乗れるようになったはずの自転車を大きなサイズに買い換えたら、また乗れなくなった怖がりな息子。立ちはだかる壁となっていた恐怖心を克服して自信を取り戻した秘訣はお母さんの「声かけ」でした。やる気をグングン引き出すポイントをお伝えします。
【目次】
1.恐怖心がよみがえり、再び乗れなくなった自転車
2.どんどん失われていく子どもの自信
◆友だちとの比較で感じる劣等感
◆他のことにも広がる自信のなさ
3.恐怖心を乗り越えた!子どものやる気を引き出す声かけのコツ
◆子どもがワクワクできる目標設定
◆交通公園でのポジティブな練習
1.恐怖心がよみがえり、再び乗れなくなった自転車
私の息子は小学2年生の時、ようやく自転車の補助輪を外すことができました。そこにたどり着くまでに時間を要しましたので、やれやれ、と安心したのですが・・・実は問題はココからでした。
サイズが合わないので新しい自転車を買いに行き、一目惚れで赤くてカッコイイ一台に決めるまではご機嫌でした。
ところが、タイヤが大きくなったことで前の自転車とはバランスの取り方が異なり、うまく乗れません。
このような様子を見た私ですが、一度は自転車に乗れるようになった実績があるので、すぐに慣れるだろうと楽観的でした。
ですから、「もう乗れなくてもいい」と息子が諦めてしまった時には大きなショックを受けました。
「前の自転車に乗れたんだから大丈夫」と何度も言い聞かせましたが、息子は心を閉ざしてしまいました。
2.どんどん失われていく子どもの自信
バランスを取れず転んで痛い。痛い思いをするかもしれないと考えると怖い。こんな怖い思いをするくらいなら乗れなくてもいい。きっと息子はこのように考えていたのでしょう。
この構図は自信の無さが大きく影響しています。一度は乗れたからこそ、できると思ったことができなかったショックで自信を失っていたのです。
そのため「大丈夫」という言葉をかけても全く心に届きませんでした。
さらに「自転車なんて、やればできる簡単なこと」と考える私がかける言葉は、
「足が動いてないよ」
「目が前を向いてないよ」
「とにかくやりなさい」
息子ができていないところばかり指摘するものになっていました。
これでは息子の中で「どうせ、できない」「練習したら、またママに怒られる」と、自転車そのものに嫌なイメージが強くなるのは当然です。
◆友だちとの比較で感じる劣等感
練習を諦めて1年半ほど経過し、何と2台目の自転車も小さく感じるほど息子は大きくなっていきます。
小学4年生ともなると、友だちはみんな公園に遊びに行く時も自転車に乗っています。そんな中、息子は20分歩いて公園に出かけていました。
友だちから「乗れないの?」とストレートに言われることもあったでしょう。
少なからず劣等感を感じるシーンだったと思います。
乗れもしないのに「公園に自転車で行きたい」と言ってきた、その言葉に悔しさがにじんでいるように感じました。
◆他のことにも広がる自信のなさ
さらに、その影響は自転車のことだけにとどまりません。漢字テストで思うような点数を取れず、ひどく落ち込むなど、何事にも自信のなさを見せ始めました。
それほど子どもの自信はもろいのです。
一つ一つは小さなことであっても、失敗体験が積み重なるとネガティブな思考に支配されてしまい、「すべてがダメ」と捉えてしまうことがあります。
その結果、子どもの行動力が低下していく悪循環が生じてしまうのです。
3.恐怖心を乗り越えた!子どものやる気を引き出す声かけのコツ
このままではマズいと思った私は、自分への反省も踏まえて子どものやる気を引き出すために次のように取り組みました。
◆子どもがワクワクできる目標設定
まず、息子が目標をもって頑張れるよう夫と共に声かけをしました。決して息子を追い込むことのないよう優しい雰囲気の中、楽しそうに話しかけることを意識しました。
「パパやママも転びながら練習して乗れるようになったんだよ」
「いつも行ってるショッピングモールまで一緒に自転車で行けたら嬉しいな」
もちろん、自転車への恐怖心が消えない息子が即答することはありません。私たちは時が来るのを静かに見守りました。
するとある日、息子から「友だちみたいに自転車に乗れるようになりたい」と前向きな言葉が出たのです。
◆交通公園でのポジティブな練習
早速週末の練習を始めました。場所は自転車専用の交通公園です。
私は教え方に気をつけて、できているところに意識を向け、息子が「ちょっと頑張ればできるかも」と思えるような伝え方を工夫しました。
「しっかり足が動いてるね。次は、もう少し前を見ながら運転してみよっか。」
「信号が変わったのをよく見れたね」
「周りに気をつけて運転できてるね。曲がり角はスピードを落とすと曲がりやすいよ。」
このように声をかけ続けていると、何と、転んで泣いてしまった時でも「もう一回頑張る」と涙を流しながら練習を再開することができました!
そして、ついに目標としていたショッピングモールまで自転車で行けるほど上達したのです。
「やったー!!」と満面の笑みで喜ぶ息子は、とても興奮しており全身で達成感を感じている様子でした。こんなに嬉しそうにする息子を見たのは初めてです。
恐怖心を感じて練習を投げ出していた頃がウソのような表情を見ることができました。
「自転車に乗れるように」と思って伝える言葉であっても、「できているところ」を見る声かけと「できていないところ」を見る声かけでは結果が全く異なります。
怖がりなお子さんには、ぜひ成長を促すポジティブな声かけをいっぱいしてあげましょう。
子どもが積極的に動けるようになる声かけの秘訣を学べます!
執筆者:中村莉彩子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)