発達障害アスペルガー傾向の子は、不器用なために運動不足になりがち。お母さんが「健康に良くない!」と焦って、公園遊びや歩きに誘っても、子どもは知らん顔。そんな子が動き始めるために、お母さんが押さえておきたい対応と運動の、大切なポイントをお伝えします。
【目次】
1.「不器用」が発達障害アスペルガーキッズが出不精にする
2.運動の苦手な子どもが増えている現代
3.運動が嫌いになった不器用キッズを動かすための秘策
4.動くのが嫌いになった子と最初にやる声かけと遊び
1.「不器用」が発達障害アスペルガーキッズを出不精にする
アスペルガーを始めとする発達障害・グレーゾーンの子どもたちは、生まれついて脳の運動エリアに未発達な部分が多く見られます。
そのため体の動きに不器用さが見られ、極端な場合には、発達性協調運動障害(DCD)の傾向があると言われます。
お母さんとのコミュニケーションと遊びで不器用はよくなりますよ!
不器用な子ども達は、普段の生活の中で多くの失敗体験を積んでいます。
例えば、給食の配膳でこぼしてしまい、友達に文句を言われる。
食べるのが遅くて、クラスメイトの行動に置いていかれる。
体育の授業前後の着替えに時間がかかる。
休み時間に遊んでいても、友達の動きについていけないなどです。
これらが、不器用キッズを動きたくなくさせているんです。
でも大丈夫!
お母さんとのコミュニケーションと遊びで、不器用を改善することができるんです。
このDCDは発達障害グレーゾーンの50〜80%に合併していると言われています。
子どものうちに支援を受けなかった場合は成人に持ち越し、社会生活に適応するのに壁となっている場合があります。
なんとかしておきたいですね。
2.運動が苦手な子どもが増えている現代
現代社会は、家電の自動化やIT化が進み、効率的でとても便利になっています。
その一方で、体を動かす機会は極端に減っているんです。
例えば、エレベーター・エスカレーターが常設されて、階段を使う機会は減っています。
交通機関が充実して、歩く機会も減っています。
子ども達の生活も、ゲームや動画など家の中で楽しめるものが増えたことから、外でダイナミックに体を動かして遊ぶ機会は減っています。
人は、子どもの頃に体で色んな体験をすることで、脳にさまざまな感覚刺激を受け、脳の運動エリアが成長します。
しかし、その刺激が減っているんです。
発達障害グレーゾーンで生まれながらに不器用がある場合、体を動かし、全身に感覚が入る機会が減っている現代の生活では、未発達の部分はさらに育ちにくくなっているんです。
でも大丈夫!お母さんとのコミュニケーションと遊びで、不器用を改善することができます。
3.運動が嫌いになった不器用キッズと、信頼関係を築く肯定の注目
運動で自信を失っている発達障害不器用キッズにとって、「外に遊びに行こう」などというただの誘いでは、動く気になりません。
不器用キッズが動き出すには、ママとの信頼関係がポイントになります。
なぜなら、体を動かすことでたくさん傷つき、自信を失っているからなんです。
動かないと体に悪いよとか、体力つけないと、など正論を浴びせても、「自分のことをわかってもらえない」と頑なになってしまいます。
そのために大切なことは、普段から肯定の注目をすることなんです。
朝遅く起きてきても、「おはよう!起きてきたんだね」
遅いことはスルーして、起きてきたことに注目します。
部屋でゴロゴロとマンガを読んでいても、「何ていうマンガ?面白い?」
ゴロゴロしていることには注目せず、子どものしていることに関心を示します。
食事に呼んでも食卓になかなか現れず、遅れてきても、「来たんだね、先に食べてたよ。一緒に食べよう」
なかなか現れなかったことはスルーして、遅れてでも来れたことに注目しましょう。
肯定:否定の割合は、8:2や9:1が望ましいのです。
これは、初めはかなか難しいかもしれません。
できていない部分に注目してしまった時にも、「この子をこうさせているものは何だろう?」という目で見て、考え、理解しようと努めます。
すると、お母さんは自分のことを分かってくれている、分かろうとしてくれている、という信頼関係を築いていくことができます。
4.動くのが嫌いになった子と最初にやる声かけと遊び
関係性が築けたら、子どもの好きなこと、やりたいことを一緒に始めることから始めます。
ゲームでもYouTube鑑賞でもOK!
そうやって信頼関係ができてきたら、家の中で体を軽く動かす遊びから始めてみましょう。
とっかかりやすさを重視した、簡単な遊びが良いでしょう。
不器用キッズの「それくらいだったらやってみようかな」を引き出すためです。
声かけは、「おもしろい遊び、一緒にやってみよう!」
◆両手指すもう
親子で向かい合い、両手を交差させて指を組み、両手同時に指相撲をします。
反応力・動きの切り替え力が育ちます。
◆両手ジャンケン
親子で向かい合い、両手同じ手形・両手が別々の手形を同時に出して、ジャンケンします。
勝った方がご褒美をもらう設定にすると、盛り上がりますね。
リズムよく動く力・反応力が育ちます。
◆片足立ち競争
親子で向かい合って立ち、片足立ちで、どちらが長く立っていられるかを競争します。
慣れたら、相手を軽く押してみてもいいですね。
バランス力・反応力が育ちます。
「片足立ちを1分間する中で、反対足のつく回数が少ない方が勝ちだよ!」とすれば、バランスを長く保つ力も育ちます。
これらは比較的簡単な遊びですが、楽しみをもって繰り返すことで、脳の運動エリアの未発達なルートが、トンネルが開通するかのように、1本ずつ開通していきます。
そうしたら、徐々に体全体を使った遊びをしていましょう。
動きがスムーズになってスピードが出てくるでしょう。
子ども自身、体が軽くなったと感じられる場合もあります。
この段階まできたら、今度は徐々に外に誘ってみましょう。
関係性ができ、体も少しずつ動けるようになってるので、「お母さんの言うことなら聞いてもいいかな」と思えるんですね。
「できるかどうかは別として、鉄棒でお母さんよりも長くぶら下がっていられるかな?」
「今日は歩いて、〇〇くんの好きなアイスを買いに行ってみない?」
「あそこに新しいお店ができたんだって。自転車で行ってみよう!」
こんな興味を惹く声かけと遊びで、動くことが嫌いになった発達障害アスペルガーキッズは、再び動き出すことができるようになります。
さあ、一緒に健康的な心と体を取り戻していきましょう。
発達凸凹キッズが体を動かせるようになる遊びがたくさんあります!
執筆者:長野愛
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)