夏休み明けの登校しぶりに困っていませんか? 発達グレーゾーン、特にASD傾向のあるお子さんは不安が強く登校しぶりをすることがあります。不安を乗り越えて元気に登校できる秘訣をお伝えします! |
【目次】
1.夏休み明けの登校しぶりに心を痛めていませんか?
2.発達グレーゾーン・ASD傾向の子どもが不安になる理由
3.登校しぶりを乗り越えるためにお母さんにやってほしいことは3つです。
◆そのままを受け止めてあげましょう!
◆不安には予告をして対応しよう!
◆「できた!」に注目しましょう!
1.夏休み明けの登校しぶりに心を痛めていませんか?
新学期の開始時期は地域差がありましたが、ほとんどの学校で2学期が始まりましたね。
皆さんのお子さんは元気に学校へ通っていますか?
連休明けの月曜日や長期休み明けの登校となると、お子さんにはハードルが高くなりがちです。
今年はコロナの影響で授業の補充も増え、学校にいる時間が長くなっているお子さんも多いと思います。
2学期は行事の多い学期、加えて今年は行事やイベントも進め方にイレギュラーなことが多いかもしれませんね。
そんな学校生活なので、不安の強い子には厳しい状況が出てくることもあるでしょう。
もしかしたら「行きたくないよ。」と言い始める子もいるかもしれません。
わが家の息子もすんなり登校する日もありますが、『行きたくない。学校きらい。』と言う日もあります。
このような状態を見ているのは親としてはつらいですよね。
「何で行かないの?」
「どうしてうちの子だけこうなってしまうの?」
「私の育て方が悪いのかもしれない。」
と落ち込んでいるかもしれません。
お母さん!大丈夫です!
落ち込むのはまだ早いです。
実は不安の強いお子さんの登校しぶりには理由があります。
2.発達グレーゾーン・ASD傾向のある子どもが不安になる理由
では、不安の強い子はどうして登校しぶりをするのでしょうか。
1つ目は、自閉症スペクトラム(ASD)傾向のあるお子さんはネガティブな情報が記憶に残りやすいという特性があります。
何か行動をしようとするとネガティブな情報が先に頭に浮かんでしまい、行動しにくくなってしまうのです。
例えば、お子さんが下校してきて「すごく楽しいことがあったよ!」と報告してくれたとします。
とても楽しそうだし「学校ももう大丈夫そうだな。」とほっとしますよね。
それなのに、翌朝の登校時には「学校は楽しくない。行きたくない!」と言い出したりします。
ネガティブな情報が先に浮かぶのでお子さんはこのような思考になるのです。
「あれっ?昨日は楽しいって言ってなかった?」ってお母さんとしては言いたくなってしまいますよね。
この場合、前日に話してくれた楽しかったこと以外にお子さんに負担になる出来事があったのかもしれません。
もしかしたら、もっと前のネガティブな出来事が思い出されたのかもしれませんね。
大切なことはお母さんがこの特性を理解してあげることです。
2つ目はグレーゾーン・ASD傾向のあるお子さんは初めてのことが苦手な傾向があります。
初めての場所や行事はお子さんにとってイメージがわきません。
何が起こるのかどんなことをするのか状況分析ができず、見通しが立たず戸惑っている状態なのです。
皆さんはどうですか?
例えば「どこに行くか何をするか分からないんだけどこのイベントに参加する?」と言われて行きますか?
中には臆せず挑戦できる方もいらっしゃるかもしれませんが、多くの方は尻込みすると思います。
お子さんはこういう不安を抱えてどうしていいかわからない状態なのです。
大人でも緊張するのにまだまだ経験値の少ない子どもは尚更。
ましてや、発達グレーゾーン・ASD傾向のある子どもには不安なことばかりで苦痛でしかありません。
行動したい気持ちのあるお子さんもたくさんいます。
行動したいのに不安でどうしても行動できなくなってしまうのです。
お子さん自身が一番苦しんでいるのです。
・ネガティブな情報が記憶に残りやすい
・初めての場所や慣れないことが苦手な傾向がある
お母さんがこの2つを理解してお子さんの不安に対処すれば登校しぶりは乗り越えられるのです。
3.登校しぶりを乗りこえるためにお母さんにやってほしいことは3つです。
では、お子さんの登校しぶりを乗りこえるためにするお母さんの行動をお話ししていきますね。
◆そのままを受け止めてあげましょう!
