不登校になった真面目な小学生女子が吐き出した本音!母親がすべきこと・気づけたこと ―前編―

真面目さと繊細さゆえに心も身体も疲れ切ってしまい、不登校になってしまった4年生の女の子。不登校の経緯と、お子さんが本音の気持ちを打ち明けてきた過程、そして、母親として気づけた気持ちをお伺いしました。
 

【目次】

 

1.「もうダメ…限界かも」不登校になったきっかけ

 
 
友人から、小4のときに不登校になっていたお子さん(現在5年生)が、今は再登校できている話を聞きました。
 
 
今では不登校だったとは思えないほど明るいお子さんで、親子関係も良く、そのときのことを一緒に笑って話すほどの信頼関係が築けていらっしゃいます。
 
 
不登校から再登校できるまでの道のりで、様々な大切なことに気づくことができたそうです。
 
 
母親のTさんにそのときの様子をお聞きしていきます!
 
 

ーーー不登校になったきっかけや様子を教えてください。

 
 
「小4に進級して、クラスが替わったときに、席が近いやんちゃな男の子からちょっかいを出されて嫌だったのが、直接の原因ですが…」
 
 

ーーーほかにも気になるところがあったのですか?

 
 
「実は、兆候があって… 精神的な疲れがたまっていたみたいでした。
 
小学4年生に進級する前から、疲れや精神的なプレッシャーで頭が痛い、吐き気がする、動けないと言って、体調が思わしくありませんでした。」
 
 

ーーーお子さんの精神状態は、限界に近かったのでしょうか?

 
 
「そうだったと思います。そんな状態で始業式を迎えて、学校生活が始まったものの、
 
・男の子からちょっかいを出される…
 
・仲の良いお友達と一緒のクラスには、なれなかった…
 
・担任の先生は、転任してきたばかりの知らない先生…
 
こんな風に不安が重なってしまい、 『もう、ダメ』と思ってしまったようで、始業式から10日ほどは、頑張って登校したのですが、それ以降は登校できなくなってしまいました。」
 
 

ーーーお子さんは、学校へは行きたい、でも行けない状態だったいうことですね。

 
 
「はい。本人は『学校に行きたい』と用意をして玄関を出ようとするけど、体が動かない。でも、学校を休むと行きづらくなるから『行きたい… 』という状態でした。」
 
 

ーーー

 
 
真面目すぎて周りにも気を使い、身体も心も疲れ切ってしまって学校へ行けなくなってしまった娘さん。
 
 
お子さんが、「行きたい」と言うけれども、「行けない」という状態では親としてもどうして良いのかわからないですよね。
 
 
 
 
では、次の章では、お母さんがどのようにサポートしていったのか聞いていきたいと思います。
 
 
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2. どうすればいいの?ネットや本で情報を探る日々

 
 

ーーー学校に行きたいけど行けない状況で、お母さんはどのように対応されていたのですか?教えてください。

 
 
「『この子は不登校になっていくのかな』という心配と不安と、『何が起こっているかわからない』、『どうしたらいいかわからない』 と親子で思っていました。
 
体調を良くしてあげないことにはどうにもならない。
 
でも、どうすればいいのだろう?とネットサーフィンをしたり、不登校のブログや本を読んだりしていました。」
 
 

ーーーネットや本で知り得たことはありましたか?

 
 
「この時期に不登校のブログを見て、HSC(Highly Sensitive Child:人一倍敏感な子ども)を知りました。
 
そして、娘の今までの行動はHSC傾向があるからなのかな、と謎が解けたのです。
 
周りのことを気にしすぎたり、相手のペースに合わせて我慢したりしている姿を見て、『何でそこまで気にするの?』と理解できずにいました。
 
『気にしすぎじゃあない?』と軽く言ってしまっていましたね。
 
でも、HSCの特性を知って、母親としての対応を見直すきっかけにはなったと思います。
 
また、カウンセラーの方に相談しましたが、話を聞いてくれるだけで助言はなく、心療内科の先生に診てもらうと、
 
まず 先に、体調を戻しましょう
 
お子さんが、学校へのこだわりを捨てた方がいい
 
元気になろう!楽しめることや楽しいと思えることを探そう
 
とアドバイスされました。」
 
 

ーーー先生のアドバイスで実際に何か行動されましたか?

