新しい学年が始まって1ヶ月。前の学年の復習が終わり、いよいよ本格的な学習に入ります。もし発達障害・グレーゾーンの子どもが、学習でつまずいているならどうすれば良いのでしょうか?その解決の方法の1つとして「音読」による学習方法を紹介します。 |
【目次】
1 発達障害・グレーゾーンの子どもが勉強につまずきやすい理由は?
2 たかが音読?いいえ、音読は有名大学生も実践している手軽で効果的な学習法です!
3 音読そのものが苦手な子どもには、おうちでの工夫で自信をつけてあげましょう
1.発達障害・グレーゾーンの子どもが勉強につまずきやすい理由は?
4月の学習内容は、前の学年の復習が多く取り組みやすいものでした。 しかし新しい学年に進んで1ヶ月、いよいよ本格的な学習に入ります。
ここで、お子さんの学習状況を確認してみてください。
現在習っているところ、これから習う予定のところ、得意な教科、苦手な教科、宿題ができているかどうか、そもそも授業に集中できているのか?などなど。
発達障害・グレーゾーンの子どもは、特性の凸凹があることで勉強面でも得意・不得意がクッキリ分かれます。
そのため、定型発達の子と同じ内容、同じ方法で学習を進めると、次第に勉強につまずいて遅れを取ってしまう可能性がでてきます。そうなると、子どもも自信を失い、勉強のやる気も下がっていきます。
勉強のやる気が下がると、おうちでの宿題もなかなか取りかかれません。どうしてもできない!というくらいやる気が低下してしまうと、そこから再びやる気をあげるのが難しくなります。
お子さんのやる気が下がってしまうと、お母さんとしては焦ってしまいます。その気持ちはとってもわかります!しかし、ここは一旦気持ちを落ち着け、子どもの状況に寄り添ってあげましょう。
宿題のやる気も下がってるな…という時は「音読」から取りかかってみるのがオススメです。この音読、お手軽にできるように見えますが、実は計り知れない効果があるんですよ。
2.たかが音読?いいえ、音読は有名大学生も実践している手軽で効果的な学習法です!
「声を発する」ことは、自分で行動していることになるので、脳が活性化します。
そして音読は、黙って読むより脳の多くの部位を使うため、脳全体が活性化し、長期記憶に残りやすいので、学習効果が上がります。
また、音読をしているときは「子供を褒めて伸ばす」ができる最大のチャンスなのです!
音読は「目で文章を追いながら声を出して読む」という、複数の動作を一度に行うことに意義があるので、読み方の上手、下手はまったく関係がありません。
お母さんは、お子さんが音読をするときには、まず手を止めてそれに付き合い、読み終わったらすかさず「ちゃんと読めたね」「えらいね」と声かけをしてあげましょう。これだけで子供の脳は活性化します。
ここで大事なのは「手を止める」「すかさず褒める」ということ。
音読の宿題では、「大きな声で読めたか」「姿勢よく読めたか」「表現よく読めたか」といったチェック項目があります。
しかしやる気が下がっている時は、これらの項目は、ハードルを下げて評価してあげてください。
実はこの「音読」、有名大学に通う学生も実践している、効果の高い学習法なのです。音読している部分を、指で追うことで更に効果が高まりますよ。
宿題をするとき、国語の音読だけでなく、算数のドリルでも「問題文を音読する」ことで、問題の内容がわかりやすくなり、スラスラ解けるようになります。
このように、勉強を始める前のウォーミングアップとして音読を活用すると、子どもの脳の活性化とやる気の向上という2つの効果が得られるというわけです。
「音読」を、お子さんのやる気アップと脳の活性化に役立ててあげましょう。
3.音読そのものが苦手な子どもには、おうちでの工夫で自信をつけてあげましょう
音読勉強法についてお話ししましたが、もしお子さんが音読するときに、たどたどしい読み方をしている、飛ばし読みが目立つなど、音読が苦手な場合はどうすれば良いのでしょうか?
例えば「たかしくんは 昨日 遠足に行きました」という文章があるとき、1文字ずつ拾いながら「た……か……し……」といった読み方になってしまう。
これを「拾い読み」と言います。拾い読みでは、一応文字は読めますが、文章の内容や意味を理解することが難しいです。
このような拾い読みの子どもには、いくつかの練習法があります。 まずは、文章を言葉ごとに区切って、お母さんが読んだ後にお子さんが続いて読んでみましょう。
例えば
お母さん「たかし」
お子さん「たかし」
お母さん「くんは」
お子さん「くんは」
お母さん「きのう」
お子さん「きのう」
といった風に、最初は短く区切って読み、だんだん慣れてきたら「たかしくんは」と、徐々に長くしていきます。そうすることで、文章の意味が理解しやすくなります。
この読み方を「追い読み」と言います。お母さんの読み方をお子さんが真似ることで、正しい音読の方法が身につきやすくなります。
また、
お母さん「たかし」
お子さん「くんは」
お母さん「きのう」
お子さん「えんそくに」
お母さん「いき」
お子さん「ました」
この読み方は「交互読み」と言います。文章の流れを理解しやすくなります。
お子さんが、音読に苦手意識がある時は、「拾い読み」や「交互読み」を活用して、”読めたら褒める”を積み重ねていきましょう。
お子さんの力に合わせて、スモールステップで進めてくださいね。
もし、お子さんのやる気が下がっても、一時的なものだととらえ、焦らずにお子さんを見守ってあげましょう。きっとまた、お子さんのやる気が上がり、グングン成長していきますよ。
執筆者:渡辺みゆき
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)