発達障害の子にとって運動会が辛いのは、大きな音や待ち時間、見通しの苦手さなど、脳の特性に合わない要因が多いからです。運動会に限らず行事が続く2学期は、お家でのケアが必須です。笑顔で乗り切るための家庭での対応と先生との連携の仕方をお伝えします。
【目次】
1.楽しいはずの運動会。発達障害の子にとって辛いのはなぜ?
◆大きな音やざわめきが苦手
◆待ち時間が長い・集団行動が苦手
◆見通しが持てない
2.運動会だけじゃない!行事が多く、トラブルが増えがちな2学期
3.運動会を笑顔で乗り切る!ママの対応
◆お家での対応
◆先生と連携
1.楽しいはずの運動会。発達障害の子にとって辛いのはなぜ?
運動会と言えば1年のビッグイベント!
そんな楽しいはずの運動会が、発達障害・グレーゾーンの子にとっては辛い行事になっている可能性があることはご存じですか?
それには脳の特性が関係しています。
・運動会の練習が始まると行き渋る
・みんなと練習に参加できない
こんな様子はわがままや努力不足ではなく、本人も辛くて困っているんです。
具体的な原因を3つお伝えしますね。
◆大きな音やざわめきが苦手
運動会では、笛や太鼓の音、応援の歓声など、とにかく音が大きくなります。
聴覚過敏のある子にとっては、それが「痛い」ように感じたり、頭がいっぱいになってしまうことがあります。
聴覚過敏とは、普通の人には気にならないような音が、本人にはとても大きく、不快に感じられる状態のことです。
黒板を爪でひっかく「キーッ」という音を思い出してみてください。
思わず耳を塞ぎたくなりますよね。
音が苦手な子にとっては、運動会は練習から何時間もそのような環境に身を置き続けないといけないとても辛い時間なんです。

◆待ち時間が長い・集団行動が苦手
運動会は「全員で一緒に」という場面が多く、並んで待つ時間も長くなります。
特にADHD傾向の子にとっては、この「待つ」という行動がとても難しいのです。
例えば、徒競走の練習をしているとき。
学校の規模にもよりますが、10~20レースある中で自分の出番はたった1回です。
その待ち時間に
・列から抜け出してしまう
・周りの子をつついたり、ちょっかいを出してしまう
・退屈すぎてフラフラ歩き回る
そして叱られ…楽しいどころか嫌な時間になってしまいます。
お母さんは「どうしてうちの子だけ落ち着かないの?」と悩むかもしれませんが、これも特性ゆえの行動。
集中の持続が苦手だからこそ起こることなんです。
◆見通しが持てない
発達障害・グレーゾーンの子は、先の見通しがもてないと不安になりやすい特性があります。
行事の期間中は学年でそろって練習をするため、授業の変更が多くなります。
例えば、普段なら毎週水曜日は楽しみにしている「図工」があるのに、練習のため変更…などです。
こういったことが頻繁に起こり、「いつもと違う」ため、見通しが立たずに不安感が増します。
練習中も同じです。
「今日はダンスの練習」とざっくりわかっていても、「今日はどこまでできたら終わりなのか」「今日は具体的に何をやるのか」は示されないことも多いです。
全体への指示を聞いてその場の状況に合わせて対応しなければならないことが続くので、疲れてしまうんです。
このように、運動会は発達障害の子どもにとって、感覚面・行動面・感情面のすべてで負担が大きい行事です。
だからこそ、お母さんが子どもの辛い気持ちを理解して、「じゃあどうする?」と対策をすることが大切なんです。
2.運動会だけじゃない!行事が多く、トラブルが増えがちな2学期
このように行事がストレスになるのは、運動会に限ったことではありません。
運動会、音楽会、秋の遠足…と、2学期は気候がよく約4ヵ月と長いため、行事も盛りだくさん!
クラスの思い出が増え、力を合わせて取り組む中で友達との仲も深まり、楽しい面もありますが、トラブルが多くなる時期でもあるんです。

