ゲームをやめない子に「何回言わせるの!?」とイライラしていませんか?私も以前は、ゲームをしている息子を見るたびに「もうやめなさい!」と言いたくなっていました。けれど、ゴルフでのある気づきを子育てに置き換えたことで、同じようにゲームをしている息子を見ても「ま、いっか!」と思えるようになったんです。
1.ゲームをやめない子に「何回言わせるの!」と怒っていませんか?
2.ゴルフで気づいた「7番アイアンで100Y飛ばすこと」がゴールではない
3.「ゲームをやめさせたい」の奥にあった、本当の困りごと
4.ゴールを変えたら「キーッ!」が「ま、いっか!」に変わった
5.ゲームをやめない子にイライラしたら「本当は何が嫌?」と考えてみよう
6.子育てで迷ったときに考えたい3つのこと
監修者:吉野加容子
発達科学コミュニケーション創始者/パステル総研主宰/発達科学ラボ代表
脳科学をベースに、発達障害・発達グレーゾーンの子どもの発達支援を専門とする。広島大学教育学部卒業後、東京学芸大学大学院修士課程、慶應義塾大学大学院博士課程で学び、民間企業での脳科学研究、医療機関での発達支援、大学での教育に従事。
15年以上にわたり発達に悩む親子と向き合う中で、「子どもの発達を本当に伸ばすのは、家庭での365日の関わりである」という結論にたどり着く。
病院や学校だけでは支援が届きにくい発達グレーゾーンの子どもたちに対して、家庭で再現できる支援を確立するため、脳科学・教育学・心理学を融合した独自メソッド「発達科学コミュニケーション」を開発。
これまでに数多くの親子の変化を生み出し、“ママが変われば子どもが変わる”という発達支援の新しい当たり前を広げている。
著書に『発達障害とグレーゾーン 子どもの未来を変えるお母さんの教室』『脳を育てる親の話し方』『脳が喜ぶ子育て』など。
1.ゲームをやめない子に「何回言わせるの!」と怒っていませんか?
「ゲームやめなさい!」
「もう終わりにして!」
「いつまでやってるの!?」
さっきも言ったのに、まだゲームをしている。
もう何度も「やめなさい!」って言ってるのに、なんでやめないの!?
「何回言わせるの!いい加減にして!!」
そんなふうに、ゲームをやめない子どもにイライラが爆発することはありませんか?
ゲームをやめてほしくて声をかけているのに、何度言ってもやめてくれない。
だから、もっと強く注意する。
それでもやめなければ、ゲームのルールを厳しくする。
けれど、ルールを作っても守らないし、注意すれば親子ゲンカ。
「いったい、どうしたらゲームをやめてくれるの?」
そんなふうに、子どもを変える方法ばかり探してしまいますよね。
私も以前は、ゲームをやり続ける息子を見ると、「こんなにゲームばかりで大丈夫かな」「もっとほかのことをした方がいいんじゃないかな」と心配していました。
だから、何とかゲームをやめさせなきゃと思っていたんです。
けれど、今は違います。
息子がゲームをしている姿を見ても、
「やることは全部終わってるし、今日は外でも遊んだし。どうせあと10分でお風呂だから、ま、いっか!」
と思えるようになりました。
息子がゲームをしなくなったわけではありません。
変わったのは、息子の行動ではなく、私が何を大切にして判断するかという基準でした。
そのきっかけは、意外にも子育てとはまったく関係のない、ゴルフでの経験だったんです。
「ゲームやめなさい!」
何回言っても、やめない…。
怒らずに伝えたいのに、
つい強く言ってしまうママへ。
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2.ゴルフで気づいた「7番アイアンで100Y飛ばすこと」がゴールではない
NicottoProjectにはゴルフ部があり、定期的に仲間と一緒にラウンドする機会があります。
私はゴルフを始めてから、ずっと7番アイアンでもっと遠くへ飛ばせるようになろうとしていました。
「7番アイアンで100Yくらい飛ばせるようになりたい!」
そう思って、7番アイアンばかりを何度も何度も練習していたんです。
けれど、ある日、こんなことを言われました。
「ゴルフのゴールは、7番アイアンで100Y飛ばすことじゃないよね?」
「本当のゴールは、より少ない打数でカップに入れることだよ」
たしかに…!
