お出かけ先として大人気の水族館。でも発達障害・グレーゾーンの子どもにとっての水族館は、楽しむにはハードルの高い場所です。それはズバリ「疲れてしまうから」。今日はそんな疲れやすい子どもにぴったりの水族館のご紹介です。 |
【目次】
1.とにかく疲れる!発達障害・グレーゾーンの子どものおでかけ
①発達障害・グレーゾーンの子どもはなぜ疲れやすいの?
②水族館に行くと疲れるのはなぜ?
2.桂浜水族館は疲れない!お楽しみポイントがたくさんあるんです
①程よい人の数と、ゆったりとした鑑賞スペース
②生き物との距離が近く、触れ合える機会がたくさんある
3.備えて安心!困ったときの断り方を練習しておこう
1.とにかく疲れる!発達障害・グレーゾーンの子どものおでかけ
発達障害・グレーゾーンの子どもとのおでかけ、皆さんはどんなことを想像しますか?
・人混みの中でじっとしてくれるだろうか?
・順番をちゃんと待てるだろうか?
・癇癪を起こしたりしないだろうか?
・疲れて翌朝熱が出てしまわないだろうか?
こんな風に考えるお母さんが多いはずです。
我が家の自閉症スペクトラム(ASD)の息子は、待つことが苦手なうえに、人で混雑しているところに長時間いると、疲れて機嫌が悪くなります。
また、おでかけをした翌日には高熱を出してしまうこともしばしばです。なぜこのようなことになるのでしょうか。
◆①発達障害・グレーゾーンの子どもはなぜ疲れやすいの?
発達障害・グレーゾーンの子には感覚過敏をもっていることが多く、外部刺激に対してストレスを感じやすいという特性があります。
また、空気が読めず、相手の気持ちや意図をくみ取るのが苦手なため、周りの環境に合わせようと神経をすり減らし、とても疲れやすいのです。
◆②水族館に行くと疲れるのはなぜ?
皆さんが想像する水族館のイメージはどういったものでしょうか?
・常に行列に並ばないといけない
・人の流れを止めないよう気を配りながら鑑賞しなければならない
・人混みがすごくて見たい生き物にたどり着けない
このように、水族館には発達障害・グレーゾーンの子どもがストレスを感じるポイントがいっぱい!
常に人混みにさらされ、周囲に気を遣いながらの行動は、息子にとってストレスでしかなく、水族館に来るとだんだんと機嫌が悪くなり、最後にはぐったり疲れて何もできないことがしばしばありました。
そんな息子の相手をして、わたし自身も疲れてしまい、せっかく来たのに結局楽しめないまま帰ることが多く、我が家では水族館に子どもを連れて行くことに躊躇していました。
2.桂浜水族館は疲れない!お楽しみポイントがたくさんあるんです
桂浜水族館は、今までに行ったことのある水族館とは全く違う環境でした。実際に私が感じたお楽しみポイントを皆さんにお伝えします。
◆①程よい人の数と、ゆったりとした鑑賞スペース
桂浜水族館を訪れてまず感じることは、穏やかな人の流れです。ひとりひとりのスペースやスピードを邪魔しない絶妙な人の数や流れを保っています。
人混みに揉まれることがないので、ストレスを感じることなく好きなだけ生き物を見ることができます。
また、発達障害・グレーゾーンの子どもの中にはこだわりの強さを特性として持っている場合もあります。気に入った生き物の前でずっと動かないこともありますよね。
人がたくさんいる場所では、後ろの人に気をつかって、無理やり場所を移動させないといけないこともありますが、この水族館では見たいだけ見ても誰の邪魔にもなりません。
息子はヒラメやカレイ、エイが一緒に泳いでいる水槽がなぜか気になり、よく似ているけれど実は違うそれぞれの生き物の違いについてひたすら観察していました。
目の位置に注目しながら、
「これは目の位置が左だね。ヒラメだっけ?カレイだっけ?」
「これがエイかな?」
など、視覚のトレーニングをしながら会話も楽しむことができました。
◆②生き物との距離が近く、触れ合える機会がたくさんある
・ウミガメの餌やりで瞬発力を鍛える!
ウミガメコーナーでは、至近距離で餌やりをすることができます。想像以上の速さで食いついてくるので、どうやったら餌を水の中に落とさずに口に入れてやれるか、タイミングを測るのも楽しみのひとつです。
・リクガメとの触れ合いで情緒を鍛える!
館内にはリクガメが自由に歩いているスペースがあります。リクガメは身体も大きく硬い甲羅を持っているため、子どもたちは甲羅の上に乗りたがったり、少し乱暴に接したりしても大丈夫だと思い込んでしまうこともありますが、
「大きな体でも上に乗られるとしんどいんだよ」
「硬い体でも叩かれたら痛いんだよ」
と、リクガメの気持ちをお母さんが代弁することで、見た目だけでは分からない内面を子どもに伝えることができます。
・ナマコの池で力のコントロールを鍛える!
ナマコの池では自由にナマコに触ることができます。息子はいろんなナマコを触っては、あっちこっちに移動させていました。ナマコの身体は柔らかく、ギュッと握るとつぶれてしまいます。力加減を考えながら楽しんでいました。
桂浜水族館ではその他にも生き物に触れ合える場所がたくさんあります。そして、人混みや行列を心配することなく、好きな生き物と思い切り触れ合えるのです。
3.備えて安心!困ったときの断り方を練習しておこう
ナマコの池でのできごとです。息子がナマコとの触れ合いを楽しんでいたところ、一人の飼育員さんが近づいてきました。
飼育員さんは、ナマコに関するマメ知識を息子に説明し始めました。息子は一生懸命に聞いていたのですが、見る見る困った表情へと変わっていきました。
他のお子さんであればきっと喜ばれるサービスですが、息子はまだ聞く力が弱く、説明を理解することが難しかったのです。
息子としてはナマコとの触れ合いを一人で十分楽しんでいたのですが、飼育員さんがせっかく説明をしてくれているので無視するのは失礼だと思ったようです。
事前に相手を不快にさせない断り方を準備し、親子で練習していったほうが良かったなと思いました。
とはいえ、他の水族館ではそわそわと落ち着かない息子が、ここではなぜか、ひとつひとつの生き物とじっくりと向き合い、楽しんでいました。
そんな息子の様子は母としてとてもうれしく、あったかい気持ちになりました。
水族館って疲れてばっかり!そんな親子に是非行ってほしい桂浜水族館。心も身体もきっと元気になりますよ!
ーー施設詳細ーー
【施設名】公益社団法人 桂浜水族館
【住 所】高知県高知市浦戸778 桂浜公園内
【電 話】088-841-2437
【開館時間】9:00~17:00
【休館日】年中無休
執筆者:宮千明
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
疲れやすい発達障害・グレーゾーンの子どもが疲れず楽しめる、とっておきの方法があるんです。
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