アナログ?デジタル?発達障害の子どもに時計の読み方を教える方法

発達障害のお子さん、時計は読めますか?時計が読めるようになると毎日の予定がスムーズにこなせるようになります。時計を教えるのは何歳から?注意するのはどんなこと?発達障害・自閉症スペクトラムの息子を持つ私が解説します。
 

【目次】

 

1.予告が効かない!?発達障害・自閉症スペクトラムの息子

 
 
発達障害の子育ての困りごとでよくあるのが、「行動の切り替えが苦手」。あなたのお子さんはいかがですか?
 
 
私の息子は、発達障害・自閉症スペクトラムの小学1年生。今では少し声をかけるだけでサクサク動いてくれるようになりましたが、幼稚園の年少さん・年中さんの頃は、一度何かをやり始めると自分が納得するまでは終われないタイプでした。
 
 
特に、大好きなプラレールで遊んでいるときは大変!家にあるすべての車体をリビングに出して、全部レールに並べるまで終われない、ということもありました。
 
 
息子にねだられて車体が50台近くある我が家…いつになったら終わるの?とイライラを通り越してぐったりでした。
 
 
息子を含め、切り替えが苦手な子どもに有効とされるテクニックが「予告」です。
 
 
あらかじめ次の行動を予告しておくことで、見通しがつきやすく次の行動に移しやすくするこのテクニック。これはいい!と思って取り入れたのですが、なかなかうまくいきませんでした。
 
 
「あと5台並べたらおでかけするよ」
⇒全部並べたい息子は受け入れられない
 
 
「そろそろ行くよ」
⇒そろそろってどれぐらいか、私も息子も分からずズルズル…
 
 
というように、私の声かけの仕方もよくないこともあって、予告がうまくいかない日々でした。
 
 
そんな毎日も、もともと数字が大好きな息子に時計の読み方を教えたことで、うまく切り替えられるようになりました。
 
 
 
 
この記事では、発達障害の子どもに何歳ぐらいからどのように時計の読み方を教えたらいいのか?について解説します。
 
 
このように、子どもに何かを教えたり、トレーニングをしたりする際は、必ずこちらの記事を併せてお読みください。
 
 
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2.時計の読み方を教えると毎日がスムーズに!

 
 
予告をする際、
 
「あと10回ブランコやったらおしまいだよ」
「9時になったら出発だよ」
 
 
など、数字を使って声かけすることが一般的です。次の行動がいつになったら始まるのかもセットで声をかけることで、行動の切り替えがスムーズになるのです。
 
 
ですが、ここで注意!
 
 
10回、9時という指示を子どもが理解できているのか?ということです。
 
 
「10回」はもちろん「い~ち、に~い…」と数えたらいいわけですが、数量の概念の理解がゆっくりなタイプの子どもたちは、10回だとどれぐらいブランコに乗れるのか、体感的に分かっていない場合があります。
 
 
その場合は、「はい、10回だからおしまいね!」と言っても「え~!?もっとやりたい!もう1回!」となるわけです。
 
 
このような場合の対応については、こちらの記事で解説しましたのでぜひチェックしてくださいね。
 
 
 
今回は時計の読み方についてです。
 
 
実は、発達障害で見通しが立たないことで不安になるタイプのお子さんは、時計の読み方、時刻の概念を可能であれば早めに身に付けておいた方がスムーズなんです。
 
 
7時になったら起きて
9時になったら幼稚園で
12時に給食を食べて
2時にお母さんがお迎えに行って
3時まで公園で遊んで
4時にスーパーに寄っておうちに帰る
5時にピアノの先生がおうちに来る
6時にピアノのレッスンが終わって、テレビの時間
7時にごはん
8時にお風呂
9時に寝る
 
 
このように、時間に沿って行動を決めることで子どもの見通しが立ちやすく、次の行動にスムーズに移行できるようになります。
 
 
特に発達障害・自閉症スペクトラムタイプの子どもたちは、ルーティン化すると落ち着いて生活できる面もあります。
 
 
 
 
息子も、「○時になったら△△だよ」という予告の仕方がとても合っていたようで、時計の読み方、時刻の概念が身についてからはとてもスムーズに生活できるようになりました。
 
 
今では、「僕、5時になったら宿題するね!」など、自分で計画を立てることもできるようになりました。
 
 
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3.時計の読み方を教える前段階と条件

 
 
息子は4歳2か月で時計が読めるようになりました。年少さんの夏ごろのことです。一緒に下の子にも教えたので、下の子は3歳直前で時計が読めるようになっていました。
 
 
一般的に何歳ぐらいから時計の読み方を教えるのか?については、さまざまな見解があるかと思いますが、息子が受講していた通信教材では、年中の2月から時計に関する内容が掲載されていました。
 
 
一方で、私の友人の何人かは、子どもが1歳ごろから腕時計を見せて、「○時までね」という声かけをしている人もいます。
 
 
まず大切なのは、いきなり「○時△分」という読み方を教えるのはNGということ。時間は時の流れですから、ただ読めるようになることに意味はありません!
 
