能力の発達の遅れが顕著になってしまい、生きづらさを強く感じるようになったのでしょう。
「どうしてぼくはこんなにつらい人生なの?」
不登校中、昼間はちょっとしたことでかんしゃくを起こし、叫んだり暴れまわったりしている反面、夜になると不安が強くなるのか、さめざめと泣きながら訴えかけてくる息子。
母親の私にも簡単には言葉が見つからず、「つらいんだね…、大変だね…」と、ただただ抱きしめることしかできませんでした。
息子のように得意と不得意の差が極端、特に「言語理解が凸、処理速度が凹」の特性を持つ子どもは、学校生活(集団活動)がつらくなりやすいと言われています。
そして、ギフテッド特有の完璧主義、理想の高さ、感情の激しさ。
「人より遅い、できないっていうことがすごくよくわかっちゃうから、余計つらいんだよ」
最近の息子の言葉からも、その苦悩がありありと伝わってきます。
3.大切なのは親子ともに安心できるサポート体制
ギフテッドの場合、得意な能力が突出しているだけにどうしても発達凸凹になりやすいこと、そして感覚が鋭いために生きづらさも強く感じやすいことを、近くにいる親たちが十分理解する必要があります。
とは言え、親だけでできることには限りがありますし、良かれと思ってした対応が改善に結びつかないことだってありますよね。
家族や仲の良いママ友に相談することも一時的な助けにはなるかもしれませんが、発達の特性の分野となると、素人にはまったく手に負えません。
そこでおすすめしたいのが、「専門家の方たちにヘルプを求める」ことです!
決して「自分だけでなんとかしなければ!」と、一人で抱え込まないこと。
まずはお母さんが、「自分は本当に困ってるんだ」と素直に認める。
そして、なるべく早くプロ(専門家)の方たちに助けを求めることが大切です。
私の場合は、まず「発達科学コミュニケーション」の個別相談と講義を受け、かんしゃくのひどい息子への適切な接し方を学びました。
小児心療内科での初診を待つ数ヶ月の間、おうちで毎日できる対応の方法がわかったことで、親子ともにだいぶ落ち着いてきたのを覚えています。
また、小児心療内科の心理士の先生と学校の担任の先生にも、現在に至るまでたくさん助けてもらっています。
心理士の先生には、親子別々にカウンセリングの時間を設けて、それぞれに適切なサポートをいただいています。
そして担任の先生には、WISC-4の検査結果を添えたサポートレターを作成して息子の得意・不得意をわかりやすく伝え、困りごとに対する協力をお願いしています。
サポートレターでは、個人によってイメージの相違を招きがちな「ギフテッド」という言葉はあえて使わず、理解と支援を求めたい部分だけにフォーカスして書くことがポイント。
そうすることで、ギフテッドに詳しくない先生方もサポートがしやすくなり、息子にも「まわりには理解しようとしてくれる大人がたくさんいる!」という安心感が育まれていくのです。
これから中学・高校と進学し、日々成長していく中で、今までにはなかった新たな困りごとが出てくるかもしれません。
そんな時に柔軟な対応ができる土台作りのためにも、家庭とクリニック、学校との連携は、とても大切なのです。
息子は現在、かんしゃくもほぼなくなり、毎日元気に登校しています。
先月は、三年ぶりに運動会にも参加し、係活動も生き生きと楽しんでいました!
こうやって息子が笑顔で過ごせているのも、親子ともに安心できるサポート体制があるからこそだと、日々身にしみて感じています。
ひとりで頑張っているママはぜひ専門家に助けを求めてくださいね。
ギフテッド・発達凸凹の子育てに役立つ情報を多数ご紹介しています!
執筆者:片山 さち
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)