大学進学が決まった発達障害の子の一人暮らしが始まると心配は尽きませんよね。大学生になるとはいえ、先の見通しが苦手な特性がある場合は支援を必要とします。ここでは一人暮らしに向けて息子の自主性を育てて送り出した私の経験をお話しします。
【目次】
1.発達障害大学生が一人暮らしの引っ越し準備をはじめる
2.発達障害の子の脳は先の見通しが苦手
3.一人の大人として声をかける
1.発達障害大学生が一人暮らしにの引っ越し準備をはじめる
発達障害グレーゾーンの子の大学進学が決まり、一人暮らしの準備をしないといけないけれど、どこまで支援すればよいかと困っていませんか?
私には大学を目指し予備校生をしていた息子がいます。
高校生の時の息子は無気力状態で、私は息子の将来を不安に思っていました。
それが発達科学コミュニケーション(発コミュ)を学ぶきっかけになりました。
幸いにも、大学が決まり、息子の希望である一人暮らしを始めることができる環境になりました。
ただ、親であれば子どもの初めての一人暮らしは心配なもの。
一人暮らしは、自分で自分をコンロトールする力を必要とするので、一人暮らしを始める前にはそのことを本人に自覚してもらいたいですよね。
2.発達障害の子の脳は先の見通しが苦手
発達障害の子の脳は、先の見通しを立てることが苦手という特性をもっています。
やらなければならないことはわかっていても、何をするべきかわからず、計画することが苦手な状態なのです。
また、時間感覚が十分に育っていない場合は、時間を逆算して行動することも難しいです。
ですが、子どもは自分が「したい」と思えば、行動できるもの。
みなさんも関心のあることであれば、ずっと行動し続けられますよね。
ポイントは、お子さんの興味関心のあることに結びつけることです。
3.一人の大人として声をかける
息子は以前から、「一人暮らしをしたい」と言っていました。
自由になりたいとか、親と一緒にいたくないとか、その理由は多々あったと思います。
その理由が何であれ、私は息子の大学生としての一人暮らしを認め、息子自身で主体的に準備ができるような関わりをしました。
一人暮らしに向けた準備の内容は、
・銀行口座の開設
・クレジットカードつくり
・スーツ購入
・下宿決め
・荷造り
・引っ越し業者の手配
・かかりつけ医に紹介状作成を依頼
・コンタクトレンズ購入(スポーツをするため)
・銀行のATM操作方法の確認
・住民票をとる
などでした。
これらの作業を進める中で、親の意見はできる限り封印し、息子の意見を聞いて、認める形で進めていきました。
例えば、窓口担当の方が親の方に説明をしようとした場合は、息子に向けて説明することをお願いしました。
息子に考え直してほしい際には、「○○の意見はいいと思うけど、△△な考え方もあるよ」と枕詞を付けて伝えました。
時に言い合いになったら、その時は私が外出して気分転換をし、息子と距離をとりました。
息子主体で準備を進めたことで、息子は手続きを面倒がらず、自分から書類書きをしたり、窓口の方に質問したり、と前向きな姿勢を示しました。
下宿先で調達する物リストの作成は、当初は息子の頭にはないようでした。
が、その必要性に気付くと自分でリストを作成し、不用品を省いてほしいとメールで頼んできました。
先を見通すことが苦手な息子でしたが、自分の希望だった一人暮らしが叶うとなるとしだいに準備に興味関心を持つように。
こうした一人暮らしの準備を通して、息子が準備を自分事として自覚して行動できるようになりました。
私は成長したなぁ、と感じることができました。
子どもの初めての一人暮らしは親としては心配なもの。
ですが、その準備の過程で子ども自身が行動する姿を目にできれば “大丈夫だ”と思えるようになりますよ。
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執筆者:宝井あつみ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)