発達障害・グレーゾーンの子どもが自由に撮影した写真を見ると、子どもが何に興味を持っているのかがよくわかります。子どもの世界をもとに指示出しを工夫することが、学習支援のきっかけになるんですよ。 |
【目次】
1.カメラを通して発達障害・グレーゾーンの子どもが見ている世界を見てみませんか?
2.写真の撮り方にみる子どもの発達
3.子どもの撮った写真を楽しみながら、指示出しに活かす
1.カメラを通して発達障害・グレーゾーンの子どもが見ている世界を見てみませんか?
みなさんのご家庭では、お休みの日は何をして過ごしますか?週末は、家族揃ってお休みがとれるご家庭も多いと思います。そんなときには、ぜひカメラを持って、お外へ遊びに出かけましょう!
普段は、お父さん・お母さんがカメラマン役だと思いますが、ときどき、お子さんにもカメラを持たせてみましょう!
子どもが撮る写真は、子どもが見ている世界を大人に垣間見せてくれる貴重なもの。「ヘぇ〜、こんな風に見てるんだ〜」という、新鮮な驚きや感動が味わえますよ。
2.写真の撮り方にみる子どもの発達
例えば、まだ年少以下のお子さんや、注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向のあるお子さんなら「かなりの接写」を好むかもしれません。カメラを、被写体にめちゃくちゃ近づけて超どアップで被写体を捉えようとします。
そのくらいのお子さんは、見るときに1つのものにフォーカスしています。逆に言えば、周りが見えていないのですね。
普段、目的の物に向かってさささ〜っと突進するようなお子さんなら超どアップ写真を撮る可能性大。でも、写真になると「そういう世界もおもしろい!」と思える写真が撮れます。
例えば、「お母さん撮って」と言うと、超どアップのお母さんの顔の写真。「近い近い〜!!!」みたいな写真になりますが、お母さんの笑顔が撮れて子どもは満足気にしています。
子どもにとっては、お母さんの顔ってそのくらい視野いっぱいに広がるロマンなのかもしれません。決して「もっと離れて撮りなさい」なんて言わずに、子どもの世界を堪能してください。
自閉症スペクトラム(ASD)のお子さんにカメラを持たせると個性のある写真ができあがります。
以前、お話をしない自閉症スペクトラムの子どもにカメラを渡して公園へ出かけたことがありました。「先生も撮って!ドキドキ!」と言って、私は一応、右手でピースをして顔とピースを並べて被写体になってみました。
彼は、何枚も何枚も私を撮ってくれました。できあがった写真には、ピースをしていない方の、私のだらんと垂れた左手が写っていました。左の肘から手と、左の腰あたりが何枚も丁寧に撮られていました。
「おもしろいな〜、そっか、君は先生のココを見てくれてたんだね!」驚きました。
その他にも、彼がカメラをちながら、自分で撮りたいと思ったものを次々と撮っていく様子を見ていました。すると、「へぇ〜、それが気になったんだ!」「そんなところに、こんなのあったんだ!」そんな発見をたくさんさせてくれました。
3.子どもの撮った写真を楽しみながら、指示出しに活かす
子どもにカメラを持たせたら、シャッターの位置だけ教えて自由に撮らせてみてください。
「こうやって撮るんだよ」なんて言わずに、まずは子どもの世界を楽しんでみてくださいね。撮った写真をみながら会話をすれば、普段口数の少ない子どもも饒舌に解説してくれます。
その写真を思い出せば、普段の指示の出し方もちょっと工夫できるようになります。お母さんの指示出しが上手にできると、子どももどんどん発達します。
こういった普段やらない活動をしてみると、発達障害の子どもの学習支援のきっかけになりますよ!
執筆者:吉野加容子
(発達科学コミュニケーショントレーナー、学術博士、臨床発達心理士)
(発達科学コミュニケーショントレーナー、学術博士、臨床発達心理士)