おもちゃの音を強く嫌がる子どもの反応は、わがままではありません。聴覚過敏の特性をやさしく解説し、音に慣れさせるのではなく、安心を土台にした関わりの大切さを伝えます。
【目次】
1.音を嫌がるのは「わがまま」じゃない
2.どうしてその音がつらくなるの?
3.聴覚過敏の子は「聞こえすぎている」
4.大切なのは「慣れ」より「安心」
1.音を嫌がるのは「わがまま」じゃない
おもちゃの音を嫌がる、急に耳をふさぐ、
「その音いや!」と強く反応する。
そんな様子を見ると、
「気にしすぎなのかな」
「少し我慢すれば慣れるのでは?」
と思うことがあるかもしれません。
けれど、聴覚過敏のある子どもは、音を嫌がっているのではなく、音に困っていることが多いのです。
本人にとっては、「うるさい」というよりも、
・突然大きなものが飛び込んでくる感覚
・体がびくっと固まる感覚
・耳の奥に何かが刺さるような刺激
・心臓がドキッと跳ねる感覚
に近いことがあります。
周りから見ると小さな電子音でも、本人の中では「響き」や「怖さ」として強く体に響いていることがあるのです。

これは、性格や育て方の問題ではありません。甘えでも、反抗でもありません。脳が音の情報をたくさん受け取りすぎて、うまく整理できない状態。それが聴覚過敏の背景にあります。
まずは、「困っているんだな」と理解することが、はじまりです。
2.どうしてその音がつらくなるの?
聴覚過敏の子どもにとって、特につらくなりやすい音には、いくつかの特徴があります。
・突然音が出る
・音の大きさやタイミングを自分で決められない
・繰り返し鳴り続ける
・人の声のように、感情がこもって聞こえる
たとえば
ボタンを押すと急に鳴るおもちゃ、
ゲームの効果音
テレビの笑い声や叫び声
教室のざわざわした音
こうした音が重なると、脳は「情報が多すぎる」と感じます。私たちが無意識にしている「必要な音だけ選ぶ」という働きが上手くいかなくなるのです。
すると体は、
「こわい」
「いやだ」
「逃げたい」
「止めたい」
という反応を自然に起こします。

これは大げさななのではなく、自分を守るための正常な反応です。
大人でも、突然耳元で大きな音がなれば思わず身をすくめますよね。
聴覚過敏の子どもは、その「びっくり」が日常の中で何度も起きている状態なのです。
3.聴覚過敏の子は「聞こえすぎている」
聴覚過敏のある子どもは、音に弱いのではありません。
むしろ、音をとても細かく聞き分ける力を持っていることが多いのです。
・小さな音の違い
・声の高さやトーンの変化
・遠くのもの音
・おもちゃの細かい音
こうしたものを、周りの人より早く、はっきり感じ取っています。つまり、「聞こえない」のではなく「聞こえすぎている」のです。
ただし、聞こえることと聞き流せることは別の力です。
私たちは普段、エアコンの音や外の車の音をほとんど意識せず過ごしています。これは脳が「今は大事じゃない」と判断して音を背景に下げてくれているからです。
聴覚過敏の子は、この”音を背景に下げる力”がまだ十分に育っていないことがあります。

特に、緊張しているとき、疲れているとき、不安が強いときには、この切替の力はさらに弱まります。
だからこそ、反応が強い日は「わがまま」なのではなく、「余裕がない日」なのかもしれません。
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4.大切なのは「慣れ」より「安心」
「慣れさせた方がいいのでは?」と考える保護者の方も多いと思います。
でも、無理に音に近づけたり、がまんさせた続けたりすると、
・音=こわい
・音=逃げられない
という記憶が強まってしまうことがあります。
聴覚過敏が「なくなる」わけではなくても、安心できる時間が増えると、反応はやわらいでいきます。大切なのは、音に慣れさせることではなく、安心できる状態を作ることです。
たとえば、
・鳴る前に「これから鳴るよ」と伝える
・止められる選択肢を用意する
・小さくできる工夫をする
・静かな場所で休める時間を確保する
・耳をふさぐことを否定しない
こうした関りが、子どもの中の「大丈夫」を少しづつ増やしていきます。
安心が土台になると、音を受け取る力、音を流す力、切り替える力のバランスが、ゆっくり整っていくのです。

音を嫌がる反応は、直すべき行動ではありません。
「この子は今、音に困っているんだな」そう理解してもらえるだけで、子どもの安心は大きく変わります。
少しづつ、その子のペースで、安心を重ねていくことが、一番の近道です。
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執筆者:松沢多花子
(発達科学コミュニケーションアンバサダー)
(発達科学コミュニケーションアンバサダー)