私はいつの間にか、7番アイアンで100Y飛ばすこと自体をゴールにしていました。
でも、本当に目指したいのは、少ない打数でカップに入れること。
だったら、7番アイアンだけにこだわる必要はありません。
6番アイアンもある。
ユーティリティもある。
ドライバーもある。
ゴールまでの距離に合わせてクラブを変えれば、7番アイアンだけで無理に飛ばそうとしなくてもいいんです。
しかも、クラブを選ぶためには、まず、
「今、カップまで何Yあるのか?」
を知らなければなりません。
ところが、それまでの私は、「どうせ私は50Yくらいしか飛ばないし」と、距離を測ることすらしていませんでした。
ゴールまでの距離も確認せず、ただ同じクラブでもっと遠くへ飛ばそうと頑張っていたんです。
そこで気づきました。
頑張る前に、まずゴールまでの距離を見る。
そして、その距離に合ったクラブを選ぶ。
大切なのは、今使っているクラブでもっと頑張ることではなく、ゴールに合った方法を選ぶことだったんです。
そのとき、ふと思いました。
「あれ? これって子育ても同じかもしれない!」
子どもの行動を変えようと、同じ声かけを何度も繰り返しているけれど、そもそも私は何をゴールにしているんだろう?
そう考えたとき、思い浮かんだのが息子のゲームのことでした。
3.「ゲームをやめさせたい」の奥にあった、本当の困りごと
以前の私は、息子がゲームをしていると、「こんなにゲームばかりで大丈夫?」「いつまでやってるの?」と、つい気になっていました。
ゲームをしている時間が長いこと自体が、よくないことのように感じていたんです。
けれど、わが家には事情もありました。
ゲームをしないと、友達との話題についていけなさそう。
しかも、夫自身もゲームが大好き。
息子にだけ、「ゲームはやめなさい!」と言っても、「なんでお父さんはいいの?」となって、親子でもめるのは目に見えていました。
だからといって、このままでいいのかなという不安もある。
そこで私は、ゴルフで教わったことを思い出して、考え直してみたんです。
「そもそも私は、ゲームをすることの何が嫌なんだろう?」
すると、気づいたことがありました。
私が本当に困っていたのは、ゲームをすること自体ではなかったんです。
ゲームに夢中になって、宿題をしない。
ごはんになってもやめない。
お風呂にも入らない。
歯磨きもしない。
そんなふうに、1日の生活がうまく回らなくなることが嫌だったんです。
だったら、私が本当に目指したいのは、
「ゲームをやめさせること」ではなく、「1日の生活がうまく回ること」
なんじゃないか。
そう考えると、
「ゲームをゼロにしなくても、やることができて生活が回っているなら、それでいいんじゃない?」
と思えるようになりました。
4.ゴールを変えたら「キーッ!」が「ま、いっか!」に変わった
ゴールを「ゲームをやめさせること」から「1日の生活がうまく回ること」に変えると、私ができることも変わりました。まず、外に出る時間を意図的に増やして、ゲーム以外の活動を増やしました。

陸上部に入ると、帰宅時間が毎日2時間半遅くなる毎日が始まりました。
すると、家にいる時間そのものが少なくなるので、家でゲームをしている時間は、ある程度許容できるようになりました。
そして、細かいゲームの時間ルールも、わが家ではあえて作りませんでした。
なぜなら、守れないルールを作ると、結局イライラするのは私だったからです。
その代わり、私が大切にしたのは、毎日の生活がきちんと回ること。
ごはん。
お風呂。
歯磨き。
宿題。
こうした毎日のルーティンができていればOKと考えるようにしました。
特に大切にしたのが、自分でゲームを切り上げて、次の行動に移れることです。
「ごはんだよ」
「お風呂だよ」
と声をかけたときに、ゲームをやめて切り替えられたらOK。
そんなふうに、ゲームをしている時間だけではなく、生活全体を見るようになりました。
すると、あるとき、まだゲームをしている息子を見ても、こんなふうに思えたんです。
「あ、まだゲームしてる」
だけど、
「やることは全部終わってるし」
「今日は外でも遊んだし」
「どうせあと10分でお風呂だから、ま、いっか!」
以前の私だったら、「なんでまだゲームしてるの!?」「何回言わせるの!」と、イライラしていたかもしれません。
でも、今は違います。
息子がゲームをしていることだけを見て、「ダメ!」と判断するのではなく、今日は何をして過ごしたのか。
やることは終わっているのか。
次の行動に切り替えられそうか。
そんなふうに、1日の生活全体を見て考えられるようになりました。
もちろん、睡眠や健康、生活に支障が出ているなら、ゲームとの付き合い方を見直す必要があります。
ただ、わが家の場合は、ゲーム時間を短くすることだけを目指すよりも、毎日の生活が回ることを大切にした方が、親子ともに無理なく過ごせました。
息子のゲーム時間がゼロになったわけではありません。
変わったのは、息子の行動ではなく、私の判断基準。
その結果、ゲームをしている息子を見ても、以前ほどイライラしなくなったんです。
「キーッ! いつまでゲームしてるの!」から、「今日はやることやったし、ま、いっか!」へ。
ゲームをやめさせることに必死だった私が、そんなふうに変わることができました。
5.ゲームをやめない子にイライラしたら「本当は何が嫌?」と考えてみよう
今回の経験で私が気づいたのは、目の前の行動を変えることと、本当に実現したいことは、必ずしも同じではないということです。
「ゲームをやめさせたい」
「宿題をさせたい」
「忘れ物をなくしたい」
「朝の支度を早くしてほしい」
子育てをしていると、そんなふうに思うことがたくさんありますよね。
そして、何度言ってもうまくいかないと、「どうやったらやらせられる?」「どう言えば直る?」と、同じ方法をもっと頑張ろうとしてしまいます。
けれど、そんなときこそ、一度考えてみてほしいんです。
「私は、本当はどうなったらOKなんだろう?」
例えば、私の場合は、ゲームをやめてほしいと思っていたけれど、本当に願っていたのは、1日の生活がうまく回ることでした。
宿題をしてほしいのも、ただ机に向かわせたいのではなく、学ぶ習慣を身につけてほしいからかもしれません。
朝の支度を早くしてほしいのも、ただ急いでほしいのではなく、自分で考えて行動できるようになってほしいからかもしれません。
本当のゴールが見えてくると、そこへたどり着く方法は一つではないことに気づきます。
6.子育てで迷ったときに考えたい3つのこと
私が大切にしているのは、次の3つの問いです。
① 私は、本当は何が嫌なんだろう?
