不登校だから見つけられた、好きなことややりたいこと、そしてお母さんとの信頼関係を元不登校の小学生の女の子に聞いてみました。子どもが何を求め、どのように前向きになり再登校につながったのかを知れば、お母さんの悩みを解決できるかもしれません! |
【目次】
1.「学校」が「辛いところ」になってしまった理由
2.学校に「行かない」と決めて「好きなこと」をして生き生きと過ごす日々
3.不登校から再登校したいと思った理由とお母さんへの想い
4.不登校を経験したから親子の信頼関係が築けた!
5.周りの人を信じて、頼ることが解決への近道
6.前向きに動き出すために必要なこと
1.「学校」が「辛いところ」になってしまった理由
不登校を経験した子どもは不登校のとき、どんな気持ちで過ごし、どんなことに興味を持ったりしているのでしょうか?
どんなことがきっかけで再登校できるようになるのでしょうか?
そんな子どもの想いを、不登校に悩み不安な日々を過ごすお母さんたちにお伝えできればと思います。
元不登校の小学生の女の子が、不登校になり再登校できるまでの話をしてくれました。
以前、この小学生の女の子のお母さんにインタビューをさせていただきました。
親子で手放したものや親子の気持ちの変化が、不登校から再登校につながった道のりをお伝えしました。
今回は、
・不登校の頃の気持ち
・不登校だったから気づけた気持ちや好きなこと
・自分の気持ちの変化
・お母さんとの関係
など元不登校だった小学生女子からの本音を聞かせてもらいました。
―――Wちゃんにとって「学校」はどんなところだったのかな?
「学校は辛いところだと思っていました。乱暴な男子がいたりするし、先生に注意されたり、怒られたりしないかという不安もありました。
関わりたくない人が無理やりちょっかいをだしてきて、『やめて』と言ってもやめてくれない。無視していると今度は『無視をした』と責めてきて…
いじめられているのかな?と思って、その子のことを考えただけで、しんどくなっていました。また、そんなことをする人がいることも理解できなかったんです。
そんなことを小学生になってから、ずっと思って、考えて、悩んでいたりしていました。 でも、4年生のときに頑張れなくなったんです。」
―――辛い気持ちをお母さんに伝えることはしなかったの?
「お母さんに言ったら、嫌われたり、怒られたりするかもしれないと思っていました。
辛いけど、子どもはみんな学校に行くのが当たり前だと思っていたし、行かないのはいけないことだと思ってもいました。 だから、お母さんにも気持ちを話せずに頑張って登校していました。」
―――
辛い気持ちを抑えて、頑張って登校していたWちゃんですが、この頃はお母さんに本当の気持ちを伝えることはできませんでした。
そして、だんだん登校できなくなっていったWちゃんに、お母さんも「学校は行くべきだ」というこだわりを捨てることを決断されます。
そして、お母さんの一言で、Wちゃんが本当の自分の気持ちや好きなことを見つけて、どんどんチャレンジする行動力や自信をつけていった過程をお聞きしていきます。
2.学校に「行かない」と決めて「好きなこと」をして生き生きと過ごす日々
―――お母さんから「学校に行かなくてもいいんじゃない」と言われたとき、どんな気持ちだったかな?
「何か詰っていた心が解き放たれたような感じで楽になったんです。ずっと、学校は行きたくないけど行かないといけないという気持ちが、学校は無理に行かなくてもいい場所なんだという気持ちに変わりました。」
―――それからは、どうやって過ごそうと思ったの?
「好きなことだけやろうと思いました。YouTubeやTictokを見たり、雑貨屋さんに行ったりしたことがきっかけで、スライムやスクイーズが大好きになりました。
好きなスクイーズの商品名を覚えたり、触ったり、動画を撮ったり、スライムを作ったりしていました。
そのときは、引き込まれていくから、現実逃避ができるし、学校のことも考えなくていいから気分が楽になりました。」
―――楽しいことをみつけて、外にも出られるようになったんだね?
「そうです!欲しいスクイーズは、すぐに手に入れたい!欲しい!だから外出しなくちゃ!とお母さんに『お店に連れて行って!』とお願いして、お店めぐりをしていたりしました。
そして、夏休みには、友達からUSJで遊ぼうと誘われて、
・電車に乗れるかな?