 
 
「楽しいことを探そうとしても実際は見つかりませんでした… 家でずっと朝から晩まで、クレヨンしんちゃんのDVDを見続けていました。
 
『なんで、そんなに見続けるの?』と聞くと『学校のことや何も考えてなくていいから』と言っていました。
 
何か思い詰めると、クレヨンしんちゃんのDVDばかり見ていましたね。」
 
 

ーーーそれからはずっと家で過ごされていたのですか?

 
 
「そうですね。でも、これではいけないとは感じていました。
 
そんなとき、ゴールデンウィーク明けに小学校から連絡があって、先生と私と娘3人で話しをする機会を作ってもらいました。
 
先生からは『登校が無理なら学校は休んでもいいよ、できることからやっていきましょう』と提案されました。
 
私は娘に学校に行きたくないなら、フリースクールなどに通うことなども提案しました。
 
でも、娘は『学校』へのこだわりがとても強くて、学校に行くということを手放すことができませんでした。
 
だから、先生に『どんな形でもいいから学校へ通うことはできませんか?』と相談すると、『では、相談室に登校するのはどうですか?』と言われました。
 
相談室という誰もいない部屋で、私と二人で登校するスタイルをとることにしました。」
 
 

ーーー

 
ネットなどの情報からお子さんがHSCの傾向があると知り、これまでの真面目すぎる性格や母親としての対応を見直すきっかけになったTさん。
 
 
 
 
クレヨンしんちゃんのDVDばかり見ていた行動、これは嫌なことから自分を守るための防御反応です。
 
 
そして、同じもの、知っているものを繰り返し見ることで安心できるという、自分を癒すための方法でもあります。
 
 
ASD傾向のお子さんやHSCのお子さんが不安な状態のときには、新しい刺激的なことよりも安心できる環境を整えてあげた方が良いのです。
 
 
しかし、お母さんは、お子さんが楽しいことも見つけられず、元気なく過ごす日々を送る姿を見て、何とかしなければと思われていました。
 
 
そして、お子さんの「学校」へのこだわりを知って、「学校」とのつながりを持たせるために少しでも登校することを選択されました。
 
 
その後の様子をお聞きします。
 
 
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3.頑張って「学校」へ行かなければ…のこだわりだけで登校

 
 

ーーー相談室登校することになって、親子の様子はどうでしたか?

 
 
「私が相談室に行こうと言い始めたのもあって、無理やり引きずってでも連れて行っていました。娘が相談室登校したいのではなかったのです。
 
娘が『いずれは学校に戻りたい』と望んでいたのを知っていました。
 
だから、私が小学校との関わりを持たせておきたかったのかもしれません。
 
始めの頃は、娘は気分が悪いと言いながらも、親子で登校していました。」
 
 

ーーー相談室へ親子登校を始めて、お子さんの様子に変化はありましたか?

 
 
「相談室登校を続けていた中で、ちょうど6月に社会見学の行事があり、『行ってみる?』と先生に誘われました。
 
本人も頑張って行こう!行かなくては!と思っていたのですが、結局は行けませんでした。
 
社会見学に行けなかった…できなかった…
 
結果的に気分を落ち込ませてしまったようで、それ以降また相談室登校もできなくなってしまいました。
 
そして、それに追いかぶさるように大阪北部地震が発生して、ますます気持ちが落ち込んでしまい、娘がパニック状態になってしまったんです。
 
 
そこからは、不安状態が続いて私から一時たりとも離れられなくなりました。そんな状態なので、学校にはとても行ける精神状態ではなかったですね。」
 
 

