発達障害であってもなくても幼児のかんしゃくに悩まされているお母さんには、子育てに限界を感じる方もいらっしゃるでしょう。発達の遅い子、でこぼこの特性をもつ子ならなおさら。お母さんの正しい対応でお子さんの癇癪がエスカレートするのを防ぎましょう。 |
【目次】
1.発達障害?!お子さんのかんしゃくに子育ての限界を感じていませんか?
2.かんしゃくがエスカレートする背景には発達の遅いことやでこぼこの特性が潜んでいることも
3.かんしゃくを引き起こしているのはお母さんかも…?
4.お母さんの対応次第でかんしゃくは減らせます!
1.発達障害!?お子さんの癇癪に子育ての限界を感じていませんか?
あなたのお子さんは、家で自分の思い通りにならなかったときどんな様子になりますか?
・イライラをぶつけてくる
・かんしゃくを起こす
・かんしゃくまではいかないけれど、明らかに不機嫌になる
・反抗的になる
・「どうせ…」とふてくされる
特に、幼稚園や保育園では良い子なのに、家では、もっというとお母さんの前では上に挙げたような様子になることはありませんか?
いくら可愛い我が子と言えど、かんしゃくがいつ起こるかわからない状態は辛いですよね。
外出自体が億劫になったり、周りの目が気になって逆効果と分かっていてもつい叱る対応をして、かんしゃくをエスカレートさせたり…泣いている我が子を見るのは本当に心が痛みますね。
いつ起こるか分からないかんしゃくは、地雷を抱えた相手と一緒にいるようなものです。
ですから、お母さんのストレスレベルが非常に高く、子育てに限界を感じていることも多いのではないでしょうか。私も経験者なのでよく分かります。
そして、お母さん自身が、子育てが「うまくいかない」ことの連続で自己肯定感が低下していることがとても多いです。発達障害だったりや発達の遅いお子さんを育てている場合は、なおさらです。
お子さんが少しでもかんしゃくを起こさずに、そして、お母さんも穏やかに子育てをしたいものですよね。
2.かんしゃくがエスカレートする背景には発達の遅いことやでこぼこの特性が潜んでいることも
幼児期の子どもは自分の欲求を「制御」したり「抑制」したりする脳の場所が未熟です。また、かんしゃくの背景に発達の遅いことやでこぼこの特性が潜んでいることはよくあることです。
かんしゃくは、本人の脳の中の未熟な回路上で起こります。強すぎるかんしゃくが起これば起こるほど、その未熟な回路が強固なルートになっていきます。
前頭前野というおでこの裏側あたりにある脳が、いわゆる「我慢」するための脳にあたります。
人間の脳は後ろ側から順番に発達していきますから、脳の一番前側のこの部分は、幼児期はまだまだ未発達というわけです。
だから、大人からしたらほんのささいに思うようなことにも我慢できず、気持ちを抑制できないときにかんしゃくの形で表現されることがあるのです。
発達障害の子どもや発達の遅い子どもであればなおさら、その領域が未発達な可能性が大きいのです。
3.かんしゃくを引き起こしているのはお母さんかも…?
子育てしているときのお母さん自身の関わり方を振り返ってみてください。お子さんがかんしゃくを起こしたとき、不機嫌な顔を見せたとき、どんな風に対応していますか?
・「良い加減にしなさい!」と被せて怒ってはいませんか?
・お子さんのかんしゃくにビクビクして要求を飲んではいませんか?
・というか、かんしゃくを起こしているお子さんに反応してしまってはいませんか?
これらは全て逆効果の対応です。
お子さんが、園など家の外、お父さんや祖父母など、お母さんよりも少し距離のある人に対しては、かんしゃくや不機嫌さを見せずにやり過ごすことができたとします。
でも、心を許したお母さんにだけネガティブな気持ちを爆発させるというのであれば、「爆発すればお母さんはなんとかしてくれる」というお子さんの誤学習がベースにあります。
脳が抑制しきれず「やだー!やりたくないー!!」と子どもが最初はかんしゃくを起こしたとします。それに対して、
「やだね、やりたくないんだね。じゃあお母さんと一緒にやってみようね〜」と、お母さんが笑顔で一緒にできるところまで付き合ってくれたAちゃん
「やりたくないんだねー。じゃあお母さんがやってあげる〜」と、お母さんが代わりにやってくれたBちゃん
「わがまま言うんじゃないの!」と、怒られたCちゃん
同じかんしゃくに対する三人の学習は全く異なるものになるのです。もちろん、時と場合によりますから、常に一貫した対応を!というのが難しいのはよくわかります。
ただ、お母さんを中心とした周囲の大人が子どもの発するかんしゃくにどう対応したかが、お子さんの学習につながっていることを心に留めておいてください。
Aちゃんは「困ったらお母さんが一緒にやってくれる」「大人は助けてくれる」と大人の力をうまく借りることを学習するでしょう。
Bちゃんは「嫌なときは泣けば、お母さんがやってくれる」と学習するかもしれません。
問題なのはCちゃんで「泣いたら怒られる」と言うことはわかっても、「どうしたらママが助けてくれるのか」という正解を学習できないままになってしまいます。
お母さんがお子さんのネガティブオーラに反応し続ける限り、お子さんのかんしゃくは治りませんし、お子さんも嫌な気持ちを爆発させる形での表現以外の方法を学ぶ機会がありません。
学ぶ機会がないということは、いつまでたっても正しい行動、例えば嫌な気持ちを言葉で表現するとか、「お母さん実はね…」と相談するとか、そういった行動は身についていかないわけです。
4.お母さんの対応次第でかんしゃくは減らせます!
発達障害のあるなしや発達の早い遅いに関わらず、幼児期の脳を伸ばすのはお母さんの声かけです。
脳を伸ばすための最初のステップとして、まずはお子さんの心の安定をはかり、脳自体を安定させるテクニックを身につけていきましょう。
かんしゃくにはこのファーストステップでしっかり対応していき、セカンドステップで脳を伸ばす関わりをしていきます。
ファーストステップは、「褒める」こと!
・子どもができていないことではなく、できていることに注目する
・やめて欲しいことではなく、もっとやって欲しいことに注目する
・遊んでいる最中にそのことに注目してあげる
ことです。
「褒める」ことを続けていくと、お子さんの心が安定していてきます。その段階になったら、かんしゃくは「スルー(取り合わない)」すること!ただし、スルーしっ放しはよくありません。
泣くのをやめられたとき、次に嫌な場面にあったときに我慢できたり、言葉で伝えることができたりなど良い行動をしたときはたくさん褒めてあげてください!これがセカンドステップです。
かんしゃくを起こしている状態はお子さんにとってしんどい状況ですし、頻繁になるとお母さんも子育てに限界を感じやすくなります。
お母さんの「褒める」子育てで、かんしゃくを起さなくても自分の要求を相手に伝えられる脳をなるべく早く育ててあげたいものですね!
このような我が子の癇癪をなくす工夫はこちら!
執筆者:石澤かずこ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)