1つ目はお子さんの気持ちそのままを受け止めて共感してあげることです。
「行きたくない」とお子さんが言い出したら
「そっか〜、○○は学校に行きたくないんだね。」
「○○はそういう気持ちなんだね。」
と、お子さんの気持ちを受け止めてあげましょう。
どんな声をかけていいか分からないと言う方は、お子さんが言う言葉をそのまま繰り返してあげるだけでもいいのです。
それからお子さんにお母さんの共感が届くまで少し時間がかかります。急かさず待ってあげましょう。
しばらくするとお子さんも落ち着いてきます。
お子さんが落ち着いてきたら
「実はお母さんも小さい頃、学校行きたくない!ってよく言ってたんだよ。」
と、お母さんが同じだったと共感する言葉を伝えてあげることも効果的です。
「大好きなお母さんも同じことがあったんだ!」とお子さんは安心します。
お子さんの安心な気持ちが不安な気持ちを上回ると行動に移っていきます。
◆不安には予告をして対応しよう!
2つ目が予告です。
お子さんに「明日はこんなことがあるよ。」と事前に伝えておくことが大切です。
予告しておくことでお子さんが心の準備が整います。
お子さんがイメージしにくいようならお母さんが言葉や行動で補ってあげてください。
例えば、
「今日は昼休みがない日だよ。」
「明日は検診だから授業が中断するよ。」
「運動会の練習が始まるよ。」
という声かけです。
また、遠足や発表会などのイベントは普段以上にハードルが高くなります。
その場合は、インターネットなどで行く予定の場所の情報を事前に読んだり見たりしておくと、お子さんも安心しますよ。
実際に遠足の場所に家族で行ってみるのもお子さんが安心する方法ですね。
この予告でのポイントは先生との連携です。
お母さんは学校のことが全て把握できるわけではありませんよね。
学校でイレギュラーなことがあるときは、先生に事前に教えていただけるようお願いしておくことをお勧めします。
先生も協力してくださるはずです。
◆「できた!」に注目しましょう!
3つ目が「できた!」に注目することです。
お子さんが学校に行けないことを何とかしようとするよりも、これまで何ができるようになったかを振り返っていただきたいのです。
例えば、
スケボーに少し乗れるようになった!
病院の薬のカプセルが飲めるようになった!
漢字の宿題を1行目まで集中できるようになった!
何でもいいのです!
お母さんには当たり前すぎて「やって当然!」と思われるようなことを認めて褒めてあげてください!
『いつもお手伝いしてくれてありがとう!』
『この間よりできるようになっているね!』
というプラスの言葉をお母さんがたくさんお子さんに伝えましょう。
するとお子さんの脳にはポジティブ記憶がたくさん貯まっていきます。
毎日少しずつでいいのです。些細なことで大丈夫です。そうすれば、
「僕(私)はこれができる!あれができる!」
「僕(私)大丈夫な気がする!」
と、お子さんが自信をつけていきます。
これを続けていくとポジティブ記憶が増え、いつの間にか不安を乗り越えたお子さん自身がいます!
いかがでしたか?
どれもできそうな気がしませんか?
お母さんは毎日お子さんを見ているので日々の成長が当たり前になり、成功体験を見逃しがちになります。
お母さんが小さな「できた!」を見逃さずに伝え続けていけば、お子さんは上手に成長・発達していきますよ!
▼様子を見ずに早めの対応がカギとなります▼
執筆者:今村裕香
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)