息子は発達障害ADHDタイプの小学生1年生です。常に落ち着きがなく、後先考えずに動き出します。勉強もすぐに飽きてしまい、目に入ったものに興味が移るという特性があり、私は注意したり叱ってばかりです。特性を強みと捉えることができず、このままでは自信が無い子に育ちそうで心配です。どうしたら良いでしょうか?
7歳・男の子のママ
うちの息子は発達障害・ADHDの一人っ子です。相談者さんと似ていて、いきなり動いて物を落としたり人とぶつかったり。一緒にいると注意してばかりいました。でも転機は訪れます!自信と自己効力感を育むキッカケになった経験を通じて得た、オススメの関わり方をお伝えします。
発達科学コミュニケーション
リサーチャー 安達若菜
【目次】
1.発達障害だと知っていても叱ってばかり
2.特性だからと諦めていてはダメでした
3.興味のあることへの集中力は本当にすごかった!
4.長年記憶に残る感動体験は親次第
5.ポジティブな記憶を作ったら自信に繋がる!
1.発達障害だと知っていても叱ってばかり
うちの息子は発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)と自閉症スペクトラム障害(ASD)の2つのタイプの特性を併せ持っています。
小さい頃から元気いっぱいで、常に動いていた子。外ではいきなりダッシュ、興味のあるものにはすぐに手を出し、宿題の途中でも、思いついた途端に別の行動へ…。
2歳で診断が付いていたので、目につく不適切な行動は特性によると理解しているつもりでした。とはいえ、
・1つのことにもっと集中してほしい
・じっとしていて欲しい
・少しは私の話を聞いて欲しい…
この思いから、注意して怒ってばかりでした。
息子は記憶力が良いのですが、特に私や夫に怒られたこと・学校の先生に注意されたことを思い出しては口にしていました。あるとき、「どうせ僕はポンコツだよ」「ダメダメだよ…」という発言が増えてきました。
自分に自信と誇りを持って暮らせる大人になることを目標にしていたはずなのに、7歳の息子は自分を否定しています。私は落ち込み、猛烈に反省しました。
2.特性だからと諦めていてはダメでした
発達障害・ADHDの子どもの困りごとは、特性だと知っていても、毎日受け入れて関わっていくことは難しいです。結果として、息子は、ずっと家でも学校でも怒られていました。注意されていることは理解しているのに、やめられなくて困っていたのです。
発達障害の特性は、脳の機能障害が大きな原因のため、子ども本人の意思ではどうにもなりません。息子に限らず、お子さんの脳は成長途中。身近な両親や周りの大人たちとの関わりで成長していくのです。
特に一番身近な母親の関わり方は、子どもの脳の成長に影響大!息子の自立を願うなら、落ち込んでいる場合じゃありません。息子にいち早く自信をつけてあげないとと気づきました。
それからは、息子を注意して叱るのをやめ、息子の良いところを見つける決意をし、褒めるチャンスを見逃さないようアンテナ立てて過ごしました。
3.興味のあることへの集中力は本当にすごかった!
自信を持って欲しい!そこを第一優先にした私は、勉強も無理させず、家で暴れないで済むよう外へ連れ出す機会を増やしました。
そこで転機が訪れたのです。
よく利用する公園にはバスケットゴールがありました。息子はボールで遊ぶことが大好き!ゴールめがけてシュートを試みます。でも7歳前の身長では、明らかに高い位置にあって、全くゴールに届きません。
悔しそうな息子は何回もチャレンジ!でも持っているボールは100円均一ショップのフワフワボール、風が吹いたら流されます。それでもやめないのは、ゴールを決めたいというこだわりなのでしょう。
普段なら上手くいかないと泣き出し、癇癪に発展しそうなシチュエーション。でも不思議なことに、このときは意欲的にシュートを繰り返していました。これは褒めるチャンス!途中から数を数えましたが、あっという間に50回超え!
どうしてもゴールを決めたい!という本気の気持ちが伝わります。ボールを拾いに行くことも苦にならない様子で、息子の表情は真剣そのもの!チャレンジすることに面白みを抱いているようでした。
長いこと公園にいたら飽きてしまう私が、時間を気にせず息子を応援することに。ボール拾いを手伝いながら、「今の惜しい!」「だんだん上手になっているね」とシュートごとに声かけました。シュート数は70、80とすごい数になっています。
とうとう100回到達!でもやめません…ここで終わるのは悔しい。息子はまだやる気でした。ここまできたらゴール決めて欲しい!もうお互いに無言で挑んでいたところ…
104回目に見事にゴール!
本当に奇跡が起こりました。私は息子と抱き合いました。
4.長年記憶に残る感動体験は親次第!
この公園でのエピソードは、私たち親子にとって大きな自信に繋がりました。本人がやりたいことならば驚くほど集中できる。これも発達障害の特性であり、今の時代を生き抜く上で大きな強みになります。
今回は成功体験となりましたが、どうせ無理だ、時間だから帰ろう、などとネガティブな声かけをしていたら、結果は違っていたと思います。
私は自信を失っていた息子へ達成感を与えたかったのです。そのために工夫したことは、「偉い!すごい!」と結果に対して褒めるだけではなくて
「諦めない姿勢がカッコよかったよ」
「成功するように投げ方を考えていたよね!」
「104回、ずっと集中していたね!」
「文句、一回も言わなかったよね」
「惜しい!もう少し!と自分に声かけてたね!」
このように、息子の努力の過程にフォーカスしました。
「ゴールする!って決めるって大事だね」「諦めないでいたら奇跡は起こるんだね!」「自分を信じるって大事だね!」とお互いに言い合いました。
こうして親子で喜び合い感情を伴った経験は、長いこと息子の脳にポジティブな記憶として保管されることになりました。
5.ポジティブな記憶を作ったら自信に繋がる!
ゴールにこだわった経験は息子の自信に繋がりました。「本気出したらすごいんだよ」「あのときの僕すごかったよね!」と振り返っては嬉しそうに話します。
今、息子は中学生。何年経ってもこの一連の出来事を鮮明に思い出せます。上手くいかない日や不安を感じるとき、
最後までやり抜く力が自分にはある!
本気出したら上手くいく!
諦めなければ達成できる!
このように自分を信じるために記憶を使っています。
息子の自己効力感の一端となった、このポジティブな記憶は特性を強みとして捉え「我が子へ興味・関心を示す」「励ます・驚く・喜ぶ」といった発達科学コミュニケーションのエッセンスがふんだんに使われて作られました。
小学校低学年のうちは、家で注意されるよりも外で思い切り体を動かして、できるだけ多くの成功体験を積ませましょう。そこで発見した子どもの素晴らしいところを伝えていくうちに、注意ばかりの生活は抜け出せます!
お母さんの関わり方で、子どもの秘めた力を引き出せると信じてくださいね。きっとその瞬間は近いうちにやってきますよ!
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執筆者:秋村若菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)