愛着がきちんと結べていない「愛着障害」の子どもでは、発達障害とそっくりな症状を示すことがあります。さらに、発達障害・グレーゾーンの子どもの中にも、愛着が安定していないお子さんもいます。どうやったら愛着を安定させることができるでしょうか? |
【目次】
1.保育園で、子どもたちの発達について講演してきました。
2.発達障害とそっくりに見えることも。愛着障害って何?コミュニケーションが足りないの??
3.親子のコミュニケーションを増やして、発達障害・グレーゾーンの子どもの愛着を安定させよう!!
1.保育園で、子どもたちの発達について講演してきました。
先日、ある保育園で講演をしてきました。午前は、保護者向けの子育て講座、午後は、先生向けの発達の研修で、丸一日の日程を無事に終えました。
この保育園には昨年にもお邪魔していて、とっても熱意のある先生方や、勉強熱心な保護者の方がいらっしゃいます。
今日の講演の内容は、子どもは、どのように発達するか?そのために、大人はどうやって関わればいいのか?というお話。その中でも、今回は親子の「愛着」に特に注目してお話ししたんです。
2.発達障害とそっくりに見えることも。愛着障害って何?コミュニケーションが足りないの??
愛着とは「特定の人と結ぶ情緒的な心の絆」のこと。
多くの場合は、親、特に母親との愛着が基本になります。愛着が強く結ばれている親子と、愛着が弱い親子とでは、お子さんの発達に違いが出てくるんです。
愛着がきちんと結べていない「愛着障害」の行動の特性は、一見、発達障害とそっくりです。
例えば、「コミュニケーションがとりにくい」、「人とのかかわりを持ちにくい」など、発達障害のお子さんでみられる特性に近い症状が出る場合もあります。
また、愛着が十分に結ばれていない場合、社会生活(不登校や引きこもり)や、学力などにも悪影響を及ぼすことも知られています。
専門家でないと、そのお子さんが発達障害なのか、愛着障害なのか、その両方をもっているのか、区別はつきにくいのです。
しかし、よくよく分析すると、親子関係や情動の問題から来る愛着障害と、脳の機能の問題からくる発達障害では、様相が異なっています。ですから、対応もちょっと違ってくるのです。
発達障害は、親の愛情不足などの環境要因で起こるものではありません。
そのため、親子のコミュニケーションを変えることで改善傾向となることはあっても、特性の一部は大きな変化がないことが多いです。
しかし、これまで親子のコミュニケーションが希薄であった愛着障害の場合は、このような特性と思われていた部分も、親の接し方でみるみる変わっていきます。
親が話をよく聞いてあげたり、丁寧にかかわっていったりすることで、改善されることが多いのです。
もちろん愛着障害というほどではなく、「親子関係がギクシャクしてるな〜」という状態でも、早く気がついて対応すればもともと持っている力を発揮できます!
3.親子のコミュニケーションを増やして、発達障害・グレーゾーンの子どもの愛着を安定させよう!!
愛着が重要なのは発達障害・グレーゾーンのお子さんも同じ。発達の遅れがある場合でも、愛着が強い親子と愛着が弱い親子とではその後の経過が少し違ってくるのです。
では、愛着を安定させるにはどうすればいいのか?それは、親子のコミュニケーションを増やすこと!!これに尽きます。
愛着を安定させるためには、子どもに安全基地となる存在を作ることが大切。どんなときであれ、「大丈夫だよ」と言ってくれる、共感してくれる存在が必要です。
親御さんがそういう存在になり、親子のコミュニケーションを通じて子どもさんのことを肯定してあげること。それが、発達障害・グレーゾーンのお子さんの愛着を安定させることになるんです。
この「子どもを肯定すること」の効果は、発達科学コミュニケーション(発コミュ)でも実証済みです!
特に、グレーゾーンかも…?と思っている方は、愛着を安定させると改善効果が絶大ですよ。親子のコミュニケーションを通じて、発達障害・グレーゾーンの子どもをどんどん発達させましょう!
執筆者:吉野加容子
(発達科学コミュニケーショントレーナー、学術博士、臨床発達心理士)
(発達科学コミュニケーショントレーナー、学術博士、臨床発達心理士)