・USJまでたどり着けるかな?
・ちゃんと遊べるかな?
とか心配だったけど…頑張ってUSJに自分で行けたんです。友達も不登校のこととは聞いてこないし、気分も軽くなって、一日中遊んでとっても楽しかったんです。」
―――すごいね!たくさんできることが増えていったんだね!
「電車に乗れた!一日中元気に遊べた!私、できるやん!の積み重ねで自信がつきました。」
―――
お母さんは、自分がやりたいことをさせてくれる、気持ちに寄り添ってくれる存在になってきました。
だから、Wちゃんは好きなことをできる!自分で行動できるかも!やってみようかな?と、徐々に気持ちに変化が生まれてきたのかもしれません。
さらに、Wちゃんの気持ちの変化によって、前向きに再登校へ踏み出した理由などを聞いていきます。
3. 不登校から再登校したいと思った理由とお母さんへの想い
―――好きなことをしながら家で過ごす中で、「学校」への気持ちの変化があれば聞かせてくれるかな?
「好きなこと見つけて、気持ちも落ち着いてきて、USJに頑張って行けたり、自分でちょっとずつできることが増えてきました。
このことがきっかけで、やっぱり学校に行きたいと思う気持ちが出てきました。
お母さんに私が学校へ行く姿を見せてあげたかったし、ずっと心配をかけていると思っていたので、安心させたかったんです。
気持ちが落ち着いて前に向き始めたときに、お母さんが『ちょっと学校へ行くことにチャレンジしてみない?』と言った言葉もきっかけになりました。
心の中では、『無理だ…』と思っていたけど、『無理でもいいからチャレンジだけしてみよう』と思ったんです。」
―――気持ちが落ち着いて、自信もついて前向きに進みだしていたんだね。
「はい。ちょっとずつ相談室登校をしてみて、先生たちも私が不登校だからということを責めたりしないということが分かったし。それに、ずっと変わらずに優しく接してくれて、信じることもできました。
あと、チャレンジしたことが成功できて、楽しくなってきたんです。
それと、学校へ行く姿をお母さんに見せたら、自分を好きになってくれると思ったし、元気な姿を見せたかったんです。」
―――
家で過ごすうちに、好きなもの見つけると、自分の気持ちに正直になって、ちょっとずつ「やってみようかな」とチャレンジする気持ちも生まれてきます。
自分を肯定してくれて、認めてくれることやスモールステップで成功体験を積んで子どもは自分の行動に自信が持てるようになります。
そして、やっぱりお母さんが大好きで、お母さんが元気で楽しそうに笑顔でいてくれることが、子どもにとっては何よりも嬉しいことです。
Wちゃんの気持ちが前向きに動くようになった背景にある親子関係について、聞いてみました。
4.不登校を経験したから親子の信頼関係が築けた!
―――不登校からまた学校に行けるようになるまで、お母さんのWちゃんに対する接し方は変わったのかな?
「変わりました。不登校になる前は、私の話をもっと聞いてほしいとずっと思っていました。
例えば、お店で『これかわいいね!』と言ったら『そんなん、いらんわ』と言わずに、一緒に『かわいいね!』と言って欲しかったこととか。
意見を言ったら否定せずに、気持ちに共感して欲しかった…
前は、お母さんの意見を押し付けてくることが多かったかな。」
―――じゃあ、いつからお母さんの態度がどんな風に変わってきたのかな?
「夏休み前に自分の気持ちを正直に伝えたときかな。学校へ行くのが辛かったことやもっと話を聞いてほしいこととか。
それからは、優しい目で私の話をしっかり聞いてくれて、私の気持ちを優先してくれるようになりました。
それに、お母さんの意見ばかり言わずに、ちゃんと私の話を聞いてくれるようにもなりました。」
―――お母さんが話をちゃんと聞いてくれるのは、嬉しいね!
「はい。不登校になって、いっぱい嫌なことも言ったけど…
見捨てずにずっと寄り添ってくれていたから、私が不登校だからといって嫌いにはならないんだ!と大丈夫なんだと思えました。
今では、他人に話せないことも話せるし、何を言っても私のことを嫌いにはならないということがわかったから、お母さんを信じられるようになりました。」
―――ズバリ、お母さんのどんなところが好き?
