3月はおわかれが多く集団生活の変化が苦手な子にとって辛い時期でもあります。海外在住10年以上、国をまたいだ転勤を4度繰り返した私がわが子と一緒に環境の変化を乗り切った秘話をお教えします。 |
【目次】
1.「パパの転勤について行きたくない!」と言わないか心配していませんか?
2.変化が苦手な子に「しょうがないでしょ」と言っても効果がない理由は?
3.集団生活が変わるときこそ子どもにして欲しい3つのこと
◆否定せずに聞いて感情を受け止めてあげる
◆感情を言葉にしてあげる
◆抱きしめる、スキンシップを取る
1.「パパの転勤について行きたくない!」と言わないか心配していませんか?
3月4月は異動、転勤、引っ越し、進級、進学、そして海外赴任など、オトナも子どもも環境が大なり小なり変わる時期ではないでしょうか。
春はいくつになっても、出会いと別れがあり、悲しみ、寂しさ、喜び、不安や期待など様々な感情が胸の内でうずまきますよね。
気兼ねなくたわいもない話をしていた友達
いつも子育てを助けてくれていたジジババ
放課後に遊びに来ていた子どもの友達
いつも子育てを助けてくれていたジジババ
放課後に遊びに来ていた子どもの友達
直ぐに会える環境にいた人たちに、4月からはもう簡単には会えないと思うと、オトナでもホロリと涙が出てしまい、胸がいっぱいになることってあると思うんです。
オトナでもサヨナラは苦手な人が多いように、子どもだってオトナと同じように複雑な気持ちで苦手なことですよね。
そんなとき「パパの転勤になんてついて行きたくない!」と言いだし、大泣きすることも十分にありえることだと思うのです。
我が家は今までに日本から香港、香港からマレーシア、マレーシアから香港、香港からベトナムと国をまたいだ引っ越しを4回してきています。
そしてその都度、子どもたちは「行きたくない、嫌だ」としょんぼりし、私もそんな子ども達の姿を見て胸がいっぱいになり、夫もまた私たち3人のどんよりした姿を見て、複雑な気持ちになったといいます。
出会いあれば別れあり、サヨナラは涙なしではいられないですよね。
集団生活の変化が苦手な子どもをサポートするときのコツを、私の体験談と共に大切にして欲しい3つのことをお伝えします。
2.変化が苦手な子に「しょうがないでしょ」と言っても効果がない理由は?
お父さんのお仕事の都合で異動辞令が出て、引っ越しをしなければいけないという事実。お父さんですら心の準備はなく突然知らされています。
とは言え、会社に勤めている以上部署異動があると知っているので、通知がきたら「来たか」と思うでしょう。
ちょっとここで想像してみてください。
6歳、10歳の子どもたちの人生の中で、お別れはどのような経験のことを指していると思いますか?
クラスが変わる、幼稚園から小学校へ上がるなどの集団生活の変化の経験だと思うんです。慣れていたグループが変わるだけでも大なり小なりストレスを感じる子どもたち。
転勤となると、今まで住んでいた家には住まない、学校も変わる、住んでいた地域も変わります。今までに経験したことがない大きな変化は想像しずらく、大きなストレスとして捉えてしまうことも考えられます。
ですので「しょうがない」という言葉を使うのではなく、子どもにも分かるように、これから何が起きてくるのか、いつ起きるのかなどスケジュールをカレンダーなどに書いて見えるようにしておくといいでしょう。
見えるようにしておくことで、心の準備の手助けになるので活用してみてください。
3.集団生活が変わるときこそ子どもにして欲しい3つのこと
子どもにとって、お父さんの転勤がよく分からないことだとしても、今通っている学校での集団生活は終わりに近づいていることは多かれ少なかれ理解しています。
変化が苦手な子の脳の中でも自己防衛機能は働いているので拒否反応が出ることも考えられます。
悲しい、寂しい、怖い、怒り、不安、心配と、言葉で表現できる子もいれば、表現できず、眠れない、食欲がない、おねしょをする、お腹や頭が痛くなる、暴れる、暴言を吐くことで表に出ることもありえます。
どんな表現を子どもがしてくるかは、「これ!」という1つの答えはないですが、おうちでご両親ができるサポートが3つあります。
◆否定せずに聞いて感情を受け止めてあげる
「引っ越しなんてしたくない!」と言ったら、「引っ越しなんてしたくないよね」
「ずっとこの学校に行く!」と言ったら、「ずっとこの学校に行きたいよね」
まずはオウム返しでいいので、お子さんの表現をそのままリピートしてください。そしてうなずき、「そうよね」、「そう思っているんだね」と聞いて受け止めてあげてください。
ついあれこれアドバイスしたり、何か言いたくなってしまうかもしれませんが、お子さんの心の内にある感情を一旦受け止めてあげることに徹してください。
◆感情を言葉にしてあげる
次にお子さんが言っていることを形容詞を使って聞いてみてください。
悲しいの?怒ってるの?寂しいの?など、感情を表現する手伝いを少ししてあげてください。
そして、「ママもお引越しするのは悲しいよ。ジジババにすぐに会えなくなるのは残念」など、ご自分の気持ちもお話しすると、お子さんも言葉にしやすくなり安心感が増すでしょう。
別れに伴う感情の処理は時間を要します。「しょうがない」とつい言いたくなると思いますが、その言葉以外で表現することでお子さんだけでなく、ご自分の気持ちも癒えやすくなりますので意識してみてください。
◆抱きしめる、スキンシップを取る
次に頭をなでたり、抱っこしてあげたり、寝る前にマッサージをしてあげるなど、タッチコミュニケーションをする回数を増やすと不安軽減につながります。
言葉で表現することでかえって不安になりやすい傾向があるお子さんならば、お出かけするときに手をつなぐ、ハイタッチをするなどでも構わないのでさりげなく触れてみてください。
今はWi-Fiがあればどこからでも無料でテレビ電話ができます。たとえ遠く離れた海外でも、昔の様にプリペイドカードを買って通話しなくてすむのですから、離れる前からテレビ電話に慣れてみるのもオススメです。
そしてこれから住む土地や海外赴任先の町がどんなところか検索したりガイドブックを見て、見てみたいこと、食べてみたいものなどをリストしてみることで、お子さんとお母さん自身のワクワク感がUPしますよ。
引っ越しの当日はもしかしたら、お子さんはサヨナラと言えないかもしれません。でも、別れの言葉が言えなくてもいいと思いませんか?
泣いていたら、「泣かないの!」と言わずに泣かせてあげてください。心の中とは反対な言葉を言ってくるかもしれませんが、今の集団生活の場が心地よく離れがたいところだったという証ですから。
「また会う日まで」を合言葉にこの時期を親子で乗り切ってくださいね、応援しています。
執筆者:吉田エイミー
(発達科学コミュニケーショントレーナー、心理カウンセラー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー、心理カウンセラー)