ーーー

 
 
親子で「学校」へのこだわりがあって、なんとか相談室への登校をされていた時期。
 
 
子どもの大きな目標にお母さんの働きかけが大きすぎると、うまくいかずに更に自信をなくしてしまいます。
 
 
子どもの目標を見極めて、スモールステップで考えてあげることが必要です。
 
 
親も学校もあらゆる手段を用いて何とか登校させようすると、ますます子どもを追い込んでしまい、自信をなくした上に不安感も増して、精神的ダメージがとても大きいのです。
 
 
また、自然災害も重なり、HSC傾向のお子さんはパニック状態になって、この時期に気分がすごく落ち込んでしまいました。
 
 
その後、家で過ごすことも多くなり、楽しめることを見つけたことでお子さんが動きだします。
 
 
楽しめることが自信につながり、お母さんに本音を打ち明けるきっかけになっていきます。
 
 
その本音から気付けたことは何だったのか、お聞きしたいと思います!
 
 
 
 

4.子どもがはじめて自分の想いを母親に吐き出した! その本音とは?

 
 

ーーーその後、何か変化などありましたか?

 
 
「実は、7月に初めて、娘から不登校の原因を聞かされました。
 
それまでは、何が原因で行けなくなってしまったのかは分からなかったのですが。
 
『こんなことがあったから学校に行けなくなったの』と話し始めたのです。
 
そして、娘から私に対する苦情のような、文句を言い始めたのです。
 
『あのとき、お母さんがこうしてくれなかったら嫌だったんだ』、『聞いてくれなかったよね』、『あのときはこうしてほしかったんだよ』など娘が覚えている範囲のことをすべて吐き出してきました。」
 
 

ーーー今までに、お子さんが自分の思いをお母さんにぶつけてくることはありましたか?

 
 
「いいえ。初めてのことで驚く半面、私の対応は間違っていたんだと気づきました。
 
『こんなことを言っても、怒られる』、『これ以上言ったら、だめなのかな』と思って我慢をさせていたようです。
 
その想いすら母親として、気づけてなかったですね 。」
 
 

ーーーなぜ、この時期にお母さんに本当の気持ちを伝えてきたのだと思われますか?何か思い当たることはありますか?

 
 
「そういえば、相談室登校を始めてから‘’スクイーズとスライム‘’にはまっていたんです。
 
 
自分の好きなことや興味があることを始めていました。
 
YouTubeでいろいろな人の動画見て、『スクイーズやスライム』 の動画に興味を示しだして、視野を広げて、自分で動き出していた気がします。
 
興味がある、楽しいと思ったのか、スクイーズやスライムのことを調べるのに夢中になっていました。
 
それで、どこに売っているのかを調べたりして、
 
『これはどのお店で買えるの?』、『そこのお店にはどうやって行ったらいいの?』、『じゃあ買いに行きたいから連れて行って!』と 外にも出るようになって、自分から動きはじめていました。」
 
 

ーーー

 
お母さんが、
 
 
自分のために、色々と働いてくれている
自分のことを認めてくれる
 
 
という安心ができてきたからこそ、お母さんに自分の気持ちを伝えても大丈夫だ! と思えたのだと思います。
 
 
 
 
そんなお子さんの様子を見て、母親としてある言葉をかけること決意されました。
 
 
お母さんの大きな気持ちの転換により、お子さんの気持ちも変化が現れます。そして、徐々に自ら行動を移すきっかけと自信にも繋がっていきます。
 
 
次の記事では、親子で手放したもの、そこからの親子の変化と再登校につながるまでの道のりをお伝えします!
 
 
 
親子でこだわりを手放したことで、考え方が変わり、自信がついて動き出して再登校へ向かう道のりがわかりますよ。
 
 
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執筆者:山南 あや
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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