「私の味方でいてくれるところや楽しませてくれるところかな。」
―――Wちゃん自信が不登校のときと今とで大きく変わったことはあるかな?
「私自身の人や物の考え方です。
不登校になる前やなったときは、言われたことは全部やらないといけないと思っていました。
今は、できなくてもしょうがないと思えること、人に対しては信じることができるようになりました。
そして、将来やってみたいと思うこともできました。
不登校になって、気持ちの変化を感じて、自分の心理に興味を持ったから心理の勉強をしてみたいと思っています。
あとは、USJで働いてみたい!不登校の時にUSJで思いっきり遊べて、楽しめて、たくさんできることが見つけられて、勇気づけられたからです。」
―――
お母さんが話を聞いてくれる、好きなことをさせてくれる、そして気持ちに共感してくれる。
親が子どものありのままの気持ちや行動を受け止めると、子どもも愛情を受け止めて、信じる気持ちと安心感を持ち挑戦する力も生まれるのでしょう。
子どもにとって、何があっても大丈夫!お母さんという絶対的な味方がいるという安心できる場所を作ってあげることが大切だと感じました。
5. 周りの人を信じて、頼ることが解決への近道
―――最後に、不登校で悩んでいる人へのメッセージがあればお願いできるかな?
「まさか自分が不登校になるなんてことが理解できなかったんです。だから、そんな不登校な自分が惨めでダメで、消えてしまいたい…と思っていたんです。どうしたらいいかもわからなかった。
でも、不登校のときに、 『大丈夫』 『不登校でもいつでも戻れるよ』 という言葉には励まされて、勇気づけられました。
『大丈夫』はいろんな人に言われて嬉しかったです。
お母さんが焦らすことなく私のペースに合わせて、考えて導いてくれたから、自分を信じて行動できて、それで解決できました。先生も見守ってくれました。
だから、人を頼ることはいけないことではないと思います。
周りに助けてくれる人が必ずいるから大丈夫!自分自身で解決しないでいい!ということを伝えたいです。
私にとって一番大切に思っていることは、
『幸せに生きること!ポジティブに!人生一度きり!楽しまないと損!』ということかな。」
―――ありがとうございました。不登校で悩む人たちが明るくなれるメッセージだと思います。
6. 前向きに動き出すために必要なこと
Wちゃんのお話を聞いて感じたことは、『好きなことをする』ことが子どもの気持ちを落ち着かせ、やる気を出させ、気持ちを前向きに動かすということでした。
お母さんが、「学校に行かせなきゃ」と心配ばかりしていると、子どもの本当の気持ちに気付けないかもしれません。
不登校になったときに、「再登校させるにはどうすればいいのか」と悩むより、子どもに「好きなこと」をさせてあげること。
そして、見守って共感し、楽しくコミュニケーションをとる環境を作ることが大切です。
子どもは親をよく見ています。
お母さんが話を聞いて笑ってくれて、一緒に楽しんでくれる。
それだけで、お母さんが安心して信じられる大きな存在になるのです。
また、子どもに笑顔を取り戻して元気にさせること=お母さんが笑顔で元気いることなのです。
子どもは自信をなくしてしまっても、「好きなこと、やりたいこと」があると、自ら行動してみよう!と何かにチャレンジしてみよう!と思ってきます。
そして、スモールステップで自信をつけて、達成感を味わうことで、前向きに進みだすこともできます。
親子の信頼関係を築けていると、子どもが本音で気持ちを語れるようになり、自信と勇気をもって未来へ歩みだすことができます。
不登校になったら再登校のことを考えるのではなく、学校に行かなくてもいいと切り替え、子どもがしたいことに目をむけてみませんか?
大事なのは、子どもの気持ちや行動に向き合って、やりたいことや好きなことに共感してあげることです。
そうすれば、お母さんが自分のことを肯定してくれている・認めてくれていると感じ、次第に親子の信頼関係も築いていけますよ。
そうして、子どもに明るく生き生きと過ごす未来を手渡すことができるお母さんが、増えていってくれることを願います。
不登校の子どもが前向きになる関わり方を配信中です!
執筆者:山南あや
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)