ASDの子の暴言・暴力が増えたことに悩んでいませんか?なぜ攻撃的になるのか、どう止めれば良いのか、対応に悩みますよね。小1で学校トラブルが目立つようになった息子が、「クラスの乱暴な子」にならずに落ち着けた対処法をお伝えします。
【目次】
1.ASDの子どもが暴力的になるのはなぜ?
2.ASD小1息子の暴言が増えたことに困りました
3.わが子を「乱暴な子」と言わせない!親の対処法
①家では、肯定的な注目が10割
②褒めのバリエーションを増やす
③できてないことはスルー
1.ASDの子どもが暴力的になるのはなぜ?
1学期も半ばですね。学校で新しいクラスに慣れてくる頃ですが、お子さんの暴言・暴力や友達トラブルが増えて対応に困っていませんか?
・友達に乱暴な言葉を吐く。クラスがうるさいなどと激しく怒る。手が出る。
・先生から友達トラブルが目立つと指摘される。
・家でイライラして、暴言・癇癪を起こす。
こんな様子があると、一体なぜわが子がこんなに乱暴になったのか、どう対応したら良いのか、ママは対処に悩んでしまうと思います。
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもの暴言・暴力は、キャパシティオーバーで自己防衛のために出るSOSのサインです。
発達障害・グレーゾーンの子どもは不安が強く、新しい環境になじむのに時間がかかります。
感覚過敏を持つ子も多く、集団生活には大きな負荷が伴います。
進級・進学でストレスの高い状態が続いたところに、ASD特有の空気が読めないなどの言動でまわりとうまくいかず、注意を受けたりからかわれたりする。
家でも、自分の言動について指摘を受けてさらに心理的に追いつめられる。
そんなネガティブな経験やストレスが蓄積していくと、子どもは自分を守るためにだんだん攻撃的になってしまうのです。
また、物事がうまくいかない時に感情が爆発し、乱暴なふるまいが出てしまう子どもは感情コントロール機能がまだ十分に発達していません。
些細な刺激に反応しやすいので例えば、落ち着きがないクラスにいると常に周囲を警戒しないとならず、荒れてしまうことがあります。
こんなふうに、ASDの子の暴言・暴力は、脳の特性とまわりの環境や大人の対応が影響しあって起こります。
そして、繰り返されると、強まっていきます。
このメカニズムを理解して、子どもが暴力的なふるまいをするのは本人が切羽詰まっている証拠だと気づいてあげてほしいのです。
2.ASD小1息子の暴言が増えたことに困りました
私の息子は現在小学4年生で、自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠陥多動障害(ADHD)の傾向があります。
息子が小学校1年生の頃のお話です。入学後しばらくは楽しく登校していた息子ですが、少しづつトラブルが増えていきました。
息子には一方的にしゃべり過ぎたり、その場に合わない発言をしてしまう特性があります。
先生がみんなに向けて話したことに反応したり、自分の意見を長くしゃべり過ぎることは、クラスメイトの注意の的になりました。
息子の学校は少人数で異学年縦割りクラスでしたが、
・授業中の立ち歩きやおしゃべり、教室の外に出る子がいて、授業が進まない
・先生の注意を聞かず、反抗する子どもがいる
・教室全体が雑然としており、ものがなくなる
いわゆる「学級がうまく機能しない」教室に相当していました。(文部科学省『学級経営の充実に関する調査研究』)
騒がしいクラスに我慢ならず、息子は「静かにして!」と激しい怒りを露わにしました。
次第に、友達に暴言を吐いたり、応戦して手が出ることも起こり、先生から「●●君だけが悪いわけではないのですが…」と、連絡をもらった私は対応に悩みました。
息子だけに非があるわけではない。でも、彼のいけないところは正さなければならない。でないと、彼はクラスで「乱暴な子」と言われるようになってしまう!と考えたのです。
してはいけないことを叱ったり、「こういう時はこう言えばいい」と正論を教えたり、喧嘩になりやすい相手には取り合わないよう、何度も伝えたりしました。
新たにクラスに支援員さんが1人入りましたが、根本的な解決には至りませんでした。