私は小学校の教員をしていましたが、2学期は次から次へと行事の準備があり、忙しい毎日でした。
授業の変更も多く、限られた時間の中で学習内容と行事をやりくり。
余裕がなかったことを覚えています。
子どもたちにとっても同じで、わくわくや緊張感で高ぶった気持ちと、日常のやるべきことへの切り替えの行ったり来たりでお疲れ気味な子も多いです。
発達障害・グレーゾーンの特性があるとなおさら!
先の見通しを立てることや気持ちを切り替えることが苦手なので、行事が続く2学期はどうしても疲れやすく、しんどさが増します。
ストレスが貯まり、落ち着かなくなったり、イライラしやすくなったりしてトラブルを起こしやすくなるのが2学期なんです。
もちろん、先生もそれをわかって対策を考えています。
ですが、より負荷を感じやすい発達障害・グレーゾーンの子は、お母さんがお家でもケアをしてあげることで、運動会を始め行事の多い2学期を笑顔で乗り切ることができるんです!
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3.運動会を笑顔で乗り切る!ママの対応
発達障害・グレーゾーンの子どもが運動会を始めとする行事続きの2学期を笑顔で乗り切るためには、「お家で安心できる環境を整えること」と「先生と協力して見守ること」が大切なポイントです。
◆お家での対応
学校行事でのストレスを貯め込まず、トラブルを予防するためにお母さんにしてもらいたい対応は、「お家はパワーチャージの時間にする」ということです。
①当たり前にできていることを褒める
まずは元気に学校に行って帰ってきたこと、それだけで大きなハナマルです!
学校から帰ってきたら、笑顔で「おかえり!」と言ってあげてください。
そして、今できていることを言葉で伝えてあげてください。
・歯磨したね~!
・ご飯たくさん食べたね!うれしい♪
・手洗いばっちりだね!
・集中してゲームしてたね♪
特別なことである必要はありません。
「当たり前」と思うことでも子どもができていることをどんどん伝えて、疲れや不安が貯まっている脳に、ポジティブな記憶を補給してあげましょう!
②できていないことはスルー
人間の脳は、肯定の注目は目減りして、否定の注目は割り増しで伝わると言われています。
疲れているときには、できていないことをスルーしてあげることも必要です。
例えば、「おやつのゴミ、捨ててほしいなぁ」と思っても、しばらくはお母さんがサッと片付けてしまいましょう!
偶然でも捨ててくれたときには「ありがとう!」とその瞬間を逃さず伝えてあげてくださいね!
③お家はパワーチャージの時間にする
学校行事の有無や発達障害やグレーゾーンの子に限らず、学校という集団生活の中で、子どもたちは毎日精一杯頑張ってきています。
学校から帰ってきたらまずは自分の好きなことをしてリラックスしたいと思うのは自然なことです。
なので、家に帰ってきてすぐYouTubeやゲームをし始めても、そこはOKにして思いっきりパワーチャージをする時間にしちゃいましょう!
大人だって仕事でイレギュラーが続くとどっと疲れて、家事をする元気が残っていないなんてことはありませんか?
子どもも同じと思って、穏やかな気持ちで見守ってあげてくださいね!

◆先生と連携
行事の多い時期を安心して過ごすためには、先生との連携が欠かせません。
私自身、元教員であり、今はADHDの息子を育てる母として、必ず先生とはやりとりをしています。
たとえば、こんな工夫ができます。
・運動会や行事の練習予定を、事前に教えてもらう
・家で疲れている様子があれば、早めに伝える
・「疲れている」などの困りごとだけでなく、「家でダンスを楽しそうに踊っていました」など前向きな姿もシェアする
・苦手な部分については、活動量や参加方法を少し調整してもらえるよう相談する
改まって連絡を取ろうとするとお互い大変なので、宿題の丸つけや連絡帳にサインするついでに一言様子を書いて伝えるようにしていました。
「家での様子を共有したいのでこまめに伝えさせていただきます」と事前に伝えておくと、やりとりがスムーズです。
こうした小さな情報をやりとりしておくと、先生も子どもの様子を理解しやすくなり、配慮やサポートにつなげてもらいやすくなります。
お家でのサポートと学校での配慮がつながれば、子どもも安心して頑張れるんです。
ぜひ「先生と一緒に見守るチーム」として協力していってくださいね!
お母さんが声かけを変えるだけで、子どもがぐんぐん伸びるヒントをお伝えしています!
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執筆者:若月綾
(発達科学コミュニケーションアンバサダー)
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