子どもの行動そのものが嫌なのか。
それとも、その行動によって起きている別のことが困るのか。
まずは、自分が何に困っているのかを考えます。
② 本当のゴールは何?
どうなったら「これならOK」と思えるのかを考えます。
ゲームをゼロにすることなのか。
それとも、ゲームも楽しみながら毎日の生活が回ることなのか。
ゴールを少し変えるだけで、見えるものが変わってきます。
③ そのゴールにたどり着く方法は、ほかにない?
声かけを変える。
環境を変える。
タイミングを変える。
ゲーム以外の活動を増やす。
子どもと一緒に、無理のないルールを考える。
一つの方法にこだわらなければ、選べることは意外とたくさんあります。
子育ては、同じ方法をもっと頑張り続けることだけが正解ではありません。
ゴルフで7番アイアンだけを使って100Y飛ばすことにこだわらなくていいように、「ゲームやめなさい!」という一つの声かけだけにこだわらなくてもいい。
大切なのは、何を実現したいのかを見直して、そのための方法を選ぶことです。
だから、今日も子どもがゲームをやめずにいたら、「またゲームばっかり!」と言う前に、一度だけ考えてみてください。
「私は、ゲームをやめてほしいの? それとも、ゲームのせいで困っていることがあるの?」
その答えが見えてくると、今までとは違う関わり方が見つかるかもしれません。
ゲームをしている子どもを見て、
「キーッ!」となるママから、「今日はやることやったし、ま、いっか!」と思えるママへ。
子どもを変えることだけを頑張るのではなく、ママが何を大切にするかを見直す。
そこから、親子がもっとラクに過ごせる毎日をつくっていきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1.ゲームをやめない子には、ルールを作らない方がいいですか?
ルールを作らない方がいい、ということではありません。大切なのは、ルールを守らせること自体をゴールにしないことです。
わが家では、細かいゲーム時間のルールを作るよりも、ごはん・お風呂・歯磨き・宿題など毎日の生活が回ることや、必要なときに自分でゲームを切り上げられることを大切にしました。家庭や子どもの状態に合わせて、「どうなったらOK?」を考えてみてください。
Q2.ゲーム時間が長くても、やることをやっていれば大丈夫ですか?
ゲーム時間だけで判断するのではなく、生活全体を見ることが大切です。わが家では、やることができていて、声をかけたときに次の行動へ切り替えられるなら、ゲーム時間が多少長くても「まあ、いいか」と考えるようになりました。
ただし、睡眠や健康、毎日の生活に支障が出ている場合は、ゲームとの付き合い方を改めて考える必要があります。
Q3.ゲームをやめない子にイライラしたとき、まず何を考えればいいですか?
まずは、
「私はゲームをしていること自体が嫌なの?それとも、ゲームによって困っていることがあるの?」と考えてみてください。
宿題ができない、ごはんになっても切り替えられない、生活リズムが崩れるなど、本当に困っていることが見えてくると、「ゲームをやめなさい」と言い続ける以外の方法も探しやすくなります。
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執筆者:丸山香緒里
パステル総研編集長 発達科学コミュニケーションアンバサダー
息子が年少のときに発達障害と診断され、「今、何をしたらいいの?」「このままで大丈夫?」と悩みながら、本やネットを頼りに発達トレーニングを続けるうちに情報迷子に。
そんな時に出会ったのが、発達科学コミュニケーションで 「子どもにとって一番」ではなく、「ママが安心して続けられる環境が一番」という価値基準に出会い、子育ての軸が大きく変化。
その後、発コミュを軸に家庭での関わりを続けた結果、息子は小学校6年間を毎日元気に登校し、普通級のまま卒業。中学校の入学式では総代に選ばれました。かつて情報迷子だった経験をもとに、今は「ママの判断軸が子どもの未来を変える」ことを伝えている。