息子は日を追うごとに元気がなくなり、家でも怒りっぽさや切り替えの悪さが目立つようになりました。最終的には、登校を拒否するほど精神的に追い込まれてしまったのです。
窮地に立たされた私を変えたのが、発達科学コミュニケーションで学んだ対処法でした。
3.わが子を「乱暴な子」と言わせない!親の対処法
ASDの子どもの暴言や暴力的な行動をなくすには、学校の対応だけでは間に合いません。
子どもの成長は待ったなしです。私のように間違った関わりをして絶対に後悔してほしくないので、ぜひ効果のあった対応を参考にしていただきたいと思います。
◆①家では、肯定的な注目が10割
ASDの子どもの暴言やトラブルをなくす方法、それは家でお母さんが対応を変えることです。
子どもができていることにひたすら注目し、肯定する関わりを徹底します。
子どもが荒れている時は、「肯定的な注目」を10割、「否定的な注目」は0にします。できてないこと・好ましくない行動はスルーして取り上げないようにします。
これが、家庭でしかできない効果のある対処法です。
乱暴なふるまいをする子どもは、傷ついた体験やネガティブな記憶をたくさん持っています。本人が望んで乱暴になっているわけではありません。
どうしていいかわからず自信をなくしている子を、まずは全力で肯定的に受け止めます。そして、疲れ切った心身を休め、家を安全基地にすることが最優先です!
◆②褒めのバリエーションを増やす
トラブルの多い子にも、褒めることが苦手なママでも大丈夫。
発達科学コミュニケーションの褒め方には8種類ものバリエーションがあるからです。
・子どもの行動に「興味を示す」
・していることを「実況中継」
・「もうできたの?」驚く・喜ぶ
・「ありがとう」と、感謝する
・「そうだね!」と、同意する
・「もうちょっとだね」と、励ます
・スキンシップ
・ジェスチャー
これを、目の前の子に当てはめれば、もう褒め方に迷うことはありません!
中でも、やっていることをそのまま言葉にする「実況中継」はどんな子どもでもすぐに褒めることができます。
・起きたんだね!
・ごはん食べているね!
・ゲームしてるんだね!
事実を言葉にするだけで、子どもの行動を肯定していることになります。
また、疲れ切ってとても褒められないという時は、ジェスチャーするだけという奥の手もありますよ。
◆③できてないことはスルー
・洋服を脱ぎっぱなし
・電気を消し忘れている
・ 忘れ物をする
こんな行動は、注意や指示をしないようにします。
意外に難しいですが、いくら褒めても指示ばかり出していると、子どもは肯定されている実感を持てません。
今まで子どもに否定的注目をすることが多かったら、できていないことの指摘はゼロにする。極端なくらいでちょうど良いのです。
子どもが怒りっぽい時などは、応戦せずに見て見ぬフリをします。やってみると分かりますが、子どもの怒りはそれほど長続きしないものです。
家でこのような対応をすると、息子は笑顔が見られるようになりました。
情緒が安定し、家でも外でも怒りっぽさが消えて、自信を取り戻すことができました。
もしクラスに相性のよくないお子さんがいる場合、席を離す、別室登校などで距離を置いたり、子どもが安定するまではいっそ休んでしまうのも一案です。
暴言や他害は、親子関係が安定していなければ、クラスや学校を取り替えても根本的に解決しません。
親が否定的な注目をしている限り、子どもはネガティブな記憶と経験を溜め続けてしまうからです。
それは、些細なきっかけで感情が爆発する引き金となります。
「子どもの心を壊してまでやるべきことは、この世に一つもない」
これが、発達科学コミュニケーションの考え方です。
ASDのお子さんの暴言やトラブルが増えたら、まずはママが子どもを全力で肯定してあげてください。
ひとりで抱え込んでしまいそうな方は、ぜひ早めに相談してくださいね。
お子さんに合った対応のポイントを押さえれば、環境に振り回されずに困りごとを解決できるようになりますよ!
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執筆者:山中寧子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)