 
時計の読み方を教える前にやることがあります。
 
 

◆①時計の読み方を教える前に

 
 
読み方を教えるよりも大事なのが、「時計が指し示す時間が来たら、行動する」という習慣を作ることです。
 
 
「長い針が5を指したら好きなテレビ番組が始まる」などでも構いません。時間が来たら行動する、という流れになっていない状態で読み方だけ教えても意味がありません。
 
 
私たちも、日常的に時計を見るときは何か行動しているとき、何かしようとしているときです。
 
 
6時半になったから、子どもたちを起こそう! 
もう7時15分だから、ご飯を終わりにしないと…
 
 
という場合ですよね。ただ「今は何時何分か」ということに意味はありません。
 
 
ですから、数字すら分からないぐらいの小さなお子さんでも、「長い針がここまで来たらね」という伝え方で時計を見るように教えることは、子どもが嫌がらないのであればやって構わないと思います。
 
 
ただし、そこまで小さな子どもだと時の流れの感覚も未発達ですから、うまくいかないことも多いかもしれません。うまくいかないのであれば、時計を見る習慣はいったんお休みしましょう!
 
 

◆②時計の読み方を教えるにはこの2つをクリアしてから!

 
 
時計に従って行動できるようになったら、次の2つをクリアしていることを確認して、時計の読み方を教えていきましょう!
 
 
1つは、数字に興味があること。「いち、に、さん」という数唱ができる、「1=いち」だと分かっているなど、基本的な数字に関する知識がないと、時計の読み方を習得することはできません。
 
 
特に時計の場合は、「1」が1時と5分の2つの意味や読み方をを持つなど、覚える際に複雑になります。興味がなかったものを覚える気にはなりませんから、うまくいかない可能性が高いです。
 
 
もう1つは、時の流れの概念があること。時計の読み方を教える前に、朝、昼、夜の1日の時間の経過が分かっているかどうかが大切です。
 
 
時の流れを理解しないまま、時計の読み方だけ教えてしまうと、朝の9時なのか夜の9時なのか混乱したり、「6時」と聞いて「朝起きる時間だな」「おうちでテレビを見る時間だな」という生活に結びつかず、読み方だけが独り歩きしてしまったりします。
 
 
時計は読み方だけ教えるのではなく、時の流れ・生活リズム・行動などに基づいて理解していくべきです。
 
 
時計の読み方には、基本的な記憶力が必要になります。
 
 
時計独特の読み方を覚えるのも、時の流れを理解するのも、記憶の力が必要です。
 
 
小学校入学までに時計が読めるようになっておこう、ということを聞いて心配されている方もいらっしゃるかもしれません。
 
 
現在小学校1年生の息子の教室には、「1時間目:国語 6~3」という掲示がしてあります。
 
 
これは、時計の長針の位置を示したもの。毎時30分~15分の45分間が授業というわけです。
 
 
このように、時計が読めない子でも見通しが立つように配慮してもらえるケースもありますので、焦って教えなくても大丈夫だと思います。
 
 
 
 

4.大事なことは時計の読み方ではない!「実生活で使う時刻」とは

 
 
1人1台スマホを持つ時代になり、スマホが時計代わりという方は多いのではないでしょうか?私も夫も、腕時計はせずスマホで時刻を確認しています。
 
 
家に時計が1つもない!というおうちはさすがにないと思いますが、お子さんに時計の読み方を教えるなら、分かりやすい時計を準備しておきましょう。
 
 
時計はアナログとデジタルがありますが、断然アナログがおすすめ!
 
 
時計を見る際、「○○するまであとどれぐらい時間があるか」を確認しますよね?アナログだと残りの時間を目で見て確認することができます。
 
 
装飾が少なく、1分ごとにメモリがあって、文字盤と針が見やすい時計がおすすめです。
 
 
本物の時計と、子どもが自分で針を回して遊べる時計を準備しました。子ども用の時計はたくさん販売されていますが、型紙を切り抜いて手作りすることもできますよ。
 
 
読み方を教える順番は、
 
 
・○時
・○時半(○時30分)
・○時15分、45分
・○時5分ごと55分まで
・○時1分~59分まで
・○時ちょっと前、○時ちょっと過ぎ、○時ごろ
 
です。
 
 
○時△分までは、時計の数字やメモリに読み方を書いておくと自然に読めるようになりますが、「○時ちょっと前」、「○時ちょっと過ぎ」、「○時ごろ」はお母さんとの会話の中で習得していくのがお勧めです。
 
 
ただ時計を読むだけであれば、○時△分まで覚えておけば大丈夫ですが、実生活では「ちょっと前/ちょっと過ぎ/ごろ」を使うのが一般的です。
 
 
1時59分に着いたよ!
2時3分に行っていい?
 
なんて言う人いないですよね。
 
 
ちょっと前、ちょっと過ぎ、○時ごろは人によって幅があるのも事実です。私の息子はルールに厳格なタイプで、この幅をなかなか理解できませんでした。
 
 
そこで、
 
 
・ちょっと前:50分~59分 
・ちょっと過ぎ:1分~10分
・1時ごろ:12時50分~1時10分
 
 
と私の感覚で決めて教えると、理解することができました。
 
 
まだ小学生ですので、人によって時間の幅の感覚が違うことまでは教えていません。もう少し大きくなったら、「初めての人と時間を決めるときは○時△分って聞いたほうがいいかもしれないよ」と教えたいと思います。
 
 
 
 
また、幼児の知育ワークでこの「ちょっと前/ちょっと過ぎ/○時ごろ」の問題が掲載されているものがあります。お母さんの会話の参考にしたり、お子さんが嫌がらなければトライしたりするのもおすすめです。
 
 
大切なのは時計の読み方ではなく、生活リズムや行動に合わせて時間の流れを把握すること。ぜひ覚えておいてくださいね!
 
 
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執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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